レポート

【太鼓判】進化が止まらないシェーバー。複数センサー搭載時代に突入。フィリップスのS9000シリーズ。


「肌に無理なく深剃りができる。」

電気シェーバー(以下 シェーバー)が世に生まれた時からの最大命題です。シェーバーは、1921年(大正10年)に作られました。厳寒期のアラスカでもヒゲを剃るニーズから出たそうです。作り上げたのはシック氏、世界的にも有名な剃刀メーカーの創業者です。
 

●フィリップス 最新シェーバー  S9985/50(個人所有)
3枚の回転刃はフィリップス シェーバーの特徴


 
大正10年といえば、漫画「鬼滅の刃」の時代設定がちょうどその頃。西洋文明が好きそうな鬼舞辻無惨は使ったかも知れませんね。

 
冗談は置いておくとして、今年で101年目。
その間、いろいろな技術が生まれてきました。例えば、シェーバーの方式だけで、3種類作られました。「回転式」「往復式」「ロータリー式」。2010年位まで、全種類あったのですよ。このうち、日立製作所が作っていたロータリー式が、ほぼ絶滅危惧種。今、日本で手に入るメジャーメーカー4社は、フィリップスが回転式、パナソニック、ブラウン、マクセルイズミが往復式です。

回転式が不利な感じですが、フィリップスは世界No.1シェア。しかも、1939年(昭和14年)から、一貫して回転式で通しています。1939年の9月には、ナチスドイツはポーランドに侵攻。第二次世界大戦が始まった年でもあります。

そんな時代から、一貫して言われ続けている命題が「肌に無理なく深剃りができる」。根深いものがあるのです。

 
■何故「肌に無理なく深剃りができる。」が解決できていない課題なのか?
シェーバーの剃りのお手本は、「床屋のヒゲ剃り」です。ご存知の通り、肌に刃を当てて剃ります。ただ、皮膚になるべく引っかからないように、潤滑剤としてシャボンを用います。肌に触れているので、ギリギリまでヒゲを剃り込むことができます。剃り上がりは、ツルツル。そこにヒゲがあったことなど感じさせないレベルです。

●基本、外刃は網刃、内刃は立体刃。


一方、シェーバーは外刃と内刃の間にヒゲを挟み込んでカットします。ハサミと同じです。肌に当たるのは外刃。もうお分かりですね。外刃の厚み分、剃れない、ヒゲが残るのです。このため普通に剃ると、見た目は剃れているのですが、肌触りは「ザラ」っとなります。

原理的に仕方がないのですが、人は許せないのですね。このレベルは自分のヒゲ剃りではないとしてしまいます。またヒゲの濃い人は、半日で伸びた雰囲気になります。当然、少しでも短くしようと、押し付けて剃ります。肌は柔らかいですから、外刃の厚み以上に中に入り込みます。当然、肌の表面が見事に剃られてしまいます。深剃りすると肌が傷むのはここからきています。

 
■シェーバーが工夫した2つの技術
このため、各社いろいろ技術開発を行いました。各社、固有の名称を付けたり、しなかったり、また訴求したり、しなかったりと、状況はいろいろあります。

 
 
まず、フィリップスでは「リフトカット テクノロジー」と呼ばれている技術です。

シェーバーの特徴の一つに、刃の次にまた、次の刃が来ることが挙げられます。回転式にせよ、往復式にせよ、そこは変わりません。これを活用するのです。初撃でヒゲを引っ掛けます。刃は移動しますのでるのですから、引っ掛けられたヒゲは引っ張られます。そして根元まで外刃に引き込まれます。そこを内刃でカットするのです。

実はこの技術、リスクも高いのです。このような技術があるにも関わらず人は、ちょっとでも剃り残しがあると、人は押し付けます。そうなると、やはり肌を力が足らないとわかった瞬間、かなり力を込めます。刃の方は、スピードを高めるなどして、この技術を支えようとします。ちなみにS9000シリーズは、刃がヒゲに当たるのは15万回/分。回転刃 1枚当たり5万回転。各回転刃は、24の小さな刃で構成されています。つまり、0.00000083秒で、次の刃がきます。当然、肌の表層は瞬時にズタボロになります。熱を持ちます。アフターシェーブローションの出番です。

 
で、メーカーが考えたのが、それなりの力で押し当てても肌が外刃の網目に入り込まないようにする方法です。接肌面積を上げるのです。圧力=力/触れ面積 ですから、触れる面積を増やしてやるのです。

同時に刃の枚数を増やします。これは剃りにもメリットがあります。刃にヒゲを持ち上げるなど、ちょっと特殊な機能を持たせることができるからです。それもあり、各社最高モデルは皆、多枚刃です。回転式はフィリップスの3枚。往復式は、パナソニック、マクセルイズミが6枚刃。ブラウンが4+1の5カットシステム。

 

●フィリップスの3枚刃。接肌面積がとても大きい。


●接肌のイメージ写真。ベッタリという感じだ。当然、肌の滑りは悪くなる。


 
ところが、当たる面積から言うと、フィリップスが一番大きいのです。さすがは円形刃というべきでしょうか?

