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「1.5kg」の軽量スティック型掃除機登場!
シャープのスティック型掃除機「RACTIVE Air」


シャープのスティック型掃除機「RACTIVE Air」。いろいろなメディアが「スゴい、スゴい」の大合唱。しかし私はちょっと違う印象。私が引っ掛かっている部分を話して見たいと思います。
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シャープ スティック型掃除機 RACTIVE Air EC-AIR
12月8日発売、オープン価格、市場導入期:約6万円(税抜)と見込む


■スティック型掃除機の立ち位置
シャープによると、現在、キャニスター型掃除機より、スティック型掃除機の方が販売台数が多いそうです。

感じている人も多いと思いますが、とにかくスティック型掃除機の特長は、ちょっと掃除するのに便利です。部屋の中に立てかけてあるので、さっと取って、気になる部分だけ、さっさと掃除。
今、単身世帯が増えている上、共稼ぎが当たり前。
となると「家事は手早く」が当たり前の時代。そのニーズにはピッタリ。
私の友だちに、2台目としてスティック型掃除機を買って、そのまま1台目のキャニスター型掃除機をお蔵入りにした人もいます。

 
と書くと、「スティック型掃除機を買わなきゃ損」のイメージがありますが、現実はちょっと違います。
スティック型掃除機は、1台目(メイン掃除機)のコンセプトで作られたモノと2台目(サブ掃除機)のコンセプトで作られたモノで、かなり仕様が変わってくるからです。

 
■1台目(メイン掃除機)のコンセプトで作った場合
これはキャニスター型掃除機の特長を持たなければなりません。
それは家中を隅から隅までキレイに掃除をするということです。
そのためには、バッテリー容量は大きくなりますし、モーターも強力なモノを使います。必然的に重くなります。

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RACTIVE Airのモーターとバッテリー。
小型軽量型が使われていることが分かる。


このため、スティック型掃除機と言えども、重心を床近くに取り、重さのほとんどを床で支える構造を取ります。こうすると、本体が重くても、1kg以下の少ない力で自在に操ることができます。
その代わり、ハンディとして使うときは、重い部分を切り離し、単なるハンディ型にします。これに各種アタッチメントを付け使うのですが、やはり、どちらかというと振り回しにくい。キャニスター型ほどではありませんが、ちょっと面倒なのも事実です。

典型例はエレクトロラックス社のエルゴラピードです。

 
■2台目(サブ掃除機)のコンセプトで作った場合
キャニスター型を持っているのが前提になりますと、スゴく極端な言い方をすると、掃除の持続時間、吸引力は多少犠牲にしてもイイと言うことができます。
ハンディ型にアタッチメントを付け、スティック型掃除機にするという考え方です。
こちらの方の特長は、「軽く」です。

成人男性でも、腕に数キロのモノを持ってしまうと、動きが制限されます。
実際、腕の運動でダンベルを使う場合、数kgのダンベルを、10回×3セット位で、実質30秒〜60秒。これでも結構腕に負担が掛かります。腕に掃除機を持って、一部床に付いているとは言え、ガンガン動かしていくわけです。

その自由さを保つためには、1に軽量、2に軽量、3、4も軽量、5に軽量。軽さがもたらす自由度。それは大きなポイントになります。

 
■軽いというのは、絶対正義
生活家電.comが支持している掃除機に、パナソニックの紙パック式掃除機のJコンセプトがあります。
このモデル最大の特徴は軽いこと。本体の重さ:2kgです。
キャニスター型なので車輪が付いているので、重さは関係ないと考える人がいるかも知れませんが。全く違います。

私の経験から言うと、本体重量:2.3kgを切るとキャニスター型掃除機の動きは自在と言ってイイほど軽くなります。心底「楽」。
クルマに詳しい人はお分かり頂けると思いますが、クルマを早く、自在に走らせるのは、軽量であることは絶対条件の一つです。それを同じ。

キャスターが付いていても、引っ張るのは人力。軽いと楽です。

 
■「RACTIVE Air」は2台目の掃除機として設計
シャープのスティック型掃除機「RACTIVE Air」はどちらでしょうか?
発表会の時に、明確に「2台目の掃除機」で作られていると説明がありました。

