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家が変える家電の仕様 2014
掃除機編


日本の室内は、基本的にホウキで掃くでした。 部屋の窓を開け放ち、ホウキで「さっさ」と縁側、外へと吐き出します。
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昔、どの家にもあった箒。

日本家屋は、建物の中央が最も高くなっております。そして人がいるところは襖の凹凸がある位でフルフラット。
縁、廻り廊下は一段低くなります。
それが玄関、土間に通じる。 上から下へと掃くので、利にも適っています。

このため部屋を開け放し、一気にホウキで掃くのが一番楽だったのです。

 
■電気掃除機は、団地で使うのに重宝

日本で電気掃除機が一般化するのは、核家族が叫ばれるようになったためです。

住宅が変わったのです。

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1967年 三菱電機
TC-1100。初代「風神」。
三菱電機のHPより転載。

団地がどんどん建ちました。
団地のサッシ&ベランダでは、外にゴミを掃き出すわけには行けません。
ご近所からクレーム必至です。

さらに言えば、ベランダに掃きだしたところで、ベランダにゴミが溜まるだけです。

このため重宝されたのが電気掃除機です。
皆、こぞって電気掃除機を買いました。

 
■マイ・ルーム、マイ・クリーナー
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2004-05年 エレクトロラックス社
エルゴラピードの第1世代モデル。
デザインが魅力的。


最近スティック型がブームですが、これは一人、二人住まいが多くなったためです。

子供がいない家庭は部屋が余り汚れません。
部屋に居る時間も少ないですし、子供のように全てをひっくり返して遊ぶという様なことはありません。

むしろ足らないのは時間です。
となると、インテリア感覚で掃除機は外。すぐ使えた方が便利となります。

独身の人には分かり難いですが、赤ちゃんは何にでも触ります。
油断も隙もありません。
目立つデザインの掃除機があると、格好の餌食。
ACアダプター配線などあろうものなら、心配でたまらなくなります。

日本でスティック型が売れているのは、背景にこの様なこともあります。

 
■変わる家
実は1990年代から、サッシに加え、断熱材をタップリ入れるような家が主流になりました。

冬でも暖かくですから、北欧の隙間がない建築に似ています。
北欧は暖炉が主流です。このため密閉度を高くすると暖かいのですが、酸素が足らなくなります。
TVでも時々映し出されますが、夜、寝室の窓を開けて寝るほどです。

そう、日本の家は、現在メチャメチャ換気が悪いのです。
昔、徒然草で、日本の家屋は夏を旨とすべしと書いたのと全く逆な状態になっているのです。

現在の日本は、シックハウス対策のため、継続的に高濃度のホルムアルデヒドの暴露を受けないようにするため、ホルムアルデヒド濃度が厚生労働省のの指針値以下になるように換気システムを入れるように建築基準法が改正、定められています。

法律に定められているのは、居室空間が0.5回/時間以上の換気できること。
算出方法も含め、細かな点はいろいろあるのですが、法律で定めなければならない程、換気が悪いことを承知してください。

 
良い点は、
1. 冷暖房が効きやすい。
2. 窓を閉めると、変なモノ(カビ、ウィルス、PM2.5など)が入らない。

悪い点は、
1. 換気が悪い。一度変なモノが入ると外に抜けにくい。
2. 湿気が溜まりやすい。60%を越し、温度が高いとダニが繁殖しやすくなる。

 
■現代の掃除機に求められること
これを基に掃除機のコンセプトを考えると、
1. PM2.5以上の大きさの塵埃は、すべて吸引できること。
2. PM2.5の最終捕集率、99%以上。できる限り高いこと。
3. 塵埃を捨てきる時も、塵埃が飛び散らないこと。
が、上げられます。

実は、この部分は全て、コストが掛かります。

サイクロンだけで対応するなら、かなり強力な小型モーターが必要です。
HEPAフィルターを使うと、コストが上がります。
また、ワンハンドで塵埃を排出する仕組みは、かなりの掃除機が採用していますが、紙パック以外で塵埃が飛び散らないとしているメーカーは無かったと思います。

3.は外で捨てるという手が残っているので、ちょっと後でという話はできると思いますが、1.、2.はかなり重要なポイントです。
特に、アレルギー性の喘息など、呼吸系に影響が出る人は要注意です。

これらは1960年代にはなかった要求です。
環境が変わり、家が変わったために出てきた要求です。

マーケティングデータの様に、調査するとこうだからと分かることではありません。
しかしユーザーの使う環境を考えると、必ず抑えなければならない機能なのです。

シックハウス症候群もそうですが、ダニを主体とするアレルゲン、花粉症を引き起こすスギ花粉他の花粉。
目で見えないだけに大変ですし、重要です。
「大事なことは目で見えないのです。」

これが、メーカーの「気・く・ば・り」、今後のマスト性能となります。

2014年6月8日

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