思うこと

アクトビラのビジネス方法は、
HEMSの普及にも応用可能か?


アクトビラをご存じでしょうか?
インターネットのブロードバンド接続を使い、対応するデジタルテレビ・DVDレコーダー・BDレコーダー向けにビデオ・オン・デマンド(以下VOD)別名「電子レンタルビデオ」。視聴者が観たい時に様々な映像コンテンツを視聴する事が出来るサービス。、コンテンツを配信するポータルサービスのことです。
今回、アクトビラの2014年度の事業方針説明会を聴講させて頂き思うことがあるので、ちょっと書いて見ます。

 
■高画質時代のための会社として設立
2971afbbe2c4309faae6a2849dd1c059アクトビラの設立は、2007年。
そう、地デジがブレイクを始める1年前です。

松下この当時、パナソニックは松下電器産業という社名でした。去る者は日々に疎し。歴史の一幕です。とソニーが中心となって設立した会社です。

出資比率は、松下:35%、ソニー:35%、シャープ:10%、東芝:10%、日立:10%だそうです。

 
先手必勝の考え方だった様に思いますが、インターネット配信ビジネスには色々な条件が必要です。
魅力的なコンテンツを多数用意する、対応機器を普及させることから始まり、儲かるビジネスプラン、つまり加入者を如何に増やし、使用時間を増やしてもらうのかを確立しなければなりません。

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2010年以降、新規市場を切り開き、黒字化。

アクトビラは、単純な B to CのVOD、情報サービス、広告だけに頼ることなく、新技術、新規市場を開拓した結果、3年連続の増収増益、2年連続黒字を上げています。営業利益は前年比1.6倍。
素晴らしい成果を上げています。

 
しかし、私がお話ししたいのは、ビジネスはかくあるべきということではありません。
アクトビラがもつ、そのポテンシャルです。

 
■アクトビラの財産とは
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アクトビラ最大の強み。
すごく多くの機器が対応していること。

現在の加入は、550万台。世帯数に直すと、12%前後です。
アクトビラの使用条件は、家にインターネットが引いてあり、アクトビラ対応の機器を持っていることです。
が、多分、その条件は、ほぼ全ての世帯、満足されることでしょう。

今、日本で販売されているTVのほとんどがアクトビラ対応していますので、意識しない内にアクトビラの土壌は整えられたわけです。

 
デジタル機器で、著作権のあるコンテンツを扱う場合は、次の2つのことをクリアしなければなりません。
1つめは、コピーを作られないようにすること。
2つめは、料金を徴収できるようにすることです。

このため、VODをビジネスにする会社は、大まかに3つに分けられます。

1つめに力を持つ、アクトビラのようなハードよりの会社。
2つめに力を持つ、docomoよような通信系の会社。
そして大量のコンテンツを有するコンテンツ会社です。

 
私が、注目しているのは、ほぼ全世帯アクトビラを開始するのに、費用が要らないということです。

 
■アクトビラが持っているモノ
アクトビラのバックにハードメーカーが付いているので、TVの中に内蔵普及したという言い方はできますが、これが成功したことは、当初の考え方は当たったという言い方もでします。

実はこれは、HEMSホーム・エネルギー・マネージメント・システムの略。日本語では、家庭用エネルギー管理システム。今後主流になるであろうスマートグリッドに不可欠なモノとされる。に望まれていることなのです。

 
■HEMSに必要なモノ
HEMSは、家庭用のエネルギー管理システムです。
有限の地球ですから、地下資源のエネルギー利用には限りがあります。
時期はどうあれ、自然エネルギーをフルに活用するしか、人間が生き延びる道はありません。
特に日本は資源を持たないですから、江戸時代のように、太陽エネルギーをフルに有効に使う必要があります。

このためには、あるレベルのエネルギー管理が必要になります。
このためのHEMSです。

 
HEMSは、各家電から電力の消費をチェックし無駄を省き、エネルギーを必要としている所へ送るようなマネージメントをするシステムです。
必要なモノは、端折っていえば、各部屋へのWiFi(無線LANシステム)と、モニター、そしてインターネット接続ですね。

 
もうお分かりと思います。
実はアクトビラと似た境遇でもあるのです。(WiFiシステムが必要な所は違いますが)

で、HEMSを推進しているのもハードメーカーです。

アクトビラと同じように、新しくハードを設置するのではなく、既存のネットを使うハードに入れ込むことはできないかということです。

 
■HEMSのもう一つの弱点
HEMSは社会的には必要とされるシステムです。
エネルギー施策の一環を担うシステムですからね。
原発反対するにも、代替えエネルギーの明確化は必ず必要です。

ただ、HEMS自体が出来ることは家電のコントロールであり、面白いことではありません。 例えば、皆さん高級ホテルに行った時をお考えください。
インテリアがスゴいと思う人はいても、空調設備がスゴいと思う人はほとんどいないですよね。
しかしホテルの空調設備は、意外なほどスゴいのです。
でもインテリアの方がスゴいと思う。
それが普通なのです。

HEMSは空調と同じようなものですので、皆さん「あると便利だと思う。ただこれで10万円と言われてもなぁ」となるわけです。

 
「使いたい!」と思わさなければダメなのです。
実はアクトビラのハード以外の強みは、そこにあります。

VODのユーザーは最終的には個人です。
が、アクトビラは自分たちのシステムを、マンションという法人に販売したのです。
マンションも販売競争していますからね。
なるべくマンションの売りを増やしたい。
そうアクトビラはVOD以外に、マンションの売りになるローカル情報サービスを始めたのです。

繋ぎ

ローカルサービス。回覧板よろしく、町内の情報から始まって、ケアサービスの情報もはめ込まれている。


 
TVで放送している情報は、なかなか役に立ちません。
地方に行けば行くほどそうです。

普段役に立つ情報は極めてローカルなのです。

このようなサービスが、今、家にある家電を少しいじればできる。
となれば話が違ってくると思います。

「いいね」ということになるのです。

 
しかも、くらし支援サービスを、そのエリアの商店街、スーパーなどを入れると、情報も活性化します。
日常の買い物直結ですからね。
HEMSの元になるスマートグリッドは、地方をまとめる意味もありますので、この様な使い方が当たり前なわけなのです。

さらにいえば、アクトビラは今年、音声認識システムを取り入れようとしています。
文章というのは、頭がしゃんとしている時にはいいのですが、そうでないときは音声の方がイイ時が多いです。
目よりゆっくり入るのが、プラスになっていると思います。

これも使えます。

 
囲い込んで全部自分のブランドでは、AV時代を通じていろいろやってきましたが、成功した試しが余りないですよね。
それならいっそ、ユーザーメリットを最大限にして、儲ける道を探す。
そちらの方が健全だと思いますし、将来のエネルギー事情、子供の未来を考えると・・・。
この様なエリア・コミュニケーションにもう一度光を当てるべきだと思います。

 
HEMSはいろいろな未来を持っているが、本気で普及させるためには、アクトビラのように上手くもって行かなければならないなぁ・・・。
アクトビラの説明を聞きながら、そんなことを思いました。

 
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2014年7月8日

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