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これが私の生きる道、VAIOの新社長就任と海外進出


VAIOが、ソニーから独立して、1年。
新社長の就任と共に、海外進出の発表がありました。
字面だけ追うと、『おっ、急速なV字回復か!?』の様に聞こえますが、実際はかなり違います。
■ブランドという遺産
20150819 VAIO 戦略説明会 資料_001ソニーという会社は、多分日本で一番強いブランド力を持っていました。
それは、ソニーブランドだけでなく、「ウォークマン」「プレイステーション」「アイボ」と言った商標も、人が羨むような強さがありました。
PCの『VAIO』もその1つですね。

昨年、独立した時に思ったことは、VAIOという名前は、まだブランドとして通用するのかと言うことでしたが、フタを開けてみると杞憂もイイ所。
VAIO復活の大きなパワーになっています。

 
■ブランドの強みと商品戦略
PC分野での会社再建は、ジョブスが成し遂げたアップル社の復活劇があります。
当時年收:$1で引き受けたと言われ、それだけで話題になりました。
その時だされたのが、iMacです。

おにぎり型の、ブルースケルトンの一体型ボディのiMac。
もはやレジェンドと言っても過言ではないモデルです。

しかし、ジョブスが一番大鉈を振るったのは、製品ラインナップですね。
一般向けの据え置き『iMac』、ノート『iBook』。
それでプロ用の据え置きと、ノートの4つですね。

ネットが一般的になり始めた時代ですからね。
セットしやすく、楽に使えて、部屋に置いてもオタクっぽくならない、iMacは世界中でヒットしました。

これを可能にしたのは、ジョブスの慧眼もありましたが、アップルのブランドイメージかも知れません。
ウィンドウズに比べて、グラフィカル・インターフェイスを多用したOSは、非常に扱いやすく、刺激的でもありました。
このためクリエイターが、こぞって使っていましたからね。
ビギナーからプロまで支持されるブランドの強さがありました。

 
VAIOのブランドも、やや似ています。
OSはウィンドウズですが、実用性もさることながら、クリエイティブに受ける要素があるPCです。

ちなみにクリエイティブに受ける要素というのは、『その気にさせる』プロの道具であることです。
気分をのせることができる自分だけの道具と言ってもいいでしょう。
わざわざ、プロと注釈を入れたのは、確実にオーダーをこなす能力があることを意味します。

 
■新社長とPC
DSCF5356今回VAIOの新社長になった大田義美氏は、PC畑の人ではありません。
商社でいろいろな経験を経た後、会社再建に関わるようになった人だそうです。

実際、会社経営とモノつくりの才能は全く違いますからね。
本当に会社を知っている人なら、組織を、人の使い方を知っている人なら問題ありません。

 
■新社長が主張する『自立』
昨年独立した時の、VAIOに欠けている組織があります。
『営業部』ですね。
営業部は、会社の仕事の結果を売る部門ですが、それと共に売り上げの回収も含めて重要なポジションです。

それよりも重要なのは、流通、ユーザーの生の声を聞けることです。
メーカーで重要なのは商品ですからね。
それに対して貴重な情報を取ることができるのは、営業部です。

ただし、この貴重な情報を使うためには、それを設計情報に変換しなければなりません。
そのためにあるのが、営業技術です。

VAIOは、販売は別会社への委託していたために、創立時は営業部を持ちませんでした。
しかし、商品と将来を考えると、自前の営業部隊は必要です。

自立のために、この部隊を用意するそうです。

 
■新社長が主張する発展の1『海外展開』
20150700 VAIO カタログ_006 のコピーVAOはPCメーカーです。
そして、PCは、『生産性・創造性を高める最高の道具である』としています。
発表会場では、『PCでしかできないことができるPCを作る』とも言っていました。

VAIOの現在の『VAIO Z』、『VAIO Z Canvas』(クリエイティブ向)、『VAIO. Pro 13|mk2』(ビジネス向)、『VAIO. Fit 15E|mk2』(一般向)で、海外の展示会にも出しています。

PCは万国共通仕様で対応できる場合が多いですからね。
これで様子を見るわけです。

で、アメリカで『VAIO Z Canvas』の反響が、特によかったようです。
アメリカはクリエイターが仕事しやすい環境が整っていますからね、それだけ人数も多いです。
パイも大きいのですが、競争も激しい。
自分の才能を出せるモノでしたら、お金で片が付くなら、できる限りの道具を買って使います。

 
これを受け、VAIOはアメリカ進出を決めたようです。
PCは、洗濯機のように、各エリアで仕様を余り変える必要はありませんので、できる限り世界進出した方が経営的には安定しますね。

 
またブラジルにも進出するそうです。

 
■新社長が主張する発展の2『新規事業』
VAIOの強みとして社長が上げたのは『設計・製造技術』『経験豊かな人材』『ブランド』の3つです。
基本、ソニーからの人材ですから、並以上の人が多いのですが、それ以上にソニーのいろいろな分野の技術者がいるようです。
ゲーム経験者、ロボット経験者など。
当然、先に発表したスマホ経験者もいるはずです。

彼らと一緒に、FA(ファクトリー・オートメーション)、AI(人工知能)、ゲーム、等を具現化して行くそうです。
何やら、AVを切り離したソニーみたいですね。

ソニーがすべきことを、VAIOが代わりにしているような気分にもなる発表会でした。

 
より詳しい情報は、VAIOのホームページにてご確認ください。
https://vaio.com/

2015年8月21日

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