俳句。短歌の五・七・五・七・七の上の句が独立した世界で一番短い定型詩。江戸時代、この方、日本人はこの十七文字も中に、季節と感興を入れ込んできた。鎖国をしていた日本は、他の国に比して貧乏。それで買ったものは、徳川三百年の太平。平和である。その中で、金のかからない遊びとして俳句は日常レベルで読まれる様になる。
どの位、生活に溶け込んでいるのかと言うと、アニメ、映画にも出てくる。マザーグース(英国の童謡集)を見立て殺人に使うミステリーはいろいろあるが、それを俳句で行ったのが、横溝正史。江戸川乱歩と共に人気の探偵小説の大家だ。作品は「獄門島」。「鶯の 身をさかさまに 初音かな」「無残やな 兜の下のキリギリス」「一つ家に 遊女も寝たり 萩と月」の3つの句になぞらえた殺人が起きる。
映画の中で、探偵の金田一耕助に、床屋の親父が俳句の説明をするシーンがある。「風流というものは「しらつゆの さびしき味を 忘るるな」と芭蕉の翁が戒めているように、しっとりとした味わいがなければならい・・・」。
ま、俳聖と言われた芭蕉の名前に勝てるものはいないのだが、この親父のいうのが、日本人の俳句感と言ってもよい。俳句は風流なもの、渋いものとなる。世知辛い現代、今を生きる自分には関係ないとなるわけだ。が、そうだろうか。
この俳句を、今や夏の定番ドリンク「アイスコーヒー」と合体させ、ついでにキャンペーンを張れないかと考えたのが、ねネスレ。ただし俳句改め「杯句」としてある。
■「杯句」を楽しむための方法を提案展示
が、遊ぶなら、徹底した方が面白い。それはいつの時代も同じ。今、渋谷で行われているキャンペーンは中々のものだ。最後は句の評者もいる。
彼らが提案している杯句には、この5つのステップが提案されている。
キャンペーン会場には、それぞれのエリアが用意され、上手く楽しめる様になっていた。■ステージ1 杯句につつまれる

単純に、布に印刷された短冊に包まれる。が、面白いのは、物量ではなく、鏡を使ってあり、量を水増ししてある。模倣者が際限なく出た名画「燃えよドラゴン」の鏡の間というとわかってもらえるだろう。前が本物、後ろは虚像である。短冊の透け文字(裏側)は当然反転文字。それが鏡で反転するので、正しく読める。
理屈はそうなのだが、実際はかなり戸惑う。その分面白い。
■ステージ2 杯句に触れる
切り抜かれた活字に触れることができる。それだけ。
ポイントは明朝体であること。明朝体というと、アニメ「エヴァンゲリオン」のサブタイトルが有名だが、始めたのは、市川崑監督。先に話した金田一シリーズでだ。読みにくいのに、圧倒される文字圧は、誰もが真似したくなる強さを持つ。
こちらは太くなく、縦書き、連続書きの日本文字ならではの美しさを写した細明朝。暑苦しくないのが魅力。
この横に、自分が夏だなと思う言葉を貼り付けていく。
■ステージ3 杯句を紡ぐ 俳句AI登場
今が旬のAIに自分の選んだ言葉を使って杯句を作らせようとする試み。
ディープラーニングが当たり前になり、ほとんどの本がデジタル化されている今、AIで俳句を作るのは容易だろう。また、学ばせる俳句を芭蕉に限ると、芭蕉的な句を作るAIになるかも知れない。
使い方は、AIをスマホに読み込ませ使うだけ。自分がそのシーンのキーワードと思う言葉を入れれば、作ってくれる。結果は、その場の大型ディスプレイに映し出される。

スマホにAIを読み込ませると、提示される画面。
日本語で情景を入れるだけ。

AIに読ませた結果。はっきり言ってとても下手。
AIが私のために詠んでくれたのは「氷の中 カランと響く 夏の音」。
どうも、杯句はイメージ優先型のためか、オンマトペが多用される。加えて、氷の音でカランはないだろう。多分、飲み干し感の「あーカラになったか」ということも加えられてのことと思われるが、日本語として拙い。
それはともかく、ここまで来たかとも感じられる。

最後はお約束の大画面表示。読み人知らずの
表示なので、問題なし。
■ステージ4 杯句を仕立てる
さて、AIの出来がまだまだなためか、次は自分の言葉に直す作業だ。
スマホをペンに持ち替えて短冊に書く。

表に印刷された夏言葉。
左上の無地でフルオリジナルにするのもあり。
■ステージ5 杯句を詠み干す
厄払いではないが、自筆の短冊を貼ります。
評者も付いているということで、評価してもらうのも一つの手かも知れません。

