思うこと

4K放送について
シャープ発表会、NHK技研公開、iVDRセミナーより考えたこと


デジタル放送の試験日のコメントに、「歴史的な日であるのに、それが見られるNHK放送センターの1Fで、それを観ている人はほとんどいない。」と書いた人がいました。(名前忘れて、ごめんなさい)
何故でしょうか?
それは、デジタル化されても「基本的に何も変わらない」と思った人が多かったからではないでしょうか?

しかし実際は、かなりのことが変わっています。

 
■デジタル放送で変わった所
IMG_0688

東京タワー。
アナログ放送の象徴的存在。
現在も地デジの電波を発信中。

皆さんが、デジタル放送のために買い換えられたハイビジョンTVは、今までのTVと2つの違う所があります。
1つは、画面サイズです。
これは、画がキレイになったためです。
画がキレイだと、視聴距離が短くても問題ないのです。
言い方を変えると、今までと同じ位置で、より大きなサイズのTVが見られるようになったことを意味します。
つまり、アナログ放送時代より、大きなTVアナログ時代 ブラウン管は最大36インチでした。本当に重く、持ち上げられない!。2014年の売れ筋は、42〜48インチと聞いています。縦横比(アスペクト比)が異なるので単純な比較はできませんが、2周り大きいTVを買っていると考えてください。圧迫感が少ないのは、横広になったのと、厚みがなくなったため。を買っているわけです。

価格表

音元出版「Senka21」2014.04号 掲載のメインTVサイズと消費電力の表。
メインサイズがドンドン上がっていることが分かる。


31N+3Bt3ApL

パナソニック 偏光フィルム方式
3Dグラス TY-EP3D20W
3D TVの必需品

2つめは、3D立体TVのこと。いつかは部屋の中をモンローが歩いたり、ゴジラが暴れたり、ベイダー卿に襲われる時代がくるかも知れません。が可能になったと言うことです。
関係ないと思われる方がいらっしゃるかも知れませんが、3Dをキレイに見るには「高画質化」がマスト条件なのです。
確かに眼鏡をかけますが、赤青3D時代の3Dとは違い、今の3Dは立派です。
1960年代、TVが映るようになった時代、次世代TVが議論された時、次のステージとしてあったのは「高解像度(現在の高画質化の意)」と「3D」。
早くできるということで「高解像度」が選ばれたのは知られた話です。

 
しかしデジタル化がもたらすものは均質化です。
ある規格をクリアすれば、あるレベルの品質が保証できるのがデジタルという技術です。
このため、出にく品質差を、量産(=価格)という枷に足を引っ張られ、今の状態になったのは皆様もご存じの通りです。

そうですね。
国内景気が一段と悪くなったのも、デジタル放送で変わった所・・・。

また民放も割りを喰らっていますね。
HD機材は決して安く有りませんからね。
機材を買った分だけ儲けなければなりませんが、不景気でCMも少なくなっている上、TV離れも有り、某国民的番組が終了後の、海の近くの某放送局は特に厳しいと聞いています。

おっと忘れるところでした。
VHFの放送帯域は、通信会社(携帯電話会社)に渡されたのでした。
通信回線の相次ぐ高速化は、デジタル放送がなったからでもあります。
こちらはプラスの話ですね。

 
でも、リビングにTVが置いてあり、必要な時に付けて観るというスタイルは、変わってないですね。
そういった意味では、冒頭の「大した事はない」という認識は正しいということができます。

 
、8K・・・
2020年の東京五輪。
決までは賛否かまびすしいことこの上なかったのですが、一端決まると、何とか盛り上げよう。ビジネスにつなげようと、皆頑張っていますね。どうも石原、猪瀬の元都知事コンビの思惑に落ち着いた感じですが・・・。

お祭りは、景気のカンフル剤。
「こち亀」で、地域経済活性化のため、両さんが毎日祭りをする話がありますが、確かにカンフル剤です。

4k_logoこれを受けてか、どうかは知りませんが、本年6月2日から4Kの実験放送を、2016年に8Kの実験放送。
2020年のオリンピックは8K放送でなどという景気のいい話も出ているではないですか。

今回はHD(2K)に続く、4Kの状況をまとめながら、いろいろ考えてみたいです。

 
■シャープの発表会にて
この日発表されたのは、4Kのチューナーを持つHDDレコーダー:TU-UD1000と、その4Kの信号を映し出すことができる4KTV:LC-70UD20、LC-60UD20、LC-52UD20。内、レコーダーと70V、60VのTVが6月25日に、52Vが7月15日です。

