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特別給付金全部はたいても買えないスマートハンドドリップコーヒーメーカー「iDrip」。
その実力は? それだけの価値はあるのか?


11万円(税込)の家電って、どんなものがあるでしょうか?
ファミリー用のビッグ家電、エアコン、洗濯機、テレビ、冷蔵庫の4大家電は、10万円以上が当たり前ですが、それ以外の家電は、特殊なモノを除き、10万円以下が当たり前。普及を狙う家電なら5万円を切ります。
 
高級機器の代名詞のようにうたわれたカメラでさえデジタル化後、今は10万円も出せば、入門機ではなく、中級機が買えます。そんな中、スマートハンドドリップコーヒーメーカー「iDrip」が本格発売されます。
 
◾️なぜ、そんなに高い?
普通コーヒーメーカーは、高くても3万円。カプセル型の1杯用は、カプセルが高いので、コーヒーメーカー本体は多くの場合1万円を少し出越すぐらい、カプセルは100円以下が相場です。

11万円で、しかも1杯ごとに約375〜550円。カフェでは無く、純喫茶並に高いです。自宅カフェについてまわる安く、美味しくとは一線を隠します。

どうして違うのでしょうか?

 
それは、2000〜3000円/杯のスペシャリティコーヒー基準だからです。

 
◾️スペシャリティ・コーヒーは、手間の集積。そして・・・
スペシャリティ・コーヒーは、名前が通っている割に、その実態はそれほど周知されていません。
スペシャリティ・コーヒーというのは、お米で言うと、○○さんの田んぼで取れた、魚沼産コシヒカリのようなモノなのです。

今ある、ほとんどのコーヒーは、「コモディティ」と言われるモノで、そのエリアのコーヒーを良いのも、悪いのも混ぜ合わせたモノです。ちなみにコーヒーは樹の種類は、大きくはアラビカ種、ロブスタ種の2種。ところが、土壌で味が変わるので、産地名が冠されます。例えば「ブラジル」。ブラジルの地で取れたコーヒーという意味です。

それに対し、スペシャリティ・コーヒーは、農園単位で独自の買い付けします。しかし、ひと頃でコーヒー豆と言いますが、コーヒーチェリーの果肉を取り除き、生豆にする必要があります。この工程には、いくつかの方法があるのですが、やり方で味が変わってきます。加えていうと、それ以降の焙煎のことも考えると、豆のサイズは均一が良い。このため、豆をふるいにかけ、均一サイズを取り出します。実は、スペシャリティ・コーヒーは、このような履歴が追えることと決められています。

パッケージには、原産地の情報。
品種。果肉を除去するときの処理法。
焙煎度。粒度など(裏面)などが明記されている。


また農作物ですから、虫食い、空洞が多い貝殻豆、カビ生えなどの欠点を持つものがあります。それをソーティング(選別)します。この欠点は、どんな農作物にもあります。例えば、お米でもよくみると欠けたお米があります。砕粒と呼ばれる欠点米です。が、これを100%取り除くと、均一で美味しいお米が食べられるのですが、膨大なコストがかかります。このため、精米業界では8%まで混入が認められています。

が、コーヒーは、お米と違い嗜好品。お米も美味しさは売りになりますが、それより強い意味を持ちます。このため、美味しいモノをよって、よって、手間暇かけて、完全に良い素材にします。ちなみにコモディティの場合、欠点豆は約10%と言われています。

 
◾️バリスタが、オーケストラの指揮者
最近よく聞く「バリスタ」という言葉。コーヒーのプロです。コーヒーというのは料理でいうと白米に近いです。お米を美味しく炊くには、厳選したお米に対し、削ぎ、水、炊き方などを厳選します。これと同じことをします。焙煎指示、豆の扱い、粉砕、水、抽出全てを使い、お客様を喜ばせにいきます。

要するに、美味しいコーヒーは、バリスタが作るのです。

このためiDripの豆は、バリスタが仕様を決めます。
iDripの豆は、1杯分づつと決められていますが、中はバリスタに一任されます。何g使うのか、お湯の温度、量、蒸らし時間、抽出を何回に分けて行うのか等、全部一任。最終的には満足できる香りと味をお届けするというわけです。
コーヒーが名馬なら、バリスタは名伯楽と言ったところです。

バリスタのイラストが印刷されたプレミアム・バージョン。
私が保障しますのマークであり、594円/杯(税込)。


 
◾️バリスタ 粕谷氏のコーヒーを試飲
今回試飲したのは、バリスタの粕谷哲 氏がプロデュースした「エル・フェニックス」。粕谷氏は、2016年のワールド・バリスタ・チャンピオンシップで優勝した日本人です。プレミアム・バージョンなので、594円/杯(税込)です。

結果は、はっきりと複数わかるフレーバー。ピーチほか、4種類以上のフルーツの香りが鼻腔に拡がります。正直、ここまでのフレーバーは期待していませんでした。過去に8つのフレーバーを感じさせてくれるコーヒーを試飲させてもらったことが、ありますが、それに次ぐ位の豊かさでした。味も当然、複雑。アプリコット系の味が印象的でした。

パッケージには、バリスタが意図したフレーバーが記載されています。それには「トロピカルフルーツ」「パイナップル」「アプリコット」「レーズン」「乳酸」「フルーつティ」とあります。つまり、バリスタの狙い通りのコーヒーと言えます。