さあ、どれを選ぶ? といわれても・・・
さて、ここでアイスコーヒーを一杯。
3種類のエクセラより一杯飲めます。
3種類というのは「甘さひかえめ カロリーオフ」「無糖」「カロリーゼロ」です。
■市販アイスコーヒーの甘味
言葉は似ていますが、この3種類成分は全く異なります。
「無糖」は糖分が一切ないもの。
「カロリーゼロ」はカロリーはゼロだが、合成甘味料(アセスルファムK(Kはカリウム))が適量入っているもの。
「甘さひかえめ カロリーオフ」は、砂糖と合成甘味料(アセスルファムK)が適量(量は非公開)入っているもの。
砂糖は塩と並ぶ、代表的な調味料だが、塩と砂糖で味が全く異なる様に、溶け具合も全く異なる。食塩は、20℃の水100gに、約36g溶ける。飲むと塩分過多で死に至ると言われる海水が、3.3%なので、その10倍量まで溶ける。塩の適量は、血液中の塩分濃度:1%。これ以上になると、やばいということで、脳が塩辛ら過ぎる。食べてはいけないと判断する。
一方の砂糖は同じ条件でなんと200g。温度が上がるとさらに溶ける。沸騰させると400gを超える。
よくジュースには信じられないほど、砂糖が入っているという都市伝説があるが、それは、この溶ける量が根拠になっている。どんな噂にも、そうなる理由はある。
実は甘味に関しては、2015年、世界保健機関(WHO)から糖類摂取に関するガイドラインが出されている。甘味は、遊離糖類の摂取量を摂取エネルギー全体の10%未満にすることを強く推奨すること、基本5%以下にすること、などが書かれている。遊離糖類というのは、上白糖やグラニュー糖などの調味料、加工食品、はちみつ、シロップ、果汁・濃縮果汁に含まれる単糖・二糖類のこと。ちなみにこのガイドラインは、虫歯と肥満防止のためのものだ。
日本の成人は、2000Kcal/日。5%というと100kcal。糖類だと25g。25gはティスプーン、6杯ほどなので、摂取に注意する必要がある。ちなみに50g(10%)は糖尿病の人の目安として使われることが多い。天然の砂糖は問題なので、合成甘味料なら問題はないのかと言うと、別の問題がある。
例えば、製造工程の安定性などだ。日本、アメリカ、ドイツなどはきちんとしていても、そうでない国も多い。そしてそちらの方が安い。安物は、何が混ざっているのかが、分からない。
砂糖を含む保証は、基本人によるテスト。真面目にすればするほど人件費がかかる。経費中、一番削減しにくい。当然、検査の回数を減らすのが手っ取り早いと考える企業もある。
私は、大学、大学院と応用化学を学んだが、理論と実際は、これほども違うのかということを、目の当たりにしてきた。化学物質は確かに便利なのだが基本使わないにこしたことはないというのが、自分の結論だ。
特に、ダイエット系ドリンクは合成甘味料(アセスルファムK)を多用する。カロリー・ゼロだからと言って、飲み過ぎにご用心。
■ぜひ販売して欲しいオノマトペ・コップ
金をかけずに、いい感じになろうというのは、日本の伝統的なやりかた。
今は、夏、エアコンが当たり前になり、人工的に冷やすという金がかかる方法を取っているが、元々は風が入る家を中心に長いひさしに夏野菜。体を冷やしつつも、栄養をとる。ゴザをひき昼寝。そして行水に打ち水。家電としては、扇風機がせいぜい。飲み物は、麦茶か、カルピス。暑い日は、かき氷。そして日が暮れると蚊帳を釣る。私が子どもの頃は、これで夏頑張ったわけです。
それでも、朝には朝顔、夕方には夕顔。カブトに、クワガタもいましたし、お盆は母方の田舎に。田舎の田んぼでは、トンボ、ヤンマをとったり、小川で釣りをしたり、夏祭りでは金魚をすくって家族に。まぁ、満喫していますね。
そんな中、お気に入りのかき氷用のガラスの器をよく覚えています。骨董趣味があった祖父がくれたモノで、透明ではなく茶系のガラス器。かいた氷の白が映えます。それに明治屋のレモンシロップをかけるのですが、キレイだなぁと思いながら食べていました。子どもに使っていいとする程度ですから安物でしょうが、専用であるのは嬉しかったです。
で、会場で見つけたのがアイスコーヒーを出す、オノマトペ・コップ。
正直、夏用に、これ欲しい!!
大したことがされているありません。ガラスコップに、明朝体の文字が印刷してあるだけ。
へんな図柄より、よほどセンスがある。夏の飲み物は、どことなく音が感じられます。アイスコーヒーなどは少ないですが、私には「すっ」という音ですかね。ストローで飲む一口目の感じです。

コーヒーだけでなく、ごくごく飲むのに最適。
欲しい!
まぁ、それによらず、「ごくごく」とか書かれているといいですよね。オノマトペは、マンガで多様、馴染み深いですが、文芸では宮沢賢治のセンスが抜群です。
やまなしの冒頭「『クラムボンはわらったよ。』『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』」などは、すごい。誰も思いつけないです。
それはともかく、この催し、来週の月曜日まで渋谷キャスト スペースで開催されます。
通常19:00。最終日は16:00。
さすがに世知辛い情報都市 東京。キャンペーンはすぐ終わりになりますが、お金をかけずに、夏を楽しむ考えには大いに賛同できますね。
夏のドリンクの1つになったアイスコーヒー。夏は、水分を多く取らねばなりませんが、書きました通り、考えずにがぶ飲みするのはご用心。うまく、今年の酷暑をのりきりたいものです。
#いとうまし 夏のネスカフェ 杯句展 #ネスカフェ #エクセラ #杯句 #AI #オノマトペ #金がかからない

RSS












