レポート

デロンギ、コンパクト全自動エスプレッソマシン
マグニフィカS ECAM23120B  コーヒー編 


エスプレッソマシンには、「全自動」というカテゴリーがあります。
少々お高いのですが、私はいろいろな意味で、お勧めしたいと思っている商品です。
DSCF5210今回は、全自動の中でもお求めやすい価格のデロンギ コンパクト全自動エスプレッソマシン マグニフィカS ECAM23120Bをレポートしてみたいと思います。

 
■コーヒーの種類
日本のコーヒーは、大きく五種類に分けられます。
1)ドリップコーヒー
2)スペシャリティー・コーヒー
3)シアトル系エスプレッソ
4)イタリア系エスプレッソ
5)ネスカフェ

1)、2)はドリップですので、蒸らし抽出です。やや粗め〜やや細めにコーヒー豆を挽き、そこに熱湯を注ぎ蒸らします。
コーヒー豆がお湯を吸い、コーヒーの成分が外に出やすくなったところへ、お湯を注ぎコーヒーを抽出する方法です。

 
1)、2)の違いは豆ですね。

1)は幾つかのコーヒー豆を混ぜ合わせたブレンドが主です。
2)は1種類のコーヒー豆だけを使う、いわゆるストレートが主流です。アラビカ種の良質の豆で、産地毎、農園毎に味が変わります。
豆に「モカ(港名)」「キロマンジャロ(山名)」「ブラジル(国名)」など、そのエリアを表す言葉が使われます。
日本での消費が、生産量を上回っていると言われる「ブルーマウンテン(山名)」もそうですね。

日本人はスペシャリティー・コーヒーが好きです。
そのためバブル期の日本では、違う豆をブルーマウンテンと言って売った者もいたとか・・・。
ちなみに、サードウェーブと呼ばれる現在のコーヒーは、「日本を中心に」動いています。

1)、2)はコーヒー産業的な所も大きく変わります。1)の豆は非常に安く農家から仕入れられるため、農家は悲鳴を上げています。2)は農家への還元率が高く、農家を支えようとしています。このため、1)の豆の多くは、2大市場と言われるロンドン、ニューヨーク市場を通りますが、2)は直接買い付けが多いと聞いています。

次に、3)、4)。エスプレッソです。短時間抽出に向くよう、濃焙煎、極細挽きのコーヒー粉に、お湯を加圧して抽出します。
ドリップが3〜5分/杯に対し、30秒。
3)シアトル系と、4)イタリア系の大きな違いは「量」です。
アメリカ人は「量」を好みます。彼らの体格も凄いですからね。

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左)モカ・マタリ(イエメン) 焙煎:フルシティ
右)ルハンデWS 焙煎:フレンチ。モカより焙煎が2段階深く、コーヒーの油分が豆ににじむ。


このためシアトル系は、ミルクを大量に入れるのが前提のエスプレッソです。このためとても濃いめです。
そこにミルクをどっと入れて「カフェ・ラテ」「カプチーノ」にします。
とても濃くするため、ギリギリまで深い焙煎焙煎は通常8段階に分けられます。しかしシアトル系の場合、この8段階レベルより深い焙煎です。を掛けます。焦げる手前まで焙煎しますので、独特の香りがします。
イタリア系は、そこまで焙煎を掛けません。やや軽めにします。
イタリア系は香り、味共に濃厚で美味しいエスプレッソとなります。

 
■まずは豆の調達から
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店長が推薦してくれた豆。
ルハンデ(アフリカ ブルンジ共和国の県名)WS 深入り(フレンチ)。


筆者はコーヒー豆の調達は駅前の馴染みのコーヒー店でしています。
自家焙煎のお店で、豆も丁寧に扱っているのが気に入っています。
基本的には、スペシャリティー前提のお店ですね。

しかし、余り豆を買うところを変えるつもりはありません。
店長と話し合い、今回はブラジルの豆で挑戦することに。焙煎はフルシティロースト焙煎は通常8段階で示されます。フルシティローストは焙煎が浅い方から数えて6番目です。がなかったので、フレンチローストこれも焙煎の名前。浅い方から数えて7番目。。少し豆に油が浮いています。