画はキレイでした。

DSCF8831

メチャメチャきれいな4K画質。


しかし、これは・・・と思ったことが、2つ。

1つ目は仕様です。
レコーダーがなければ、TVは4K信号を受けとることができませんし、TVがなければレコーダーは4Kデーターを持ち腐れです。
要するに、片方だけではダメなのです。
何故、TVに4Kチューナーを付けないのかは、分かりません。またレコーダーは著作権の関係で録画したHDDから出せないのは兎も角も、光ディスクドライブが付いていないので、高級BDレコーダーとしては使えない状況です。

2つめはサイズです。
50V以下がないのです。
確かに4Kは、ハイビジョン(2K)の倍の画素数。大きな画像を近くから見ることは可能です。
しかし、52Vは、まだ発表されていませんが、60Vは横幅136.1cm、70Vは155.9cm!
女性が横になっているのと余り変わりません。
単純に言うと大きです。

問題はどこに置くのかです。
例えば我が家のリビング。
壁は80〜100インチのスクリーンが設置できるようにしてあります。
しかしTVだと50インチ以上は置きたくない。
スクリーンは上に収納できますが、TVはずっとそこに有り続けるからです。
本当に困ります。

 
■5月末週 NHK技研公開にて
シャープの発表会から一週間後、NHK技研公開されました。
8K技術が数多く発表されました。

 
●8K TVのあるリビング
P1000081

台に載せ、壁に半埋め込みのTV。
リビングサイズは大きいが、他に何もできない感じ。

まず、TVサイズから。
85Vが基準でした。これが一番キレイに見えるそうです。

想定リビングもスゴい。
20畳位のリビングの壁にTVが埋め込まれています。
下にNHKのキャラクター人形がずらっと勢揃いしていますが、隙間でスカスカ。
リビング=TVを観るところは、TVっ子という言葉が生まれた昭和30年代の6畳の小さなお茶の間より、貧しい気持ちがしました。

P1000077

黄色の部分が、支え台の厚み。
展示会場なので、地震が来てもと
安全に配慮したのだと思われるが
それは家庭も同じ。

他のコーナーで、この85Vのテレビを支える台を横から見ると、分厚かったです。重さも重そうです。
安全性に配慮したのだと思いますが、スゴい台でした。

 
ちなみに、音はニア・フィールドを意識したものでした。
「大画面を近くで観る、聴く」が前提とされていました。

 
●8Kの映像
8Kの映像のメインは、ミラノスカラ座の映像でした。
キレイです。
しかしオペラは演出によって照明、色彩などは変わりますので、正確性は分かりません。
どうせなら大相撲、プロ野球など、よく目にするものの方がイイです。

実は、現在の大相撲の放送時の色は汚いです。
本当の相撲取りの肌つやはキレイですし、化粧廻しを付けた土俵入りは更に華やかです。
今のHDは、これを再現していませんから・・・。

 
ただ8Kの映像で一番重要なのは、「撮り方が変わる」と言われていることです。

ピントが合わせにくいらしいのです。
カメラマンの横にフォーカスマン(ピントを合わせる役割の人)が付いて撮影すると聞いています。
このためフォーカスの合わせやすい、「俯瞰撮り」が多くなるそうです。

昔々のJリーグ発足前の海外のサッカー中継がそうでしたね。
アップが余りなく、俯瞰が多い。リアリティーに欠けていました・・・。

とにかく、今の画が高精細になるだけでは、なさそうです。

 
ついで言いますと、ハイビジョンの機材の入れ替えで投資回収に苦しんでいると聞く民放はどうするのでしょうか?
今の放送を、4K、8Kにアップ・コンバートして対応するのでしょうか?
それとも大枚を叩いて機材を揃えるのでしょうか?
なるようにしか、ならないのですが・・・。

 
●裸眼3D、触感TVへの挑戦
幾つかの裸眼3Dへの技術発表もありました。
口さがない言い方をすると、「ボケた」画像です。
理由は簡単です。元画(2D)の解像度が足らないので、3D化してもクリアに見えないのが現実の様です。
聞いてみると、8Kは欲しいそうです。

