豆知識

米を美味しく炊くためのポイント
嗜好品としての米 03


新米の季節です。
何故、新米は美味しいのでしょうか?
それは劣化のない米だからです。
米は、コクゾウムシなどの害虫に食べられなくても、空気中の酸素による酸化、乾燥による水分低下、そして精米された米は時間と共に内部にあるアミラーゼ酵素の働きが弱くなる等、さまざまな理由で食味は落ちます。

逆にこれらの影響を余り受けていない、新米は美味しいわけです。

 
■保存法

米の構造ずばり、玄米を冷蔵庫で保存することをお勧めします。

右に玄米の概略図を示します。
見てお分かり頂けますように、玄米はヌカが付いた状態のお米を言います。

何故、玄米が保存に適しているかというと、1つには果皮の部分がシブ(渋)を持っていることが挙げられます。
柿渋が防腐作用を持っていることはご存じの通りですが、カビ、害虫から米を守ります。

玄米で15℃以下に保存すると、夏を越すことができると言われております。
ポイントは、低温環境ですね。

米は「種」ですので、深く眠りについた生き物と考えてください。しかし眠っているだけですので、僅かですが代謝があります。それを抑えるのが低温化です。
映画の宇宙旅行などで長い睡眠が必要な場合は、冷凍カプセルに入り寝るシーンがよくありますが、それは代謝を落とすためです。
冷蔵庫は、その食料の冷凍睡眠庫と言っても良いかも知れません。

 
■日本人にとって美味いということは?

日本料理は、素材をとても重視します。そしてその素材の味を最大限に表現するのが和食です。
欧州のようなハーモニーではないです。彼らは主役を2人絡ませ、渾然一体となった別の味を作り上げようとします。
日本は違います。主役は1人なのです。薬味という言い方がありますが、その素材の味を出すためのものです。主従は決まっているのです。

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日本の最高峰の刺身、鯛。
半透明な色合いも、澄んだ味を連想させる。


では、主役に求められるのは何か?
それは磨き抜かれた、澄んだ味だと思います。鯛なら、鯛のあの白身独特の甘みを刺身醤油で引き出して食べる。

逆に言えば、雑味を避けるのが日本的なのです。

 
■精米、研ぐ(とぐ)意味

精米は、雑味となるヌカの部分を取り去ることを言います。
旨味層とでんぷんの部分が、最も美味い部分なのです。

栄養学的には、玄米がもっとも栄養素が入っていると言われています。
しかし、昔の人も精米して食べていました。

玄米に豊富なビタミンBの摂取が、精米ではできなくなるため、脚気になる人が多かったと言われます。脚気は別名、江戸病。
江戸時代は安定していたので、特に何とか食べて行ける江戸で生活していた人は、かなりの所までヌカを取った米を食べていたと思います。

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杵&石臼のスロー精米。
今では見かけなくなった。


精米は、その昔、水車でしていました。
ただヌカの最も内側にある胡粉顔料の1つ。ハマグリ等、貝殻を削った粉。当然主成分は炭酸カルシウム。層はなかなか取れません。

特に、精米したまま放置すると、この部分は硬化し吸水性が悪い。中の脂肪、タンパク質分が酸化し味が落ちます。

精米後のお米の旨味は、かなり早く劣化します。
夏場では美味しく食べるなら14日以内という人もいます。精米後、店頭に並ぶまでにも時間が掛かりますので、すぐ食べる必要があります。

また、精米のやり方によっては、胡粉層だけでなく、サビオ層も落としてしまいます。
ここの処理は、美味い米を食べる時に重要なポイントとなります。

で、日本人が編み出したのは、「米を研ぐ」という技術です。

寿司屋に「シャリは炊き方より研ぎ方」昔、米のプロは「研ぎ師」「炊き師」で分かれていたそうです。給金は研ぎ師の方が多かったとか・・・。という言葉が残っている位ですので、劣化していないサピオ層を出した状態の米にして、炊くことが重要であるということは、お分かり頂けると思います。

 
■研ぎ水

米は田んぼに水を張って作ります。
乾燥前の米の中には、かなり水が含まれています。潰すとミルク色の坯乳が出てきます。水気たっぷりな訳です。

これを長期保存のために乾燥させます。
農林水産省の玄米含水量の基準は15%。しかし、含水量が16〜17%のものは美味い。
差分は水ですね。保存された米は、水に付けられた状態になると一気に吸水を始めます。研ぐ間でも、5〜10%は水を吸うとされています。

精米 のコピー

左)精米直後、右)水に30秒浸した状態
デジタル顕微鏡 200×
水を吸って膨張していることが分かる。


研ぐというのは、ヌカの胡粉層を落とすと共に、米の水分を整えることなのです。
炊き込み時の水をケアされている人は多いともいますが、研ぎ水の方もできる限りケアをお勧めします。
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象印マホービン
炊飯洗浄ポット MQ-JA11


ちなみに、象印マホービン社より炊飯用の浄水器が発売されています。

 
■無洗米ならば・・・

今、無洗米 流行です。
で、ネット等を見てもいろいろな情報が出ています。

便利、お得、水質保全にも役立つとも、言われています。
理屈もよく分かります。

でも、私は研いだ米以上の味の無洗米は知りません。
このため米を嗜好品として捉える当頁では、押しません。

 
■要約すると

自分の好きな味の米を玄米で購入。保存は冷蔵庫。購入サイクルは1月位が良いと思います。

精米機で、必要量をその都度精米。
自家精米にしたのは、店だと少量精米に対応していない精米機であったりするからと、精米後、使い切ることがポイントだからです。

研ぎは、自分で工夫の余地があるところです。
最近の高級炊飯器は、米が吸水する手助けまでしますので、お持ちの炊飯器を考慮しながら進めてください。
水もポイントの1つです。

これって、スペシャリティー・コーヒーに似ていますよね。
豆選び。冷凍保存。その都度粉砕(グラインド)。水、温度にこだわり抽出。

やはり、米は日本の嗜好品です!

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2013年10月12日

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