豆知識

よくわかるカタログ数値
キャニスター型、スティック型掃除機


人間の情報量の85%は視覚からと言われるだけあり、カタログには魅力的な写真が満載です。
が、カタログの面白みは、数値も含め書かれていることを、読み解くことです。よいメーカーが作る、よいカタログはその商品の長所、場合によっては弱点も分かります。
えっ、数字が全く分からないですって・・・。
お手伝いしましょう!

 
■分類(これがなければ始まらない)
表題の様に書かれている事柄が、3つあります。何れも分類に関することです。
分類は数値ではありませんが、カタログでは非常に重要です。
その商品が、どんなモノで有るのかの大枠が語られるからです。

生物学の一番最初は、リンネの分類から始まります。
分類ができなければ、整理ができない。
カタログは、商品図鑑とも言えます。このため、正確な分類は不可欠です。

 
1. 形(含 使い方)による区別
5つに分類されます。
キャニスター型」「スティック型」「ハンディ型」「ロボット型」「その他(ふとん専用、業務用など)」です。
形による区別です。使い方による区別という言い方もできます。

写真があるとすぐ分かりますので、省略するメーカーもあります。

また、今後「肩掛け型」などが増えるかも知れません。

ちなみに、日本工業規格では、キャニスター型を「床移動型」、スティック型を「ほうき型」ハンディ型を「携帯型」と言います。しかし普段使いの言葉ではありません。

 
2. 集じん方式による区別
大きくは、2つです。
サイクロン式」と「紙パック式」。
ただし「サイクロン式」は、フィルターが付いていないのが本来の姿なのですが、中にはフィルターが付いているモノもあります。場合によってはフィルター代も必要なので、別分類が望ましいのですが・・・。

 
3. 駆動電源による区別
これも2つ。「コードレス式」と「コード式」です。
ただし、パナソニック社のMC-HS700Gの様に、どちらでも使える「ハイブリッド式」もあります・・・。

 
実際には、このつの分類が組み合わされて使われます。
分かり難い分けです。

 
■吸引力に近い意味の数値(IEC規格とJIS規格)
「吸引力」はダイソン社が広告に使ったため、すっかり有名な言葉になりましたが、直接的な数値の裏付けがあるかと問われば微妙です。
掃除機の吸い込み特性で数値表示されるのは、吸引力ではなく「ダストピックアップ率」と「吸込仕事率」です。

 
ダストピックアップ率は、IEC(国際電気標準会議)が定めた主としてカーペットの清掃能力を表す指標です。
西洋ではカーペットは、富の象徴の1つであり、余程のことがない限り、部屋全部をフローリングのまま使うのはない様です。

ただテストはあくまで、テスト標準のカーペットから、どれ程の塵埃を取ることができるかを示した数値(前後の重量比)です。
このためフローリング、畳の場合、ダストピックアップ率通りの数値を示さない場合も多くあるといいます。
JIS(日本工業規格)では、「ダストピックアップ率」と同じテストが「じんあい除去能力」として定められています。
が、この「じんあい除去能力」の表示義務はありません。

 
吸込仕事率は、掃除機の空気を吸い込む能力を表します。
「モーター&空気の流れの良さ」を示すといっても良いかも知れません。
が、これも塵埃を吸い込もうとする力であり、塵埃を除去する力ではありません。

除去能力は、床の種類、塵埃・ゴミの種類、ヘッドにより大きく異なってきます。
床表面に出ていて、床と引っかかりがない塵埃・ゴミだと、「吸込仕事率」に近しい値がでるのでしょうが・・・。

これは表示義務があるため、カタログ、仕様表には、必ず掲載されます。

 
■騒音(表示の義務がないJIS規格)
各メーカーのカタログには、騒音値でなく、運転音、動作音として掲載されます。
騒音特性という言い方は如何にも悪そうだからです。
騒音の測定の方法は、無響室、最大風量で運転している掃除機から1m離れた位置での音です。更に付け加えれば、ノズルは床から10cm離し、回転ブラシなどは止めた状態です。
規格はJIS規格(C9801の付属書B(規定)騒音測定法)なのですが、表示義務はないのです。

ちなみに、JIS規格では掃除機の騒音の上限が決まっています。
次の表は、キャニスター型、スティック型の規格です。
定格消費電力 騒音値
700W以下 65dB以下
700〜1000W 70dB以下
1000〜1500W 76dB以下
 
ちなみに、騒音値と環境の一般対比は次の表です。
dB 環境
80 地下鉄の車内(会話が厳しい)
70 騒々しい街頭
60 普通の会話
50 静かな事務所
40 図書館
 
■消費電力(掃除機では、極端に重視しなくても良い数値)
モーターパワー(強、弱)により異なります。
W(ワット)で表されます。

例えば、消費電力:400W、1回15分使うとしますと、
年間の消費電力は、400W×(15分/回)×(1時間/60分)×365回=36500Wh=36.5kWhです。

1kWhの平均の電気料金は22円ですので、これを掛けたのが電気料金です。
803円(税抜)ですね。あくまでも目安です。

 
高性能(=よく吸引する)モーターは、消費電力が上がることが多いですが、それだけ掃除時間も減りますので、大体の目安として掴むだけで良い数値と思います。

 
■サイズと重さ、ダストボックス、コード長(物差しで測れるスペック)
サイズは、収納時に問題になることが多いです。

ポイントは、必ず付属品、消耗品と共にチェックすることです。
まあ消耗品はなくなったら買いに行くとことができますが、付属品に大型のアタッチメント(例えばふとん用アタッチメント)があったりすると、予想外に場所を取ります。

 
ダストボックスの大きさも気になるところです。
これこそ、環境により状況が変わりますので、どの位なら何日間ゴミを捨てずにOKということは言えません。
サイクロンは毎回捨てることをお勧めします。

 
キャニスター型で不可欠なのは、コード長。5mが一般的ですが、必ずカタログには記載されていますので、これもチェックしましょう。

 
■抗菌、アレル物質抑制、微粒子捕じん(自主規格、ただし早期JIS規格化が望まれる特性)
よく使われる数字です。多くの場合、%で示されます。
JIS規格とは異なりますので、各メーカーが独自に第三者機関に依頼して測定します。
別稿でも書きましたが、特に「微粒子捕じん」は、今後重要な特性となりますので、できればJIS規格でキチンと決めて欲しいものです。

 
■充電池関連(技術と規格が完全にマッチしない分野)
いろいろと確認しましたが、やはり最終的な統一規格はできてないようです。
カタログに記載してあるのは、「運転可能時間」「充電時間」「充電回数」「使用条件(想定環境)」ですね。

個人的にも、サンヨーの充電池が、パナソニックの充電器で充電できなかった経験がありますし、PCでも小火などのトラブルが多いパーツです。
扱いには十分注意してください。

 
■最後に
ざっと掃除機のカタログで使われている数値の意味を説明してきました。
ただ、ダイレクトに掃除機の性能を表しているものはありません。
それは、掃除機が進化しているのと、使用される環境が多種多様あるためです。

しかし、これらの数字を確認できるようになると、割と商品が見えてきます。
カタログを読み、自分の使い方をイメージし、その上で、売り場で品物を手に取って見てください。
カタログを読む分、手間は手間ですが、より納得できる買い物になると思いますよ。

2014年6月9日

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