3D化すると画面サイズは小さくなりますので、手頃なサイズです。
これは全く新しい世界です。

インテルラル立体

3種類のインテグラル立体画像。2D写真のため立体に見えないのはご愛敬。
左)赤外線で人の位置を感知。位置を変えて、2Dを画を積み重ねることにより3D化する。
中)複数のカメラとレンズアレイのディスプレイを使用した3D描写。
右)複数の2Dディスプレイを重ねた3Dディスプレイ。


 
新型

左)指にアタッチメントをはめる必要があるが、その位置の固さが分かる。
右)凹凸で画を表現。手で触って読み取る。写真は天気図。やはり図の情報量は多い。

さらに新しいTVとして展示されていたのは、触って分かるTV。
現在は器具ですが、これも新しい感触です。
8Kの情報量の多さが、基本になっているそうです。

 
8Kほどの情報量があれば、いろいろな見せ方が可能になる分けです。

 
●期待したいELディスプレイ
P1000104

タブレットサイズ。
クリップで留められる重さ。
去年よりキレイ。なんとか実用化して欲しい。

昨年も展示されていたフレキシブル(丸められると言う意味)ディスプレイがありました。
昨年より遙かにキレイです。
このディスプレイの最大の特徴は「軽い」ことにあります。
85Vで、2kgだそうですので、どれほど「壁掛け」に向いているのかお分かりでしょう。

もし85Vが絶対と言われたら、リビングの壁を使うことになります。
ところが壁は100kgの重さのモノを掛けられる前提で作られては、いません。
しかし、この軽さなら問題ありません。

平面TVは、ブラウン管時代と異なり、ある種のインテリアとしての側面を持ちます。
その場合、行き着くのは、オブジェではなく、「絵」です。
究極のインテリアといわれる額縁です。
このディスプレイは、その夢を見せてくれます。

 
●NHKの良さ、他
NHKは、CMとは別の確定収入がある強みを持ちます。
このため、豊富な人材、機材を使うことができます。
私が一番スゴいと思うのは自然記録映像。
特に昨年話題になったダイオウイカ等は、NHK以外では、イギリス国営放送 BBCでないと撮影できないでしょう。
日曜日の午後7時30分からの子供番組、「ダーウィンが来た」などでは、凄い映像が、何気に使われており、呆れかえる程です。ちょっとやそっとで撮れない映像のオンパレード。

ただNHKは、別の意味でも呆れる部分も多々ありますが・・・。

 
今回の技研公開も、色々なモノが同居した面白い展示でした。

 
■4Kを入れるリムーバブル・メディアを求めて、iVDRセミナーへ

今回発表されたシャープのレコーダーは、光ディスクが付いておりません。
しかしシャープは、1TBのHDDに、53時間の録画ができるとしていますので、ざっくり18.9GB/時間です。
現行のBD-Rは2層50GBの容量がありますので、容量的に入らない分けではありません。

が、転送レート1秒間にどの位のデーター量を送ることができるのかを示す。これが足りないと画を構成するデーターが足らないため、画がでなくなる。が厳しそうだということは見て取れます。

それならと、転送レートが厳しい光ディスクではなく、リムーバブルHDDを記録媒体にしたiVDRの現状を見に行きました。

 
iVDRは、生活家電.comの皆さんには馴染みが全くないと思います。

簡単に紹介します。
規格母体は、キヤノン、富士通、日立、フェニックス テクノロジーズ、パイオニア、三洋、シャープ、日本ビクターの8社が2002年に立ち上げた「iVDRハードディスクドライブ・コンソーシアム」。

カートリッジに封入されたHDDを記録媒体とします。
規格のポイントは「カートリッジ」と「インターフェイス」、そして「著作権保護」です。カートリッジは2009年にISO/IECで国際標準規格として承認されています。

規格はこれだけなので、容量はHDDの容量アップに比例し、年毎に伸ばすことも可能です。容量が規格書に明記されている光ディスクとは異なります。

転送レートも早いです。ブルーレイの24倍ですので。

欠点は、1カートリッジ当たりの価格が高いこと。
そして衝撃などでダメになる可能性があることです。
後、1カートリッジ毎にデータを書き込まなければなりませんので、DVD、BDの様にソフトを量産するDVD、BDはスタンパーと呼ばれる型にポリカーボネート樹脂を流し込んで作ります。だからポンポン作ることが可能になります。のは難しいことにあります。

