レポート

山本電気、家庭用精米機[匠味米]RCシリーズ
嗜好品としての米 04


米を嗜好品として捉えた場合の精米機の条件とは何でしょうか?
 
■嗜好品としての米で、精米機に求める条件

一般的に精米機に求められるものは、玄米を種々の米に精米することです。
種々の米とは、分つき米いわゆる七分づき、五分づきと言われるヌカを一部残した米、胚芽米、上白米、無洗米を意味します。

しかし、今回は嗜好品のためのツールであるので次のような条件にしました。
(1) 上白米が、米のキズが少なく、きれいにヌカが取れていること。
精米時の問題として、割れたりするが、それが少ないこと。
(2) 5合炊きの合う量の米が、精米できること。
最小単位がkgとなると、精米保存の必要が出てくるため。
(3) 食べる度に精米するので、精米時間は短いこと。
(4) 食べる度に精米するので、手入れが簡単なこと。
(5) 嗜好品の道具であるため、優雅なデザインであること。
RC23_R_W02

山本電気の精米機、[匠味米]RC23。
色は、赤以外に、黒、白がある。


で、今回は、カタログ・スペックがこの条件に最も近い、山本電気、家庭用精米機[匠味米]RCシリーズから、MB-RC23をレポートします。

 
■山本電気とは?

山本電気は元々の家電メーカーではありません。本業は「モーター屋」さん。

自動車用モーター、掃除機用モーター、ブラシレスモーター、ミシン用モーター等々、幅広いモーターを手がけています。
もしモーターに「YDK」のマークがあったら、それは山本電気のモーターです。

創業は1934年と言いますので、昭和9年です。所在地は、福島です。

家電は、最近の事業ですが、自社のモーターを活かした、フードプロセッサー、ブレンダー、精米機です。

例えば、ブレンダーの指標の1つに氷破砕性能がありますが、対応しています。モーターが優秀である必要があります。山本電気の大きな特長は、やはりモーターなのです。

Michiba san

道場六三郎 氏。


もう1つの特長は、プロデュースを、あの「道場六三郎」氏が行っていることです。

1993年から放送された「料理の鉄人」の中で、最も強かった和の鉄人です。現役時代の対戦成績:27勝3敗1分、勝率:87.1%生涯成績:33戦5敗1分、勝率:84.6%は並大抵ではありません。大相撲で言えば、6場所(1年間)連続優勝横綱 白鳳関のここ1年の勝率は、83勝7敗、勝率:92.2%。の様な、無類の強さです。

手順、動きの無駄のなさ、そしてどんな食材も巧みに取り込んでしまう創作性は、プロの料理人の中でも凄かったです。

 
■今回、その他の条件

(1) 米:コシヒカリ
生産地:新潟県越後滝谷町
特別栽培米:減農薬・減化学肥料栽培
造り人:今井農場 今井昭
購入:カワキタ商店@成城(家に近いところで、玄米売りが基本であるため)
玄米、5kg(2012年生産分)
(2) 水:サントリー 南アルプスの天然水
(3) 炊飯器:パナソニック
Wおどり炊き:SR-SPX103
通常、銘柄炊き分けコンシェルジュモードの
2つを使用。5合炊き
DSCF1963

左)使用したコシヒカリ、右)パナソニック Wおどり炊き SR-SPX103


 
■精米の実際

山本電気の精米機は、金属のスクリーン(ザル)に玄米を入れ、ブレードで撹拌。米と米、米とスクリーン、米とブレードがぶつかり、ヌカをこすり取る仕組みです。

とりあえず、5合をセットし、上白米と無洗米を作成してみました。
状況は動画の通りです。


5合だと、玄米で入れた時はスクリーン一杯ですが、ヌカが落ちると体積が20%近く減りますので、問題はありません。しかし重量はかなりのものです。これを均一に回す小型モーターは、山本電気の十八番技術です。