 
一口飲むと、600円/杯の価値があることがわかります。

しかし、普通に飲んでいるコーヒーとのあまりの違いに、「自分の知っているコーヒーではない」と思うのではないでしょうか? それは、日本酒の本醸造と大吟醸並に違います。わたしの知り合いの女性は、大吟醸を始めて飲んだ時、日本酒じゃない、新感覚のジュースと言いました。香りが違う、舌触りが、後味が、もう全部違うと言うわけです。

先ほど、スペシャリティ・コーヒーは手間の集積と書きましたが、この手間は、嗜好品、趣味品では当たり前のこと。大吟醸も手間がかかります。

◾️バリスタの淹れ方を完全再現する本体
iDripの豆は、ペーパーフィルターの中で1回分づつ丁寧に、包まれています。それがアルミパッケージに納められています。このペーパーフィルターのには、それぞれ固有のバーコードが印刷されています。
このバーコードにより、本体は抽出を行います。油温と、湯量が正確なことはもちろんでっすが、メカで一番面倒なのは、湯の注ぎ方です。

AI、IoT、特許技術がふんだんに詰められたノズル。


ドリップ式は、お湯を少しづつ、中心から円を描きながら外側に注いでいきます。第一回目は蒸らし。コーヒー粉の中にお湯が染み込み、粉をふくらせます。内部にお湯が染み込み膨れると、粉の中の成分が外に出てくる用意が整ったことになります。ここから更にお湯を注ぎ、ゆっくりコーヒーを抽出します。一番面倒くさいのは、この注ぎ方です。これはバリスト毎の流儀があります。

制御部分は窓から覗ける。絡繰りを見る想いだ。


iDripは、これをAIで制御したメカで行うのですが、これが見事。伝説のオートマタ(自動人形)のように実に滑らかに動きます。カラクリ時計をイメージしてみ良いです。全く見事なモノです。
 
◾️贅沢品の市場規模、メーカー規模
iDripは台湾のメーカーです。販売後、今まで2000台を売ったそうです。
台湾の人口は、2378万人。裕福層の割合は、世界平均で、2.1%ですから、約50万人。裕福層の0.4%が顧客という計算になります。

お金を持っていて、コーヒーに興味がある人、美味しいものが大好きという人は、もう少し多いかもしれませんが、台湾は、日本と同じようにお茶の国でもありますから、こんなものかも知れません。

日本では、蔦屋家電が本悪的に扱う前に、マクアケでクラウドファンディングしています。目標額は100万円でしたが、集まった金額はその約10倍、110人の支援を受けています。

日本の人口、1億3千万人とすると、台湾の約5.5倍の人がいますので、台湾と同じ割合で売れたとして、計算では、11000台売れることになります。少ないようにも思えますが、小規模メーカーなら十分です。

ここの勘所が身に染みているのは、欧州メーカーですね。彼らは、高級品で成功すると、規模を大きくせず、仕事をキープさせます。そうした「ブランド」が多くあります。iDripが、そうなるのかは、わかりませんが。私は堅持させて欲しいと思います。
 
◾️パナソニック「The Roast」との違い
今、いろいろな新しい方向性を模索しているパナソニック。その中に「The Roast」と名付けられた「焙煎機と生マメ」を組み合わせたサービスがあります。

一声、コーヒーは、味に及ぼす影響が、豆:70%、焙煎:20%、抽出:10%という割合だと言われています。一言、良い豆と言いますが、これを手に入れるのは至難の業。私も、某通信販売で安いと思って買ったら、半分位欠点豆で選別時泣きそうな気分になったことがあります。以降、怖くて安い豆が買えなくなりました。

パナソニックが全力で、豆と焙煎をサポートするのですが、実は、その価格、今回のiDripと同程度です。
しかし、こちらは焙煎も自分で行わないといけませんし、少量焙煎が得意としても「保管」には、すこぶる気をつけなくてはなりません。

 
iDripは、そうしたのと見事な位、無縁です。ひたすらおいしい。
まぁ、システムから考えると、味のブレも最小に抑えていると言えます。

逆に、パナソニックのThe Roastは、ある程度ブレます(主には抽出)。それがコーヒーの面白いところですが、忙しい人には合わないかもしれません。

かたや、教育的な要素、職人的な要素を入れる日本、AI、IOTをフルに使がい最高のものをストレートに追いかけた台湾。スペシャリティ・コーヒーの追いかたも色々ありますね。

 
◾️お金がある人は買うべし
試飲したのは、2種類でしたが、双方ともスペシャリティ・コーヒーとしてとても美味しく、iDripの実力を思い知りました。メカの良さもそうですが、コーヒー好きな人が、「これ良いでしょ」と勧め、「ワーォ、すごいじゃん」という感じです。
お金に余裕がある人は是非。
贅沢品ですので、特別定額給付金が必要としない人は、様子が良い時に。

私は、1日5分でも、最高のモノと過ごせるのは幸せなことと思っています。iDripは、それを実現できるコーヒーメーカーと言えます。
 
商品のより詳しい情報は、以下のURLでご確認ください。https://store.tsite.jp/
 

 
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2020年6月26日

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