レポート

中型空気清浄機 ブルーエア 450E の実力 01
性能の紐解き


さて、インフルエンザ、花粉、そして黄砂&PM2.5と、冬から春に向け段々空気中の浮遊物が気になる時期になりました。
そんな中、中型空気清浄機ブルーエア 450Eをレポートします。
■「ブルーエア」って?
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ブルーエア社のロゴマーク


本社がストックホルムにおくスウェーデンの空気清浄機専業メーカーです。
創業は1996年ですので、今年で18年目。
二十才(はたち)前の若い会社ですが、押しも押されもせぬ空気清浄機のトップブランドと言うより、空気清浄機を語る上で欠かせないメーカーになりました。

 
■中型って何?
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ブルーエア 450E。
50(W)×275(D)×590(H)mm


ブルーエアは、フラッグシップの「650E」、ミドルレンジの「450E」、コンパクトの「270E」に加え、先日 新製品のコーナーでご紹介した「Sense」と卓上において使う「mini」の5種類が日本で販売されています。

ミドルレンジの450Eは、推奨フロア面積:〜34m2(21畳)となっています。
まずは、この数値を検証してみましょう。

 
まず、日本の平均的な家屋ですが、一応 国が規定しています。
名称は「誘導居住面積水準」という名前で、畳数ではなく平方メートルで表します。
居住面積実際  
面積は世帯数により変わります。
平成17年の国勢調査では、日本で最も世帯当たりの人数が多いのは、山形県の3.09人。少ないのは、東京都の2.13人。
現在もまだ日本の人口は減り続けていますので、一世帯当たりの人数は多くて3人と考えれば良いことが分かります。
つまり国の標準から考えると、一般エリアで100m2、都市エリアで75m2であることが分かります。

では実際はどうなのでしょうか?
日本の平均は、静岡県と言われます。下表をご覧下さい。
国の水準には近いのですが、48都道府県の中では真ん中より後ろです。真ん中と言える23位は、茨城県で約108m2。
東京は大都市であり、生活スタイルもいろいろですが、居住スペースは本当に狭いです。
居住面積実際  
これを元に、この稿では、110m2の延べ床面積を日本の標準とします。

では、次です。
今、家の最も大きい部屋はどこでしょうか?
リビング」ですね。
こちらもデータがあり、延べ床面積対しリビングが占める割合は、一般住宅で25%。集合住宅で30%だとの事です。
110m2の住宅で集合住宅というのは、まず考えられないのですが、この稿では30%を選びましょう。

標準的な日本で最大の部屋の床面積は、33m2
となりますと、ブルーエアの「450E」の最大適正面積が、34m2ですので、この機器があれば、日本の多くの部屋の対応はできるということです。

ちなみに、ブルーエアの場合、部屋高さは2.4mで想定されていますので、吹き抜けだと厳しくなります。

 
■設置に関して
空気清浄機の中には、部屋の中央に置くことを前提としているものがまだあります。
空気の循環効率を考えると、「その通り」と言えます。

が、使い勝手としては非常に悪くなります。
部屋の中央部は基本的に作業スペース、動き回ることが前提ですので、余程広い部屋でない限り、作業台を除き、まあ モノは置かれません。

ブルーエアはここら辺は十分承知しており、基本的に部屋の端に置いても問題ないです。
条件は、壁を含む他のモノとの感覚を10cm 確保することです。

 
■ブルーエアはフィルター濾過型
ブルーエアは、フィルター濾過型の空気清浄機です。
フィルター濾過型は、フィルターの目以上のサイズは全部確保。それ以下のサイズの場合は通り抜けてしまう特長があります。
が、「空気を通すだけ」とも言えます。

そうフィルター濾過型は、短時間に空気中の浮遊物を捕まえてしまうことに重きを置いた空気清浄機なのです。

 
■ブルーエアは、アメリカ標準
ブルーエアのカタログを紐解くと、CADR値と言う言葉が出てきます。
これは米国家電製品協会Association of Home Appliance Manufacturers。略称はAHAM。家庭用電化製品の性能に関して、一定の基準で測定できるようにその基準を定め支持している米国の機関。AHAMで定めたテスト方法で第三者機関にて評価すると、認証実験の結果を元に、実証値を記した認証シールを貼ることができる。が定めた規格です。

