レポート

コンパクトデジカメ、今買うなら?
ゼネラルタイプ?それともスペシャルタイプ?


今多分、集約性が進んでいる電化製品は、スマートホンでしょう。特に、2019年〜20年はカメラ機能の進捗に凄いものがありました。特に常に持つと言うことでいうと、コンパクトデジカメ(以下 コンデジ)と、機能がかぶります。
 
撮影後の写真をネットに上げて他人とコミュニケーションを取ることに主眼をおけば、スマートホンの方が理にかなっています。また他の人の写真を見るのも同様です。それが常態化すると言う意味では、スマートホン以上のツールはありません。

また記録すると言う意味でも、常時携帯のスマートホンに分があります。では、コンデジは今後、どうなるのでしょうか?

 
◾️ゼネラル型のコンデジは、どこまで進化したのか?
今後を考える時、現状把握はとても重要なポイントです。
カメラメーカーが、今まで必死で作り込んできたゼネラル型のコンデジ、5万円以下で入手可能な、パナソニック LUMIX DC-TZ95-K(以下 TZ95)を例に引いてみてみましょう。ちなみに私が所有しているスマートホンは、iPhone8(以下 i8)。そんなに優れたカメラ性能は有していませんが、それなりに使い勝手のいい中級スマホです。

パナソニック LUMIX TZ95


まず、性能比較から。
画素数は、i8:1200万画素、TZ95:2030万画素。こう書くとi8がつまらないように見えますが、4Kの3倍あります。実用上まったく問題ないレベルですね。このため普通に撮影しても、コンデジの良さは見えてきません。スマホカメラの弱みを中心に比較してみました。

 
●望遠機能

光学 30倍。レンズが半端なく飛び出す。


i8には光学ズームはなく、デジタルズーム5倍。一方、TZ95は光学30倍。
望遠のチェックは自宅近くの猿江橋から。直線距離で、2.7km離れたスカイツリーがモチーフです。

i8 で撮影。2倍なので、これが限度。


TZ95。2.7km離れていても、ここまできれいに写せる。


細部まできれい。


差は唖然とするほど明確にでます。ズームに直すと、24mm基準で720mmのレンズが付いているのと同じです。一眼レフ、ミラーレスのレンズキットの~200mmの望遠ズームよりはるかに遠距離撮影に強いのです。コンデジは、高級機とされる一眼カメラに劣っているわけではないのです。

今ドキの高性能スマホの場合、50倍を付けているものもあります。凄い倍率ですが、スマpとホンは安定したホールドが難しく、ブレることが多い。つまり倍率を生かしきれない仕様とも言えます。その点、コンデジは小さめと言ってもさすがカメラとして作られたわけで、安定ホールディングはお手のもの。30倍の凄さと共に、カメラとしてきちんと設計されていることを感じます。

 
●夜景、月

i8で撮影。光のサイズは、生より全然大きい。


TZ95で撮影。光の制御された表現がイイ。


昔と違って、高感度センサーが搭載された今、夜も結構写真を撮ります。しかしi8の場合、照明など直接光っているものが絵で書くような星の光を伸ばしたような、独特の写り方になります。肉眼で見るのとは異なります。このため、全くもって上手く写らないのが月。フルムーンだ、形がいいなぁと思っても、その形になりません。その点、TZ95は、夜景モードなどを使わなくても、ほぼ人間の目と同じように撮影できます。
しかし、遠くに離れた場合、直接光が入らない場合は、i8での撮影もかなり満足度が高いです。

清州橋、夜景。i8で撮影。差が出にくい風景。


TZ95で撮影。


●動画
スマホで真っ当な動画を撮ろうとすると、望遠と同じでホールディングするのがとても難しいです。このため手ぶれはあるものと考えて撮影した方がいいです。逆に、TZ95の方はホールディングできるので、動画撮影もし易い。

 
ざっくりしたテストで大きく違いが、出たのはこの3つです。

また使って感じたのは、TZ95の方は写真を学ぶにも使えるということ。AIが進化し、シャッターを押すだけと考えがちな、コンデジ、スマートホンですが、シャッタースピード、露出、ストロボなど、写真を思い通りに撮るならどうすればよいかを気づかせてくれる仕様になっています。また、いろいろなシーンにあったモードも入っていますので、いい使い方がわからない時でも、いいシーンを撮影できます。

 
◾️キヤノン PowerShot ZOOM
先ほどレポートしたパナソニックのTZ95が今までのコンデジというなら、こちらのカメラは、新しいコンセプトに基づく、新世代のコンデジ。スマートホンにとって変わられつつあるコンデジがよるのは、スマホの弱い、望遠、夜景、ムービーなどに特化、特徴を持たせること。漫然と強調したのでは、スマートホンの勢いに負けてしまいますので、すごいと思わせるレベルまで特化させています。

 
キヤノンのPowerShot ZOOMは、名前の通り、「ZOOM」に力点を置いています。通常ZOOMというと無段階ZOOMが当たり前。しかし、多くの場合使われるのは、端と端、80~200mmだと、80mmもしくは200mmしか使わない人が実に多い。別の言い方をすると、使われるZOOMは決まっているということです。キヤノンは、それを100mm、400mm、800mmとしました。それがボタン一つで変わるのが、Power Shot ZOOMです。

