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「オリンピック」と「テレビ」の関係は今も健在か?
また、今買うテレビはどれだ?(前編)


バカの一つ覚えのように言われるのが「オリンピックがあるとテレビが売れる」という文句。
オリンピックはビッグイベント。しかも今回の開催地は東京。この世界的なイベントを「新しいテレビで!」と考えるのは当然ですから、うなずけるところがないわけではないです。しかし、このコロナ禍。しかも国民の気持ちは、五輪開催から大きく離れています。テレビも売れそうにありません。
では、どうなるのか? ちょっと検証してみたいと思います。
 

オリンピック会場になる新国立競技場


◾️オリンピックがあるとテレビは売れるは、本当なのか?
日本でオリンピックが開催されるのは、今回の東京で4回目。
1964年の東京(夏)、1972年札幌(冬)、1998年長野(冬)、そして今回の東京です。

そして国内のテレビ出荷統計を見てください。きちんとした統計データは、1990年以降のデータしかありませんので、全部を見ることはできませんが、少なくとも長野五輪に関係ある1997年、1998年のテレビ出荷台数はわかります。

 
 
で、日本選手が大活躍して、日本中が沸いた長野オリンピックの時、テレビの出荷が多いかと言うと、そうではありません。むしろ少ないくらいです。このことからも「オリンピックがあると、テレビが売れる。」必ずしも真実ではないことが、分かります。

では、テレビは何が要因で売れるのでしょうか?

 
◾️テレビが売れる3要因
テレビの売りを左右するのは、まず「コンテンツ」です。
盛り上がりを見せているラグビーW杯は見たいですよね。スポーツのビッグイベント、オリンピックなどはともも見たいコンテンツに当たります。が、それだけが決定的な要因でないのは、グラフの通りです。

 
しかしテレビが確実に売れた時があります。
テレビのハードとして「進化」した時です。これまでに、テレビは大きく4回変わっています。

1回目は1951年。テレビが「デビュー(白黒)」した時です。映像が家庭に持ち込まれました。
2回目は1960年。テレビが「カラー化」した時。
3回目は1980年代後期。「大画面化」。
それぞれ、家で映像が見られる様になった。カラーで見られる様になった。そして迫力ある映像になった。とエンターテイメント性が高まっています。

そして4回目が薄型テレビ(2000年代前半)です。「平面化」は、大画面化と共に、インテリア化を併せ持った時で、テレビのあり方が大きく変わりました。

 
同時に放送の方もいろいろ変わっています。例えば、1990年のハイビジョン放送。しかし多分に実験的なところがあり、マニアはともかく普通の人は縁遠い感じでした。2009年には3D放送もされましたが、こちらも鳴かず飛ばず。理由は「コンテンツ」ですね。ろくなものがありませんでしたから。

こう並べて見ると、テレビ、正式名称 テレビ受像機はテレビ放送と切り離せないのですが、放送方式を変えても「コンテンツ」が整わない限り、買いたいとは思わないことがわかります。逆に言うとメガヒット「コンテンツ」がないと買いを進めることができません。これが2つ目の要因です。

 
そして、見たい「コンテンツ」があり、それを受け止める進化技術を持ったテレビも新しい機能を持って魅力的な時、最後後押しする要因は「景気」です。

例えば、大画面化された80年代後半、大画面テレビは1万円/インチの時代でした。当時売れまくったのは28〜32インチですから、30万円のテレビが売れたわけです。それを支えたのが「バブル景気」です。

 
ちなみに、テレビの売りに影響するのは「夏の」オリンピックです。理由はオリンピックの開催が8月上旬で、7月のボーナス商戦と上手く被るからです。

 
ビッグコンテンツ「オリンピック」の時、テレビは売れる可能性はあります。しかし、それは3つの要因のうち、1つが動いただけです。せいぜい翌年買うのを前倒しにするレベルなのです。
が、総需はそのレベルであっても、メーカーシェアは大きく動く可能性があります。このため、メーカーはスポンサーになったり、スポンサーに似たことをしたり、宣伝、営業は力を入れます。

 
では東京五輪はどうでしょうか? まず消費税増税他のあおりを受け、国内景気は冷え込みました。その上、コロナ禍で不景気と言うより、庶民の多くは減給の憂き目にあい喘いでいる人が多くいます。加えて、今回のオリンピックは、IOCと政府にゴリ押しされた感が強く、祭りを楽しむと言う感じが全くしません。これだけイメージの悪いビッグコンテンツがあったでしょうか、と言う感じです。景気、コンテンツ共にダメです。

最後の技術ですが、NHKが力をいれている8K放送は確かにスゴいことはスゴいのですが、普通に楽しむなら、標準の2Kでもそれなりの画質ですから、8Kでないと満足できないなんてことはありません。少なくとも白黒からカラーの様なインパクトはありません。