統合

左)iVDRと他のメディアとの比較図、右)TV放送の変遷図
いずれもiVDRのセミナー資料


セミナーを聞きながら思ったのは、4K、8Kはハリウッドから支持されない可能性があることです。

P1000146まず、先ほどNHKの話の中で、4K、8Kだとピントが合わせにくいため、俯瞰が多くなるという話をしました。
映画は映像表現ですので、表現を制約するモノを非常に嫌います。
余程の見返り、その制約の見返りに得られる表現力を求めます。

ハリウッドはハイビジョンまでは受け入れました。
理由は、CGの多用で高騰する制作費を手に入れるためDVD、BDの利益が必要でした。
また3Dは、観客を映画館に呼び戻し、スクリーン直撮りの海賊版を防ぐのにも役立っています。
つまり、ハイビジョンは映画を作るのに有用な技術だったと言えます。

さらにセミナーでは、フレーム数を上げると映画らしい動きといえないとコメントされているという話も出ました。

つまり4Kで撮影すると、今までの映画とかなり違う可能性があることです。

 
P1000153

桃井はるこ さん。
元祖アキバ系女王と呼ばれることも。

セミナーの合間に、iVDRでソフトを出す桃井はるこさんの「モモーイ Live☆ぱいれーつ」イベントをしていました。
高価格、高容量を十二分に活かしたそのソフトです。
一番近いのは、特典満載のアニメのDVD、BDボックス企画です。

1つのカートリッジの中に4つのライブ・コンサート。それしかない独占インタビューなど、全部で10時間の映像。このソフトでしか手に入らない、オリジナル・ステッカーも特典。

「桃井はるこ」さんは、元祖アキバ系女王の異名を持つ秋葉ッ娘で、強力プッシュのファンもいます。
そのファン相手のソフトなのです。

価格は、2万1800円、そこそこです。

DSCF9265

メニュー画面。4つのライブが入っていることが分かる。
5000円/ステージなら、高くはない!?


ただし、DVD&BDで50%以上の売り上げを上げている現在のハリウッドでは、厳しい話です。
4Kが採用されても、ソフトの作り方を考えなければ、iVDRがソフトでブレイクするとは難しそうですね。

あとはレコーダーの標準記録媒体ですね。
これは可能性が有ります。iVDRの頑張りを期待したいところです。

 
しかし4K時代は、逆にレコーダーはなくなるかも知れません。
買ったソフトをクラウドにおき、再生させる、TV番組はその都度配信する様なサービスが当たり前になるかも知れません。
そうするとレコーダーは不要ですから。

 
■何故、ハイレゾは活き活きしているのか?
オーディオで「ハイレゾ」という分野があり、今盛況です。
今をときめくオーディオ機器、「ヘッドフォン」の展示などでも色々なハイレゾ音源がひしめいています。

hires_400x258

ロゴもまちまち。
左)JVCケンウッド、右)ソニー

実は、ハイレゾに定まった規格はありません。
サンプリング周波数、もしくは量子化ビット数がCD-DA(通常のオーディオCDのこと。サンプリング周波数:44.1kHz、量子化ビット数:16Bit。1982年当時処理できる最高情報量での規格。今はどんな安いPCでも対応可能。)を超えているのが条件です。

そうすると、「これがいい」、「あれがいい」というフラグが立ちます。
味がそうであるように、音にも好き嫌いがありますので、その下に人が集まりますが、人間ですからね、そこからまた個性を出して行く、またフラグを立てる。
どんどん活況を呈するわけです。

 
ハイレゾが活き活きしているのは「したいから」「聞きたいから」が原動力だからだといえます。

それに対し4Kは、映画、民放は付いて来ない可能性もありますし、俯瞰だらけのスポーツ中継になる可能性もあります。録画も現在販売されているパッケージ・ソフトも、時間を問わない配信サービスで対応になるのかも知れません。

同じ映像でも、YouTube等が活き活きしているのは「しかいから」「観たいから」が原動力だからだといえます。
いっそ、ムービー、カメラが4K化。全員が映像をいじり倒す様になってから、4K放送するのも1つの手ではないでしょうか?

欲目で見ても、ハイビジョンよりユーザーメリットがある様には見えません・・・。
新しいTVが大型だからと言って喜ぶ時代は終わったと思います。第一、大きすぎます。

放送規格を変えることは、ハイレゾと大きく異なりますから、色々な役者が揃ってから進めてもイイのではと思いますね。

 
■関連記事 思うこと「テレビという商品をもう一度考えてみよう

2014年6月3日

タグ: , , , , , ,