取扱説明書(マニュアル)にある通り、3分10秒できちんと、精米されていました。
無洗米は、6分55秒です。

玄米は含水率:15%が農林水産省の基準ですが、精米でもかなり失われます。また、熱も出ます。
上白米精米時で、手元の温度計を入れますと約30℃、無洗米では40℃近くです。当然、無洗米の方が水分も失われます。
「嗜好品としての米02」にも書きましたが、米自体の含水率が多い方が美味しいと言えます。

コーヒーのグラインダーでも、発熱は問題になります。大きな歯の方が良いなど、いろいろな対応がなされていますが、現時点で最終解答というものはありません。

玄米 他

左から、玄米、上白米、無洗米の200倍、デジタル顕微鏡写真。
上白米に比べ、無洗米は、表面がややざらざらしている様に見える。


 
■味は?
DSCF2108

炊き立てのコシヒカリ。ゴハンが立っています。
香ります。甘いです。美味いです。


パナソニックの通常モードでの味のみ、ここでは記載します。

光沢、モチモチ感、甘みというコシヒカリの特長を良く引き出した感じです。

しっかりした食感は、長い間、日本一をキープしてきたに相応しいといえるでしょう。

香りは少々薄め。玄米でも、ほぼ1年ですので、新米同等とは行きません。しかし精米したては、それでも香ります。

日本人は香りの話を余りしませんが、嗜好品、コーヒー、お茶、酒、葉巻などなど は、香りが重要です。

山本電気の精米機で精米したコシヒカリは、美味かったです。

 
■セットと後片付け

セットは簡単。
脚は吸盤状ですので、多少振動があっても周りにそれを伝えることはないですし、精米機自体もしっかり固定されます。

あとは、ヌカボックス、金属のスクリーン、ブレードをこの順に入れ込み、上から玄米を入れるだけです。

注意すべきは、玄米専用のカップを使うこと。
簡単にヌカといいますが、実際は玄米の10%以上を占めるものなので、白米用のものを使うと、量が足らなくなります。



DSCF2373

側面に付いたヌカ。軽くはたいてやると落ちる。


またヌカはかなりの量がでます。再利用をお勧めします。

多いのはヌカ袋とヌカ床。ヌカ袋は、江戸時代定番の石けんですね。ミネラル豊富ですので、美容にもイイとか。
肥料にする場合も多いですね。
とにかく軽いので飛散しやすいことに気をつけてください。

また、ヌカの汚れ物は、軽く洗えます。

 
■台所に置いてみて
SUGO

異なるメーカーでも、違和感がほとんどない。


精米機は、コーヒー、お茶と違い、やはり台所に置かれる可能性が高い。
しかし、今の炊飯器は非常にきれいです。
お櫃、しかも高級な漆塗りのお櫃を思わせるデザインが1つの主流になりつつあります。
(もう1つはお釜です。)

山本電気の精米機は、これに負けません。

色、形も非常にきまってます。正直、テーブルで用いられるコーヒーミルと正面切って勝負させてもイイくらいです。

イイ米をワクワクしながら扱える感じです。

 
■ちょっと気になった点

気になった点は、5合という容量です。
1合、2合、3合、4合、5合、それぞれの合数で動作を確認したのですが、正直、3〜4合がベストマッチングだと思います。気になったのは1合。少量ですが、米が飛ばされ、ピシピシ音がするのです。米の硬さから考えると、これで米が割れることはないと思っていますが、気になりました。

子どもが巣立った後を考えると、1〜3合の小容量が欲しいです。

 
■食事のバリエーションも拡がる一品
DSCF2380

玄米のポジションはもう一度見直されるべきだと思う。


今回は、嗜好品に対する精米機として上白米の評価してみましたが、七分炊き、無洗米も美味しく出来ます。
薬膳の考え方がありますよね。医と食はおなじという考え方です。
RC23があれば、体調の悪い時には七分炊き、調子のいい時は上白米ということも可能ですし、味を変えることに、食事に刺激を与えることも可能です。

いつも食べている米を自在に操れる、山本電気[匠味米]RC23は、お買い得と思います。

 
■主な仕様
サイズ 20(W)×23.8(H)×27.4(D)cm
重さ 約3.1kg
コード長 1.4m
容量 1合〜5合(1合刻み)

2013年10月13日

タグ: , , , , ,