しかし接肌面積が大きいと、摩擦力が余りにも大きく、好きには動かせまっせん。このため往復式のように、普通のカミソリと同じ感じで動かせません。肌が動きを止めにかかります。

このため回転式は、本体自体をゆっくり円を描くように動かすのです。往復方式だけしか使ったことがない人はビックリします。

 
■押し付け圧力をセンサーが確認。色光で状態を知らせる。
このようなところまで、作り込んでもまだ、押しつけによる被害は無くなりません。その理由は、ユーザーが、どの位で抑えれば良いのかわからないからです。

 
実は、今の技術はあまり強く当てないで、何度も剃り、その内にツルツルになる感じなのです。しかし、それは家電のもう一つの課題「時短」を達成することにはなりません。100年、色々トライ&エラーを繰り返していますが、未だに完全解決に至らないのです。

 
■押し付けをコントロールする
しかし、ここまで長い期間、押しつけに関する知見を積み重ねてきましたから、私が言う押し付けは化学データが集められています。例えば、数値で表すと、1.5〜4ニュートン(約150〜400g)の圧力でシェービングすることが、理想の深剃りと肌へのやさしさの両方を得ることが可能になります。

しかし、力としてはかなり弱め力。力が余っている若者などは、全く力を入れる感じではないでしょうね。つまり、実感が湧きにくい=コントロールしにくいレベルの力t言えます。

この押し付ける力をコントロールできるように、フィリップスが採用したのが、「過圧防止センサー」。センサーデータを元に、今どの程度の力で押し付けているのかを知らせます。

面白いと思ったのは、知らせ方。「本体」のネック(ヘッド下)の部分が光り、教えるのです。「え、見えるの?」と思われる人もいらっしゃるかもしれませんが、これが鏡を使わなくても割と見えるのです。

●ネック部分が光る。剃っている間でも視認できる。


●光は3食。弱すぎる:水色、適切:緑色。強すぎる:橙色。


青:弱すぎ、緑:適正、橙:強すぎと変わります。とにかく、オレンジに光らせないよう、剃れば肌が剃れ、むず痒くなることはありませんでした。

なかなか良い感じです。

 

●スィッチは一つしかない。 このため本体操作に集中できる。


 
■肌に触れる家電のポイント
人には五覚があります。「視覚」「聴覚」「臭覚」「味覚」「触覚」です。このうち、人間が得る情報の多くは「視覚」です。全情報量の85%に及ぶと言います。

この内、視覚を除いた四覚に関する家電はかなりの「クォリティー」が要求されます。その最たるものは聴覚に関するオーディオでしょうね。その昔、世界三大趣味の一つに数えられていました。理由は簡単。専用部屋を必要としたからです。

あともう一つも求められるのが「カスタマイズ」。要するに自分の好きな感触に合わせてくれというわけです。

人の場合「視覚」が、発達したため、「聴覚」はさておき、「臭覚」「味覚」「触覚」は近接でないと用を成さないことが多いです。要にする手持ちポータブルと言われるものです。

そして、手持ち品に求められるのは、「高品質」と「個性(カスタマイズ)」です。腕時計もメガネも、みんな自分に合ったものを探し抜いて身につけます。絶対に同じモノをしている人がいるはずなのに、まず出会いません。身につけるモノ、身の回りのモノはそうなります。

●グリップ部。手に当たる位置により、滑り止めの模様が異なる。
細やかな心遣いが感じられる。


スマートホンなども、好例ですね。本体は似るので、ケースに入れ、デコもするでしょう。ロック画面、壁紙も同じものはまず使いませんし、どのアプリをどんな設定で使うのかなどは、本当にさまざまです。

 
シェーバーは、ここまでのカスタマイズはないでしょうが、やはりグルーミングは一種の快感ですからね、かなりカスタマイズされると思われます。例えば、安いボールペン。100〜200円でも、初めて使うときは書き味を確認しませんか?身の回りのモノは些細なモノでも人はこだわるモノです。

 
そして高級化というのは、高耐久性に代表されるような、良い素材で、良い技術で作り込むアナログ技術。では、カスタマイズはというと、昔は別注でした。自分専用品を作ってもらうのです。

しかし、今のカスタマイズは、内容を自分に合わせます。「センサー」+「AI」+「個人の好み」というわけです。シェーバーの刃のスピードには、通信などしていては間に合いませんので、今回は「AI」+「個人の好み」は置いてきぼりでしたが、その素地は、揃いつつあるのではないでしょうか?