エスプレッソは、コーヒー豆の味が全部出る抽出法です。
その豆の長所だけでなく、欠点も明確に出てきます。
このため、ストレートの様に1種類の豆で勝負することは、まずしません。欠点を長所で補うべく「ブレンド」が基本となります。
しかし今回は単豆で、試してみました。

 
■全自動の意味
で、全自動エスプレッソマシンです。
全自動エスプレッソマシンとは、コーヒー豆、水をセットすると、エスプレッソを抽出してくれ、豆カスなども勝手にカス受けに溜められる様にしたマシンです。
豆と水をセットしておくと、起き抜けだろうが、帰宅直後だろうが、美味しいエスプレッソが飲めると言うわけです。

エスプレッソは加圧するため、元々マシンがなければ淹れられません。
しかも美味しい抽出条件は、かなり煮詰められてます。
加圧は9気圧。温度90℃のお湯で抽出。抽出時間は20秒、量は30cc。飲む時の温度67℃ です。

が、実際は、これ以外にも味が変わる要素は一杯あります。
豆の状態(鮮度)、焙煎、挽き方、水質。
さらに言えば、カップ、砂糖の有無。量。
そして、飲む時の温湿度環境。

唸ってしまいます。

DSCF5211でも、一寸待ってください。
貴方は、エスプレッソを、どんなタイミングで飲みたいですか?
そうですよね。「一寸した時」ですよね。
朝の起き抜け、休憩時間、仕事から家庭へ戻る時・・・。
30ccですからね。

そうエスプレッソは、極めて現代的な時間の流れに則した飲み物なのです。

で、皆さん忙しい!
実は、エスプレッソこそ、そんな手間を掛けずに飲みたい飲み物なのです。
飲むのは3口ですので、時間を取りません。となると後は淹れる手間だけ。
エスプレッソの大きな特長は、「抽出時間が掛からないことにあるのです。」

だからこそ、「エスプレッソマシンこそ、全自動で」と思います。
これがあれば、起き抜けの一杯、出掛けの一杯、帰宅直後の一杯など、すぐ淹れられます。
温かい飲み物で、しかも味がややきつめですので、意識がはっきりし、次に進む力を与えてくれます。

 
■使って見ると
まず、工場出荷のセッティングのまま使ってみました。
筆者は、単に豆を入れ、水をセットしただけです。

で、メイン電源オン。
まずは、暖気と清掃が始まります。約3分ですね。
全てのパイプが詰まっていない様に、お湯を循環させ、最後にエスプレッソの抽出口から出します。
かなりの高温ですので、ご注意を!

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スィッチを入れ、用意が調った状態。
パネルは全面点灯。


ここまでくるとメインパネルは全面点灯します。
後は、エスプレッソのボタンを押すだけ。
グラインダーの回転音がした直後、あっさり抽出が始まります。

で、出来上がり。

筆者の場合は、砂糖を入れて・・・。
あゝ美味い!
本当に美味いのですが、実際にすることといえば、このレベルなのです。

 
■マシンを再チェックしましょう
全自動のエスプレッソマシンは、グラインダーを組み込んでいますので、かなり大型です。
大型家電の条件は、「フロント・コントロール」できることです。
コーヒー豆の補給は上から、水とゴミ&排水は前ですので、扱いは便利です。

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左)上蓋を外すとグラインダーが現れる。挽き方は摘まみで調整する。
右)水タンク、カス受け、水受けを出したところ。全てフロント操作可能。


グラインダーは当然「挽き」の調整ができますが、美味ければ良いと言う人だと、一度調整した後は、ほとんど触らなくても良いかも知れません。
ちなみに、グラインダーは低速回転コーン式ですので、摩擦熱が発生し難いタイプ。豆の香りを損ないません。

