1995年〜2005年、日本の多くのメーカーがPCを作っていました。
しかし、今は儲からない話ばっかり。経営統合の話も出たりします。そんな中、2年前に独立したメーカーになったソニーのPC部門。
そこが作り上げたPCはひと味違うモノでした。
■VAIOの総合コンセプト「快」
モノ作りはいろいろな難しさがあります。
その中の一つが「差別化」。
人と違うモノを欲しがるのは、人の常だからです。
しかし、PCの差別化は中々難しい。
と言うのは、PCのパーツの多くは、自社ではないからです。
当然、カタログスペックも似てきます。
全てのモノが、ぶつかる命題でもあります。
クルマもそうです。
数百万円もするのですから、他人は持っているモノよりイイのが欲しい。
しかし、同じ価格鯛のカタログスペックは大体同じモノが並びます。
その時のメーカーの解答であったのが、「fan to drive」。
クルマを自在に操るのは快感です。
中低速コーナーを自在に操れると、すこぶる気持ちがイイ。
単なる移動手段ではない、「快」楽の道具でもあります。
差別化のできなくなったPC分野にこのコンセプトを持ち込んだのがVAIOです。
■業務用途で「快」とは
現在の社長 大田氏が就任の時、明確に業務用に集中しますと宣言されました。
その時は、「快」で業務用となんてと思いました。
しかし考えて見ると、「あるかも」とも思いました。
例えば、百均で買ったプラストライバーとKTC(京都機械工具)ミラーツールのプラストライバー。確かにネジを回すという機能に関しては同じでしょう。
しかし、KTCの方が遥かに手に馴染みます。
剛性があり、回すという単純な行為が快感へと変わるのです。
自分が思った通りに、的確な感触で、事が行える。
これは「快」感です。
つまらない書類書きでも、タイピングが快感だったら、話が変わると思いませんか?
結果はどうか?
VAIOは、営業黒字になったそうです。
■コンシューマー用のVAIO C15
VAIOは、このコンセプト「快」を4つの軸に分けています。
「質感・剛性」「インプット」「レスポンス」「アウトプット」です。
質感・剛性 | ・高剛性かつスタイリッシュな筐体 ・長期使用でも安心できる信頼性 |
インプット | ・静音キーボード ・タッチ&ペン ・必要なインターフェイスの実装 |
レスポンス | ・高密度実装技術と放熱設計技術による高いパフォーマンス |
アウトプット | ・高精細・高色域のディスプレイ ・音質・音圧の向上 |
今回は、この中の「質感」での「快」追求です。
■合い言葉は「 I like it.」
今のPCは、誰でも持っています。
余程のことがないかぎり、一家に一台はあるのではないでしょうか?
それは、ラジカセが普及し、女の子でもカセットをガンガン使う時代に、VHSビデオが普及し、主婦がスーパーで買う時代の様なものです。
今、PCを買いに行く時、PC雑誌を見比べてなんてしません。
PC雑誌もほとんどないですし。(あっ、正直に言ってしまった!)
最も部数が多かったPC誌は、週刊アスキーですが、今は紙版ではなく WEB版です。
何故こうなったのかと言うと、PCがモデル毎の性能に余り差が付かなくなったからです。
その上、マニアではないのですから、それまでの書き方では通用しません。
マニアなら不勉強を恥じますが、これは一般消費者には通じません。
まして、OSも十分発達し、フリーズなどもなくなりましたからね。
そんな時、選ぶのは「何となく」なのです。
別な言い方をすると、服、雑貨の感覚なのです。
VAIOは言います。
「I like it.」
■インテリア感覚
デジタル格差と言う言葉が一時流行したことがあります。
PCなどが当たり前のツールになるのに対し、価格が高かった時代の話です。
今は、5万円のPCもあり、個人持ちの最低要件は満たしています。
つまり、各家に一台は当たり前なのです。
こんな時、貴方はどんなのを選びますか?
例えばインターネット。
服などは、無限とも言える種類を提案してくれます。
しかし、見えないところはともかく、見えるところはかなりシビアに選択する服なのですが、ネットで無制限に調べるなどはしません。
どちらかというと、自分のお気に入りの服が置いてある店で探しますよね。
本来、服のチョイスは、洗濯機で洗えから始めると、後々楽なのですが、気に入ったら買ってしまいますよね。
でも、後悔はしない。
今、求められている一般用のPCは、こんな感じなのです。
扱って気持ちのイイ「fan to drive.」ではなく、一緒に居て心地のよい感じです。
■「安曇野フィニッシュ」の強み
VAIOの工場は長野県安曇野市にあります。
この市に本社を持つ唯一の株式会社だそうです。
ここに、私がインタビューした時に、大田氏が「VAIOの財産」と言った「安曇野工場」があります。(あともう一つの財産は、社員だそうです)
今、日本の小規模メーカーは日本製の品質の良さをうたうのが実に多いです。
個人的には、余り歓迎していません。メーカーは自ら定めた品質基準を守るべきであり、それは日本でも、台湾でも、中国でも同じと考えるからです。
VAIOはこれを一ひねりしました。
それが「安曇野フィニッシュ」です。
日本だからこそ出来る凝ったディテールを入れ込もうと言うわけです。
これを最大限に活かしたのが、今回のコンシューマー用PC、VAIO C15なのです。
会場写真では、上手く伝わりません。ここは是非、実物に触れて見てください。
■販売は、BEAMS
今回のモデル、量販店で販売する積もりは余りないとのことです。
今の量販店は、全部置く、万国博覧会状態。
これは、ほとんどの量販店が、「カメラ」が出自だったためだと思います。
カメラは基本高品質です。
となると、安い方がいい。
しかも、カメラは知識が半端でない人も多いですからね。
店側がセレクトしても、ダメなのです。
今回のVAIOは違います。
フィーリングがあう人の所でこそ、好感度が上昇するモデルです。
販売は、セレクトショップ BEAMが行うそうです。
普通に使う分なら性能は十分。そして雰囲気は自分好み。
昔のスケルトンiMacを思い出した人もいると思います。
が、ここで割って入るのが、「安曇野フィニッシュ」。
故ジョブスも納得するであろう、ハイクォリティです。
モノがあって当たり前の時代だからこそのPCといえると思います。
商品のより詳しい情報は、VAIOのホームページにてご確認ください。
http://vaio.com