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生活家電.com版 今年の家電ニュース The 10


先日、あるメーカーの方と話しているときのことです。「今年はヒット商品がなかった様に思います。」と言われました。私も記憶を探ってみたのですが、「これは!」という感じのものはありません。むしろ、今からに向け、力を溜めているという感じでしょうか。しかし予兆という感じのモノはいろいろあります。
ということで自分勝手に、2018年の家電関係10大話題をピックアップしてみました。
尚、その1〜10と数字をふってはいますが、これは重要度を示すモノではありませんこと、男割りしておきます。

 
その1 IoT洗濯機出揃う 欧米の高級家電は、Wi-Fi内蔵化が進められています。そして日本でも始まりました。今年、全メーカーが一斉に手を伸ばしたのが「洗濯機」です。お買い物サービスを始め、より的確に洗えるように、データーを駆使します。

〇家電価格から考えると、IoT化し易いのは、洗濯機、冷蔵庫、エアコン、テレビ、電子レンジの大型家電。白物家電で、一番早くIoT化されたのは、「衣類ケア」という極めて限られた家事の洗濯機でした。エアコン、冷蔵庫などは、他の家電との連携、また個人個人の好みを反映させることが必要なためでしょうか、後回しにされました。2019年はどの家電がIoT化されるのでしょうか。

シャープ ドラム式洗濯機  ES-W111。
「これからは、スマートお洗濯。」が売り文句。


 
その2 ホームIoTは玄関から 新しいマンションなどで、IoTを売りにするところが増えてきました。必ず付いているのが「スマートロック」。IoT関連のアンケートでも使いたいIoTに上げられています。秋にはLIXIL(リクシル)他が、IoTのスマート宅配ボックスの上市を始めました。

〇玄関周りのIoTは、ユーザーアンケートでもダントツの人気。効果も確実に分かります。

LIXILのスマート宅配ポスト。一戸建てに対応。


 
その3 衣類スチーマの急速普及 2018年度のアイロン、衣類スチーマーの需要動向は微増予想。約1600万台です。うち、アイロンは55%。衣類スチーマーが45%。導入したての2013年が5%ですから、すさまじい伸び率です。

〇あると、ないとで大違いなのが、衣類スチーマー。流行るとは思っていましたが、すごく急ピッチです。個人的には、T-falのような専用型が使いやすくて好きです。今、アイロンをお持ちの方は、こちらをお勧めします。

ティファールのアクセススチーム プラス。
平均20g/分のスチーム量でシワをのばし、ニオイを取る。色以外お気に入り。


 
その4 空気を「漂白剤」で清める時代? CMで御覧になった人も多いと思いますが、パナソニックの「ジアイーノ」は次亜塩素酸で空間清浄します。次亜塩素酸は、漂白剤としても使われ、いろいろなシーンで使われています。

〇もともと病院、介護施設で業務用で使われたモノです。最近は夏でもインフルエンザが流行始めています。夏はインフルエンザがおやすみの季節だったのですが、温暖化のせいでしょうか、何やら妙な動きが始まっているようです。

性能証明のため、新宿駅公衆トイレでイベントを開催。確かに臭わなかったです。


 
その5 「卓上出しっ放し」家電登場 昔と違い、今、キッチンには家電が溢れています。そのため出たアイディアだと思いますが、汎用性が高い調理家電は出しっ放しの方が便利(楽ともいいます)という発想です。具体的には、パナソニックのIHデイリーホットプレート KZ-CX1と、シロカのおりょうりケトルちょいなべ。双方とも優雅なデザインと機能を持っています。

●パナソニックのKZ-CX1を2週間卓上で使いましたが、IHの良さを改めて体感しました。設計、デザインもよく工夫されており、出しっ放しに関しては「この手があったか」という思いです。ただ脂はねだけは対策する必要があります。シロカは2019年2月発売予定。こちらも楽しみにしています。

パナソニック IHデイリーホットプレート KZ-CX1を上から見たところ。


 
その6 ドライヤー 低温風時代へ ダイソンのドライヤーは2つの意味でショックでした。一つは細長いノズルを持たないこと。そしてもう一つは低温風(85℃)をメインにしたことです。髪の毛を傷めないことを考えると、当然の話です。ただ今年の驚きは、パリコレ、ミラノコレクションなどのファッションショーで使われたこと。「ゆっくり」、「丁寧に」がない、秒を争う舞台裏で使われたのです。また、ダイソン以外に、カドークオーラ(日カドーと韓SKネットワークスの新会社)も同様な仕様の新ドライヤーを上市しました。