 
■それでも変わらない、「回転式」の剃り味
S9000は、斯様にスゴイのですが、変わらないなぁと思ったのが剃り味です。回転、滑らせるように剃るわけですので、やはり雑なのです。なかなかビシッと決まり難い。そして往復式より大きなヘッドは、鼻の下に当てるとはみ出し唇半ばまであたります。

きれいに剃れるのと、剃り心地が良いのは別です。回転式は、好き嫌いが分かれると思います。

このあまり官能的でない剃り味は欧米家電には結構あります。常に人間優先ではなく、機械に合わせるところがあるのです。(癖ともいえますが・・・) モデル:S9000は、いかにも欧米らしい家電といえます。

 
■保管しやすい仕様
S9000のような最高級シェーバーで困るのは、保管時にかなり場所を取ることです。本体も大きいのですが、何より充電器と一緒になった洗浄機がすごく大きいのです。

コロナ禍で人気がある洗浄機ですが、置き場に困っている人も多いのではないでしょうか?

しかし今ドキのシェーバーはスマートホンのように、毎日充電する必要はありません。多くは、30日近く充電なしでも使えるよう考えて設計されています。(モデル;S9000は、センサー付きですので、電気を消費します。このため60分使用できるとなっています。)毎日したい清掃に対し、充電は回数いらないのです。むしろ、十分放電したから充電する方がベターです。

フィリップスは、それに対し、十分考慮しています。まず、この2つ完全に分けました。クイッククリーンポッドは、単なる洗浄液タンク。これは洗浄機でもあります。ここにシェーバーを差し込み、シェーバーを動かすと、スタート一分できれいになります。その後は、突き刺しぱなしでOK。そんなに大きくもありませんので、とても使いやすいです。

クイッククリーンポッドとシェーバー。
この状態で、保管可能。シェーバーは冬場
でも4時間あれば、完全に乾いた。


ちなみに、クイッククリーンポッド・カートリッジは毎日清掃で、1ヶ月で交換です。週に2から3日で、約2ヶ月に1度。週に1回以上間が開くと3ヶ月です。アマゾンでみると、3つで2200円(税込)。毎日使う前提で、24.4円/日です。

充電時間は、1回約60分。5分で1回使えるクィックチャージ機能も付いています。

●クイッククリーンポッド カートリッジ


●使い方がイラストで示されている。


●カートリッジの黒フタを開けたところ。


●クイッククリーンポッドにセットする時は、凹凸を合わせる。


●クイッククリーンポッドのシェーバーと当たるところ。


●立体成形ケース。ごくシンプル。


●中には本体以外には清掃用のブラシを
入れるスペースしかない。


 
■写真で見る他の特徴

●フィリップス シェーバーは、ヘッドが取れます。
ここに別アタッチメントをはめ、バリカンのように使うこともできます。


●背面にあるミニバリカン。もみあげ用です。


●専用ケーブルでコンセントと繋がる。
充電している間は、仕様できない。


 
■S9000シリーズラインナップ  
■まとめ
フィリップスの新モデル:S9000シリーズは、正統進化したシェーバーといえます。今後、このての家電は、よりうまく制御できるようにセンサーを付け、今までより良くしていくのが当たり前になります。

スティーブ・ジョブスが、iPhoneを発想した時、それは手で情報に触れること。アナログ感覚を重視したのです。白物家電でも体に触れる部分が大きいものは、それが言えます。シェーバーは、そんな家電の一つ。いつかスマホを超える数のセンサーを持つモデルが出てくる可能性もあります。

今後、シェーバーは刃ではなく、センサー数でセレクトする時代が来るのかも知れません。

フィリップス S9000シリーズはそれを予感させるモデルでもあります。当然、太鼓判です。

 
商品のより詳しい情報は、以下のURLでご確認ください。
https://www.philips.co.jp
 


 

 
#理美容家電 #メンズグルーミング #フィリップス #シェーバー #過圧防止センサー #S9000シリーズ #回転式 #生活家電.com

2022年2月17日

タグ: , , , , , ,