このため、徹底的な軽量化を施し、「1.5kg」を実現したということです。

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■1.5kgのための技術
一言で1.5kgとは言うモノの、それにはいろいろすべきことがあります。
掃除機の共通の課題、小型軽量強力モーター、そして高性能小型軽量バッテリーがまず必要。
これは、全ての掃除機で共通の課題です。

「RACTIVE Air」特有の特長は?
それはパイプです。パイプはなるべく薄く作るのが常なのですが、今回は思い切り素材を変えています。

DSCF8957 「ドライカーボン」。軽く、粘りがあるため、独特のしなやかさを持ちます。
いろいろな所に使われていますが、有名なのはゴルフの「ドライバーシャプト」。反発力に優れますので、ゴルファーの憧れの一つ、飛距離がでます。
欠点は、ある種の脆さを持つこと、そして価格が高いことです。

昔、ハイアール(旧三洋)の業務用掃除機で、「アルミパイプ」の余りの軽さに驚愕した覚えがありますが、素材を変えることでできることは非常に多いモノです。

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左)今回モデルのパイプ。右)樹脂(ABSと思われる)を使用したパイプ。
径、厚み共に工夫が凝らされている。


 
■「RACTIVE Air」の特長
さて、「RACTIVE Air」ですが、軽いことが大きなポイントです。
その特長が、多様なアダプターです。

DSCF8964 実は高いところとかはハンディ型掃除機が便利の様に思えますが、この認識は誤っています。
ハンディ掃除機が便利なのは、手が届く範囲までです。
手が届かない所、例えばエアコンの上を掃除するならアタッチメントを付ける必要があります。

キャニスター型の場合、本体は設置していますので、蛇腹ホース、パイプ、そしてヘッドの重さが手に掛かります。それなりに軽い。
ハンディ型の場合は、本体、パイプ、そしてヘッド。
キャニスター型は重さではひけを取りません。が、実際に使って見るとハンディ型の方が、使い勝手は勝ります。それは「自由度」です。

DSCF8982 人は、身長も、腕力も人それぞれ。このため掃除のやり方も、人それぞれです。
それを支えるのは、自由度の高いツールです。
昔からあるツール(包丁、金槌など)がシンプルなのはうなずけます。
床に本体がないというのは飛躍的に自由度が上がり、実に使いやすい。
1.5kgという軽さは、この部分でも生きています。

ちなみに、名前の「RACTIVE」は造語。「楽」+「active」。楽にいろいろ動かせるの意味です。

 
■第一印象
「RACTIVE Air」は、第2の掃除機としてはよく出来ています。
では、メイン掃除機としてはどうでしょうか?

ここからは発表会場で、床のダミーダストを清掃させてもらった時の個人的な印象です。
端的に言うと「吸引力に余裕がない。」という感じです。
用意されたゴミは吸い取りました。が、違和感があるのです。

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きちんと吸い取っていることは事実。しかし余裕は感じられない。


1.5kgという重さは、並では対応できません。前述の通り、モーターとバッテリーを小型化する必要があります。多分、そのためだと思います。

しかし、1.5kgという重さ、自由度は大いなる魅力であることは間違いありません。

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ヘッドの最大ひねり角度。少ない力で楽に使える。


モノを作るときには、メイン掃除機、サブ掃除機として、作り込んで行きますが、実際使われるときは曖昧です。メインだ、サブだとは思って使いません。
しかし、主には床掃除がメインだとは言えます。
このためパワー不足を感じる人がいるかも知れません。

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椅子、机に、ちょっと引っかけることができる。
床に立たせることができない分だけ、これは便利!


イイ作りなのですが、ちょっと足らないというのが、私の印象です。

 
私がここまで書くのは、「私は人が動かす掃除機は1つでイイと考えているからです。」市場もそう望んでいると思います。最近は、ふとん掃除機に代表されるように「専用」が増えています。しかし、専用ばかり増えるのは感心しません。家電に家が覆われます。

この少し!頑張って欲しいと思います。

 
商品のより詳しい情報は、シャープのホームページにてご確認ください。
http://www.sharp.co.jp/souji/

2016年11月14日

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