CADRとは、Clean Air Delivery Rate。クリーンエア供給率と訳されることもあります。
意味している所は、空気清浄機が1分間当たりに供給する清浄な空気量です。

より具体的に言うと、空気中の浮遊物中、「タバコ煙」(0.09〜1.0μm)、「ホコリ」(0.5〜3.0μm)、「花粉」(0.5〜11.0μm)の3つに対して、どれだけ除去できるのかを測定し、算出します。

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別項で提示した空気中の浮遊物一覧表


測定は、タバコ煙、ホコリまたは花粉を実験室に入れ、専用の測定機器で物質の粒子濃度を測定します。まずは空気清浄機なしで実験を行い、自然減衰率を算出します。
次に、空気清浄機を高速で稼動させた後に粒子濃度の測定を行い、得られた除去率から自然衰退率を差し引きます。
差し引いた数値に、実験室の広さ(体積)を掛け合わせて算出します。

CADR値を見る時注意しなければならないのは、同じ推奨フロア面積で比較することです。

単純にCADR値だけを比較すると、推奨フロア面積が広い方が高いです。
これは当たり前ですね。モーターが大きい訳ですので、フィルターも大きい。となると同じ効率でも、1分間当たりに供給する清浄な空気量に差が出てきます。

そしてもう一つは、「タバコ煙」と言う言葉です。
タバコの煙ですが、実は微粒子からなる「煙成分」と分子状態で漂う「ガス成分」からなります。
CADRで「タバコ煙」と書かれているのは、微粒子からなる「タバコ煙」のことです。
ガスは、分子状態ですので当然フィルター除去はできません。しかし体に悪い成分が含まれます。アルデヒド、ニトロサミン、アンモニア、窒素酸化物、ベンゼン、一酸化炭素、シアン化水素等です。

現在、タバコの害は、空気清浄機で対応できないのが、世界的な認識です。

 
ブルーエアの特長は、CADR値が高いこと。
これは、強力なモーターで空気を取り込んでいることを意味します。
しかし、長所と短所は表裏一体。
強力なモーターは、うるさいことが多いです。何たってぶん回しますので・・・。

 
■ブルーエアのフィルタリング技術
フィルターは、フィルターの網の目に、その目の大きさ以上のものを引っかけて行きます。
それ以下のモノは引っかけない。
これが基本です。

今のフィルターは、HEPAフィルターを基本にしているので、多くの場合300nm(0.3μm)が基本ですが、これが100nmレベルにすることができると、全部ではありませんが、インフルエンザウイルスも捕まえることができます。
フィルターでは、HEPAフィルターの1/2の目の細かさのULPAフィルターと言うのがあります。
しかし、ここまで目が細かいと短時間でフィルターが目詰まりします。

また空気抵抗も大きくなりますので、モーターの音も一段と高くなります。

このため、ブルーエアではHEPAフィルターよりやや大きめの目を持つフィルター(目詰まりしにくい長持ちするフィルター)で、HEPAフィルターの目より細かい100nmレベルの粒子を捕まえる技術を開発、使用しています。

featuresImg09名前は「HEPA Silentテクノロジー」
使うのは「帯電技術」です。
本体に取り込んだ空気にマイナス電荷を放出し、マイナス帯電させます。
これに対し、プラスに帯電させてある3層フィルターを使い、粒子を捕獲するのです。

フィルターリングはフィルターの目に粒子がめり込むイメージですが、この場合はプラスのフィルターにマイナス帯電粒子が引きつけられる。要するに貼り付くイメージです。 これが、HEPAフィルター並の目の大きさで、100nmの粒子を捕獲できる理由です。

 
今回は、450Eの特長だけで稿が尽きました。
さて、次は450Eを実際に使用した結果をレポートします。

2014年1月27日