 
こう積み重ねると、オリンピックという良質なコンテンツはあるのですが、買い替えは、余り期待できそうもありませんと言えます。更に言うと、オリンピックの14日間後、またくだらないドラマ、バラエティー番組の山かと思うと、余り財布の紐を緩めたくないのが現実ではないでしょうか。

 
◾️今買うべきテレビは何か? 〜「液晶」か、「自家発光型」か〜
平面テレビは「液晶テレビ」と「自家発光式テレビ」のマッチレースで発展してきました。そして液晶テレビの雄は「シャープ」。競争相手の「自家発光式テレビ」は、プラズマテレビから始まります。まずは「パイオニア」のちに「パナソニック」が相手になります。途中から、有機EL(OLED)も後を追っかけます。

しかし、それに終止符を打ったのは「地デジ化」の後のテレビ不況。国内工場はほとんど閉鎖、事業部も存続の危機に陥ります。

一番大きな理由は、日本市場のテレビ需要が半減したこと。それまでの日本では、寝室他に2nd テレビという市場がありました。これはバブル期に、リビングのテレビを買い換えるとき、廃棄するのではなく別の部屋で使い始めたことから発生した市場です。ところが、平面テレビは大型が当たり前。リビングはともかく、別部屋に持っていくことができなくなったわけです。そして、そのカテゴリーは、パソコン、タブレット、スマートホンに持っていかれます。と言うことで、いろいろな部屋で、映像コンテンツを楽しむ人は増えているのですが、テレビとしての売り上げは半減です。

しかも、世界の80%は性能より、安いことが優先されます。高性能は憧れてはもらえるのですが、この安い部分を中国、台湾、トルコなどに持っていかれます。

要するに、日本市場、世界市場双方から、見放されたようなモノです。

 
結局、日本メーカーの多くは、開発も画像エンジンに絞って行うなどで生き延びようとします。が、シャープ、東芝は、海外メーカーの傘下になりました。また、パナソニックも最近事業を売るようです。

 
◾️最後の栄光「8K液晶テレビ」を買うべき、それとも自家発光型の「4K有機ELテレビ」を買うべきか

2021年モデル発表会に展示してあった新製品。
左寄り4K有機EL、8K液晶、4k液晶。
液晶が明るい画面なのに対し、有機#Lは陰影がキレイについていることが写真でもわかる。


シャープは、台湾ホンハイの傘下になりましましたが、有機ELがなかなかできない高解像度:8Kを先にモノにすることで、技術のトップポジションを持続してきました。パートナーはNHK。当然、東京オリンピック狙いです。

しかし、2021年のシャープのテレビラインナップは、シャープはこれ以上テレビ事業に力を入れないと言われた感じでした。

 
◾️AQUOSブランドを冠した有機ELテレビ
今回のシャープラインナップの目玉は、8K液晶テレビ。「DW1ライン」です。
70型で45万円、60型で35万円レベルとお買い得です。

8K 液晶テレビ。精密画を見ている様。


人の目の解像度は、4Kと8Kの間。要するに8Kだと、画を構成するドットを目が見分けられない。つまり見た目再生画とは分からない画となります。
しかし逆な言い方をすると、ずっと開発されてきた「高解像度」の終着点でもあります。8Kを世界に先駆けて製品化したシャープの技術は一流とも言えます。

 
しかし、今回一番かんげなければならないのは、AQUOSを冠された「4K有機ELテレビ」の意味でしょう。
AQUOSは、シャープが「液晶テレビ」のために作ったサブブランド。それが「4K有機ELテレビ」に冠されたと言うことは、シャープは今後「液晶推し」でなくなることです。

4K 有機ELテレビ。
黒の締まりがいいため、陰影がとてもキレイ。


シャープ=液晶技術。ビジュアル系は、それを貫いてきたのが崩れたとも言えます。
いつかこう言う日が来ることはわかっていたとは言え、「遂に」と言う感じです。

こちらは、DS1シリーズ 55型で26万円強。8K 液晶より、10万円安のイメージです。

 
で、どちらを選ぶべきかと言うと、色にこだわるなら4K 有機ELテレビ(DS1シリーズ)、今後、すご〜く長く使ってもいいとお考えの人は、8K 液晶です。画質は、同じ解像度なら有機ELの方がキレイです。しかし有機ELは、材料寿命があります。まぁ、10年は大丈夫ですが。それに対し液晶は、基本寿命がない。あるとすれば、接点不良でしょうね。それが起こらなければ、すごーく長持ちです。少なくとも10年と言うことはないですね。

そして、コストパフォーマンスで考えると、4K 液晶テレビですね。画質、最新、コスト、どれを重視するのかで押しモデルは変わります。

以下、後編に続く。

 
 
商品のより詳しい情報は、以下のURLでご確認ください。
https://jp.sharp/aquos/
 

4K液晶テレビ 2021年モデル。

 
 
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2021年6月3日

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