グラインダーの下が抽出部、このマシンの心臓部となります。
シリンダーが上下することにより、コーヒー豆量に合わせた加圧室を作り出し、抽出する訳です。

で、抽出後、コーヒーはカップに、抽出後のカスはカス受けに溜まるわけです。

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左)メタルフィルターの位置が上下し、加圧する容積を調整。
右)終了後、カスは上に出され、かぎ爪でカス入れに移動。


デロンギの全自動マシン マグニフィカS ECAM23120Bは、かなりコンパクト。しかし中はミッシリ身が詰まっている感じです。

 
■いっぱい飲みたい場合には、カフェ・ジャポーネ機能
このマシンにはカフェ・ジャポーネ機能というレギュラーコーヒー機能が付いています。
ドリップコーヒーではなく、あくまでもレギュラーコーヒーです。

後述しますが、このマシン、コーヒー粉からも抽出が可能です。

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左)天面にあるコーヒー粉の投入口。14g以上入れてはダメ。
右)最大250ml淹れることができる。マグカップも使用可能。


私はこの機能を使い、通常愛飲しているモカ爽やかな酸味が特長のコーヒー。古くから人気がある銘柄。を、ドリップコーヒー用に挽いた豆を使い抽出しました。

生木を噛んだ感じの青臭い香りと共に、酸味過多で「すっぱい!」と言うより形容のしようがないコーヒーでした。

これは、誰が悪いのでもなく、「ドリップ抽出用に仕上げている豆を、加圧式のマシンで抽出しても美味しくない」と言うことを意味します。

要するに、筆者は昔淘汰された組み合わせを試してみて、やはり先人と同じ結論に落ち着いた訳です。

カフェ・ジャポーネ機能は、エスプレッソ用の豆か、似たレベルの豆を使うことをお勧めします。。
焙煎は、シティ〜イタリアン。挽きは細挽き〜極細挽き。どちらかと言うと、酸味より苦みに特長のある豆をお勧めします。

エスプレッソとの違いは、後味と量。濃厚な味わいながら、すっきり系の後味です。

 
■コーヒー粉から淹れる機能はかなり便利
コーヒーの豆量を調整する摘まみの端に、「コーヒー粉のマーク」があります。
ここに合わせると、コーヒー粉で一杯毎抽出することが可能です。

私は、カフェ・ジャポーネはコーヒー粉から淹れています。
エスプレッソ、レギュラーを違う豆で楽しもうという魂胆ですね。
コーヒーは嗜好品ですので、失敗も含めて、楽しめないと意味がありませんから・・・。

注意すべき所は、14g以上の場合、そのままカス入れに捨てられてしまうことです。
カフェ・ジャポーネの場合、豆 20g以上使いますが、2回に分けて粉を投入します。

 
■美味しいコーヒーが手軽に飲めるマシン
このマシン、コーヒー豆をどこまで細かく挽くか、抽出時の豆の量、抽出温度、抽出量、まで調整できます。
しかも良く淹れるお湯量もでますし、カップを温めるためのお湯もでます。

しかも煩わしさはありません。
良く出来ています。

さて、次回はエスプレッソの華、ミルクと一緒に使うカフェ・オレ、カプチーノの淹れ方をご紹介したいと思います。

 
■マグニフィカS ECAM23120Bの主な仕様
サイズ 238(W)×430(D)×350(H)mm
重さ 9kg
給水タンク容量 最大 1.8L
豆ホッパー容量 250g
カス受け容量 最大20杯分
コーヒー粉 使用可(最大14g)
ポンプ圧 15気圧(抽出圧ではありません)
グラインダー コーン式グラインダー
希望小売価格 126,000円(税込)
 
商品のより詳しい情報は、デロンギのホームページにてご確認ください。
http://www.delonghi.co.jp
 
■デロンギ 全自動エスプレッソマシン マグニフィカS ECAM23120B レポート
01 コーヒー編(本編)
02 ミルク編
03 阿部バリスタ・インタビュー編

 
■シリーズ 自分に合ったコーヒーメーカーを探そう! 05 エスプレッソマシン

 

2013年12月15日

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