レポート

【実力チェック】パナソニックのDNAが入ったシャープの炊飯器:KS-HF05Bの実力は?
判定は保留。理由は・・・


元パナソニックの炊飯器開発担当者が、火加減をプロデュースした、KS-HF05/10B(05:3合炊き、10:5.5合炊き)。いろいろな意味で注目されます。
特に気になるのは、その食味。さて実際に食べた感じをレポートして見たいと思います。
 
■騒ぐほどではない話なのだが・・・
2万円台の炊飯器。
まぁ、どこの家電売り場にも置いてある炊飯器で、騒ぐほどではありません。しかし、この炊飯器を通して見えることが多々あります。試食レポート前にそれを確認して見たいと思います。

●キッチン家電を、シリーズ販売する手法を採用 シャープは、イイとヨクナイがかなりハッキリしたメーカーです。元々、技術を中心に商品を発案するのが得意な会社です。典型的な例が、8mmムービーの「液晶ビューカム」。液晶TVが作られる前、液晶をちょっとでも多く使うために作られました。ファインダーでなく、大型のモニターで見ながら録画するスタイルを定着させたモデルです。今のムービー、デジカメは、ビューカムの影響を少なからず受けています。主軸に技術がある時は、目のつけどころもシャープなモデルを上市します。

家電でのシャープの得意技術は、「液晶」「プラズマクラスター」「過熱水蒸気」の3つ。キッチン分野では「過熱水蒸気」のオーブンレンジ「ヘルシオ」が成功しています。

ただ、冷蔵庫は「メガフリーザー」という特長はあるモノの、オリジナル技術でないためでしょうか、ちょっとノビがありません。炊飯器に至っては、パッとでてくるモデル、イメージはありません。そのレベルと言うことです。

このためでしょうか、今回は「PLAINLY」と名付けたシリーズで、「オーブンレンジ」「単機能レンジ」「IHジャー炊飯器」「ガラスドア冷蔵庫」を展開しています。これはどちらかいというと、家電個々の機能はベーシックに、その代わり全モデルのデザインを統一。ともすれば、バラバラになりがちのキッチンのイメージ統一を提案します。まとめ買いなので、安いこと、そして嫌われないことが条件になります。

KS-HF05B。三合炊き。色:白、黒の二色。
IHで、価格:2万円台は、日本の炊飯器としてよくある構成。


 
●元パナソニックの社員が、火加減をプロデュース
今回、火加減をプロデュースしたのは、下澤理如氏。
元パナソニックで、元サンヨー。サンヨー時代は、ご飯を使ってパンを作るアイディアベーカリー「GOPAN」を作っり、パナソニック時代は、炊飯器「おどり炊き」を作った人です。

今までの場合、教えを請いに頭を下げることはしても、学んだことを利用して、より進化させるというのがメーカーのスタイルでした。いわゆる「出藍の誉れ」型と言ってもいいでしょうね。しかし、今は、M&A時代。そんなかったるいことはせず、師匠にやってもらえばいいじゃんということなのでしょうか?
 
■かなりビックリ!美味い!!
実は、発表会の時食べているのですが、正直、それほど美味しくは感じられませんでした。やわらかめに炊きあげられたご飯。若者には、余り好まれない硬さです。「おどり炊き」ライクな感じでした。この時の感想は悪くはない。

が、商品は、持ち帰って自分で試して初めて本性が露わになります。
と言うことで、自宅で使ってみました。

まず、一合。米は、山形のつや姫。スーパーで購入したお米ですが、美味いお米の一つです。結果は、「すばらしく美味しい!」でした。私は、お米が美味く炊けると、嗤ってしまうのですが、笑いが取れないレベルです。

つづいて、三合。これも同じことを再現します。美味い!

双方とも、標準で「やや固め」の食感。「おどり炊き」の「やや〜柔らかめ」と明らかに異なります。これはイイと思いました。

 
この3合炊き炊飯器のプログラムは、極めてベーシック。
炊き方は、「エコ炊飯」「白米 標準」「白米 ふっくら」「白米 しゃっきり」「無洗米」「おいそぎ」「極上」「玄米」8つからセレクトです。今ドキとしても、搾ってある感じです。

が、逆に言うと、標準が美味いので、後はちょっとした好みが活きる感じです。

 
■美味さを支える技術
美味さを支える技術の一つは間違えなく「火加減」でしょう。
これは、パナソニック、サンヨーのDNAと言っていいかも知れません。

これを支えるのが、IH、そして内釜です。
今回の内釜、無銘ですが、なかなか迫力ある作り。昔なら、「銘はないが、名のある刀工の作とお見受けする。」とても言うべきところでしょうか。

 

何気に、重く、重厚感のある内釜。
結構気に入っている。


しかし、この価格帯に、「このレベルの内釜」。大きな時代のうねりを感じます。

 
■シンプルな構成は据えて味方
毎日使う炊飯器の最大の敵は、「洗い」です。人間なんて、極めてドライな動物で、刺激に慣れると、より刺激を求めてエスカレートするように、ちょっと面倒くささも、慣れなければ、面倒に感じ続け、いつしか嫌気がさしてしまいます。

シンプルな構成だとそれがありません。

電源ケーブルは、巻き取り式ではない。


逆説的な言い方になりますが、コレは大いに魅力的なことです。

 
■デザイン
冒頭書きましたが、この炊飯器は、デザイン家電です。
炊飯器は、イメージの強い商品であり、中々新しい雰囲気を出すのが難しい。正直これ単独で見ると、イマイチという感じですね。

また、フタのコンソール部に液晶が使われていません。隙あらば液晶搭載が、シャープのあり方でしたので、今までと大いに違う感じがする一方、時間を示す数字の業者は古い。ここはイマイチだと思います。

時間を表す数字が、粗野な感じ。
(紅網掛けで表示)


また、炊飯器の操作は、フタ上で行います。それは、フタを開けるボタンも一緒。いろいろな場所にスィッチがあるというのは結構面倒臭い物です。
が、今回のフタ開けボタンは正面です。これは慣れなかったです。

最後まで使いにくさを感じた開閉ボタン。 (赤矢印で表示)


■再度、品質確認を望む
今回テストしたのは、シャープから貸し出してもらったモデルです。
が、鈍く光るかすれ跡を見つけてしまいました。(濡れたキッチンペーパーでは落とせないレベル)
この問題は、個別であり、モデル本来の問題ではないと思う思いますが、気を付けて欲しいところ。中国製が当たり前となり、この炊飯器も中国製です。しかし、目視も含めた品質判定は、日本製に比べて甘いところが多いです。

内ブタの内側に付いている金属光沢を持つ汚れ。
あってはならない汚れですね。


特に、シャープが、日本メーカーとして頑張りたいなら、こう言うところもキチンと対応してほしいものです。

 
■総合判定
この価格の炊飯器としては、かなりの力作。味だけなら太鼓判判定でした。ただ、品質としては不十分(上記の汚れです。)な可能性があります。
よって、判定は保留とします。

が、これからの炊飯器の方向性、実力を示唆する、エポックメイキング・モデルと言えます。

 
商品のより詳しい情報は、シャープのホームページにてご確認ください。
https://jp.sharp/ricecooker/

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2020年1月8日

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