思うこと

【UCCカプセルコーヒー】水素焙煎によるコーヒー雑談


コーヒーは嗜好品であり、いろいろな味がある。
その味は、豆の産地、扱い、焙煎、挽き方、抽出法、カップなど、ありとあらゆる要因で変わる。



■最近始まった水素焙煎って何

UCCが最近使っている言葉に水素焙煎というものがある。単純にいうと火を燃やすのにガスではなく、水素ガスを使った焙煎だ。

メリットを聞かれた時、一番大きいのは、「CO2を出さないこと」だろう。
化学式で書くと、2H2(気) +O2(気) →2H2O(気) +284KJ

最後のKJは1molを燃焼させた時の、熱量だ。
水が出てくるだけである。

一方、今までの燃焼は、以下の式で表される。
C(黒鉛) + O2(気) = CO2(気) + 394KJ

C(黒鉛) は石炭、石油何でもいい。地球上の生物の多くはカーボンユニットと言われるように、炭素を用いた分子で成り立っている。このため、何を燃やしても、二酸化炭素が出てくるというわけだ。

しかし、地球と共に存在し、生命生活の副産物ともCO2は今や温室効果ガスとして悪者扱い。各国ともに、排出量削減に取り組んでいる。もともとCO2の調整は、海、川などの水と植物で行ってきた。が、人口爆発で、植物によるCO2削減では追いつかなくなった。

それはそうだろう、数億年のカーボンユニット、生物の死骸から作られた石炭、石油を使いまくり、今の世界は成り立っている。それまでの生活ペースに対し、エネルギー消費がものすごいのだ。

この炭素燃焼の代替えとして、注目されているのが水素なわけで、資源エネルギー庁は2023年6月6日に水素基本戦略を公表し、2030年最大300万トン/年、2040年1,200万トン、2050年2,000万トン程度の導入目標を掲げている。

UCCの様なコーヒー会社にとり、一番火を使うのは「焙煎」。そのために水素ガスを使った焙煎を試みたわけだ。

発表会時に、使われたキッチンカー。
水素焙煎のロゴは科学メーカーの様。


 
■水素ガスがコーヒーにもたらすもの
環境にやさしいのは、わかっていただけたと思うが、次はそれをわざわざ「水素焙煎」というのは何故かである。環境にいいことなら、全会社手掛けており、決算書には、阿呆陀羅経のようにダラダラ書き連ねてある。

実は、コーヒーに対し、かなりのメリットがあるのだ。

冒頭、コーヒーはいろいろなことで味が変わると書いたが、中でも「焙煎」はすごい。魔法のように味が変わる。抽出の比ではない。面倒く臭く、手間がかかり、その上臭い問題も発生するので、誰にも薦められるというものではないが、コーヒーで遊ぶなら、抽出より焙煎が断然面白い。

焙煎は生豆に熱を加えることにより、豆に含まれる成分が化学変化を起こし、揮発性の素晴らしい香りや、苦味、酸味、甘味といったコーヒー独特の風味を作る工程だが、当然加熱しすぎると油分が多量に出て焦げる。が、エスプレッソは焦げるギリギリまで加熱したコーヒー豆を使う。

スターバックスは、アメリカでイタ飯が流行った時、大きくなった。要するにエスプレッソ由来のコーヒー・チェーン。今は少なくなったが、昔のスターバックスは豆が焦げた様な匂いが充満していた。ご飯のお焦げと同じ様に、食欲が唆られたものだ。

閑話休題

水素ガスが燃焼式にある様に、燃焼した時に出てくる熱量は、通常の燃焼に比べると低い。つまり弱い火力でも安定した燃焼が可能なわけである。要するに、多彩な焙煎、しかも繊細な焙煎ができるわけだ。

そしてUCCは、ドリップ方式の抽出法にこだわる。ドリップ方式は古くからある方式だが、それにブレンドではなく、豆一種のみを使った飲み方がポピュラーなのは日本ならでは。個人的には「純粋」大好きな日本人だからだと思っている。白米も、糠などを全部削ぎ落とした上に成り立つ味。純化させ、極めるのは日本の得意技でもあり、できることは1つだが、それを極めた者を大絶賛するのも日本だからだろう。

さて、コーヒー豆にはアラビカ種とロブスタ種がある。アラビカ種はどちからというと、雑味がなく、ドリップに向く。逆に、ロブスタ種は、雑味はあるが、それが野生味としても楽しめる。
南イタリアのエスプレッソは、アラビカ種にロブスタ種をブレンドして使うことが多い。

セブンの店内コーヒーの「アラビカ種のみを使っている」というキャッチフレーズは、これをもとにしたもの。ちなみにコーヒー豆の80%はアラビカ種なので、適当に使ってアラビカ種と言っても余りハズレは出ない気がする。

ちなみにコーヒー分類でメジャーな「キリマンジャロ」「コナ」「コロンビア」などの地名は、この下だ。要するに、みんなアラビカ種なので、区分けに地名を使ったのだ。ブドウはテロワール(自然環境要因)により味が違うので、ワインをブドウ種だけでなく、産地も付けて分類するのと同じ。

 
■味はピュア極まれり。だがしかし・・・
それはさておき、水素焙煎でUCCは目指した味は・・・、より雑味を減した。日本人が大好きな「純」を増しましたという感じだ。ただし、個人的に言わせてもらうと、純粋すぎて、面白くはない。
どこかの純粋培養されたお嬢さんとデートしている感じなのだ。本人らしさ、というか、個性というか、癖がない。酸味が少々強めなのだが・・・。実は、これらはアラビカ種のオリジナルともいえるエチオピア産の特徴でもある。

飲み比べた感想です。
比較できる状態で手に入れるのは難しい。


が、ここでもう一つ思ったことがある。
それは「なるほど、カプセル向き」だということだ。カプセルコーヒーは、高いこともあり、否定する人も多いが、私は使い方だと思っている。淹れる時のブレがメーカー保証内と言えるほど少ない。要するに、そのコーヒーの「この様な味のコーヒー」ということが分かるからだ。それは店の癖を含め、変化するマイナス要因を全部排除したため現れたとも言える。
カプセルコーヒーは、常に使う必要なく、味の確認のために使うのが最も理にかなっている様に思う。

 

2025-05-05