隅田川にかかる清州橋。
100mm(2倍)で撮影。


400mm(8倍)で撮影。


800mm(16倍)で撮影。


人間が裸眼で見た時は、ほぼ50mmだといわれています。100mmで2倍ですね。スポーツ観戦に双眼鏡を持っていかれる人はお分かりのことと思いますが、扱いやすいのは8倍、400mmです。これ以上になると、動きについて行きにくくなったり、ちょっとしたはずみに対象を見失ったり、「観る」ことに集中するのではなく、「見る行為と格闘する」という感じになります。

800mmはその倍ですが、400mmが光学ズームなのに対し、こちらはデジタルズーム。デジタルズームは、デジタル補正しても、画像が粗れることがあり、ある意味、おまけと考えてもいいでしょう。

そして、これを「望遠鏡」「カメラ」「ムービー」で楽しもうというのが、このモデルの意図です。400mmズーム以上は、スマートホンと被っていません。

鷲掴み。この状態で自在に動かせるのは、人差し指のみ。


カメラホールディングは、高倍ZOOMに強いムービーと同じ「鷲掴み」、このため筐体は、筒型を採用。ZOOMはワンタッチで切り替えられます。遠くを見る望遠鏡としても使え、見たものを写真、もしくはムービーとして記録できる。機能を限った分、小型軽量なので、ポケットに入れてどこでも持ち歩ける。また、WiFi、Bluetoothに対応しており、ネットとの連携もバッチリ。
これが新しいコンデジです。軽いし、スマホの弱点もカバーしてくれそうという雰囲気がプンプンします。

上にあるボタンは、人差し指で操作。長すぎて操作しにくい。


下側のボタンは、親指で総座。こちらも実に使いにくい。


ただこのモデルテストすると、半分期待通りで、半分期待ハズレでした。期待外れの一番大きなことは、ホールディングし難いことでした。途中、ムービーと同様の鷲掴み型と書きましたが、正確には違います。ムービーの場合、筐体サイドにあるベルトに手をいれ、鷲掴み「風」にホールディングします。しかし鷲掴みの場合、中指、薬指、小指の3本指と親指の付け根母指球でモノをホールディング。他の指は添えるだけです。これは実に安定するのですが、母子球でホールディングしていると、親指を自在に動かすことはできません。操作に、親指と人差し指を使わなければならないムービーは、このためベルトを付け、ベルトで支えることにより親指と人差し指を操作に使える様にしているのです。

ZOOMは、このように3本指でホールドしないとスィッチが押せない。
「見る」と「撮る」とで扱いを変える必要がある。


しかし、Power Shot ZOOMはベルトを持ちません。このため、親指と人差し指を操作に使える様にしようとすると、中指、薬指、小指で上側からのみでホールディングする必要があります。実際は145gと軽いので可能です。しかし、これ無意識にはしない握り方です。独特の握り方を強いるモデルです。

もう一つ問題があります。シャッターは親指で押し込みがあることです。親指がないと人間はここまで進化できなかったと言われていますが、それはものをどれだけ掴むことができるかという意味でです。このため親指は、他の指を支援する様に動きます。別の言い方をすると繊細な動きができないと言えます。

カメラの場合は、器用な人差し指を上から下へ一番力加減が出来る形でシャッターを押します。要するに手ぶれが一番少ない方法です。しかしPowerShot ZOOMは、その親指でシャッターを押すのです。しかも前述の通り、3本指ホールディングで、力は前後方向。ですから、場合によっては動きます。とてもではないですが、高倍ズームで、ブレなく撮ることはできません。確かに手ぶれ補正が強力に効きますが、私は強引な設計のように思えます。

このため、こうも言えます。Power Shot ZOOMは「望遠鏡」「ムービー」「カメラ」の順に使い勝手が良いと。

当モデルは、クラウドファンディング「MAKUAKE(幕開け)」と組んだモデル。99人のサポートターが付きクリアしました支持率の高いモデルでもあります。要するにコンセプトは支持されているわけです。

その分、ボタンの配置が残念でありません。人差指操作となっている「on」「メニュー」ボタンを親指側に、「写真」「ムービー」を人差し指側にすると、使い勝手は数段上がるよう思うのです。

 
◾️最後に
 
デジカメは、スマホの影響で、どんどん市場が狭くなっていっています。あと5年もすると、コンデジは特殊用途以外なくなっているかも知れません。が、もう一度考えてみると、優れたカメラ機能を持つスマホは高い。10万円を超すモデルも多いように思います。先に出したパナソニックの様なモデルと併用すると、安いスマホでも高いスマホと似たことができます。

良いコンデジは今が買い時かと思うのですが、どうでしょうか?

 
商品のより詳しい情報は、以下のURLでご確認ください。
パナソニック https://panasonic.jp キヤノン https://canon.jp
 




 
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2021年1月8日

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