〇ダイソン製品は、高級品。少なくとも女学生の手がとどく品物ではありません。ところがカドークオーラは、同様な仕様を、28,000円(税抜)で販売。当分は日本で販売するそうですが、美容大国、韓国のSKグループの販路を考えると一気に世界の主役に踊り出る可能性があります。

カドークオーラの新型ドライヤー BD-E1


 
その7 海外メーカーのお値打ち日本モデル 最高級モデルを作り、その機能の幾つかを間引いて普及価格モデルを作ってきた日本メーカー。その手法が日本で通じなくなりつつあることを感じさせるモデルが、今年発表のiRobot ルンバ「e5」とハイセンスの4Kテレビ「A6800」シリーズです。双方とも、日本ユーザーの嗜好をよく把握して設計されており、高級機種から機能を取り去っただけが多い日本メーカーの普及価格帯とは、一線を画します。

〇iRobotはロボット掃除機の新規顧客を増やすため、ハイセンスはシェア奪取という理由は違いますが、いずれも日本市場のことをよく考えて作られています。ただ単に、本国で扱っているモデルを持ってきたのではないところがミソ。こうなると日本メーカーは悲しいかな、価格で太刀打ちできません。米国などはあっさり低価格帯の市場を海外メーカーに明け渡しました。日本の商品群もドラスティックに変わる時かも知れません。

iRobot ルンバ「e5」。「1家に1台」という明確な目標に向け作られた。


 
その8 日本しかできない高級家電か? 「LOVOT」 GrooveX社の「LOVOT(ラボット。Love×Robotの造語)」。何もできないけれど、人の心に訴えかける愛くるしさを持っています。今まで、家庭用ロボットは幾つかありましたが、基本、人の役に立ちます。あのSONYのaiboでも「写真を撮って」と言うと、写真を撮ってくれます。また特長の一つに、価格が高いことが挙げられます。これは長期に渡り使用できるようにするためですが、サービスを継続する、交換パーツを確保する、バージョンアップをするためには不可欠です。また、複数の専業会社によりロボットは開発、生産ができます。LOVOTは15社が関わっています。

〇「職人芸」とまで言われる日本お得意の繊細なアナログ技術は、IoTより、LOVOTのような感情まで入れた場合に、その良さが滲みでると思います。また、自動車産業でも分かるように、いろいろな会社が寄せ合い、一つのモノを作ることに優れています。私は、ロボット産業こそ日本に相応しいと思いますし、是非伸びて欲しいものです。

Gloove X社の「LOVOT」。販売は2体一組が基本となる。


 
その9 ダイソンの宣言 ジェームス・ダイソンが新製品のため日本に来日。その口から、「掃除機の開発はスティック型掃除機に集中。」との発言がでました。同時に発表された「Dyson V10」は、スティック型掃除機の一つの標準モデルともいうべき出来を示しました。

〇2020年に電気自動車を上市したいダイソン社ですが、その資金は、掃除機、空調機、そしてドライヤーから出てくるものと思われます。しかし掃除機は、今やいろいろな方式が乱立。全部に対応すると、莫大な開発費が掛かってしまいます。また、ダイソンは電気自動車を2020年に上市するとも発言しています。そのための選択と思われますが、創業者ならではの、その思い切りのよさは、胸がすく思いです。同じ事は、ロボット掃除機の雄、iRobot社にも言えます。(こちらは、スマートホームへ切り替える。)

ジェームズ・ダイソン氏とDyson V10 フラフィー


 
その10 パナソニックの宣言 今年100周年を迎えたパナソニック。次の100年は「くらしアップデート業」を生業とすると発言しました。

〇「くらしアップデート業」よりも、言外の「水道哲学」では、今の日本は食べてイケないとしたことが大きいと思います。「激動」の平成の終わりに、昭和の高度成長を支え、今の日本の礎を築いた産業への考え方に、明確な終止符が打たれたよう思います。

パナソニック 100周年の講演で、お披露目となった次の100年を担うキーワード。


これ以外に、「ファーウェイ包囲網」などがありますが、まだ混沌とした情報ばかりのため、選外としました。こうしてみると、いろいろ画策していることが分かります。平成は「激動」という言葉が似合う時代でしたが、次の時代は、もっと激しく動きそうな予感がします。

来年もよろしくお願いします!!

 

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2018年12月28日

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