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日立らしい日立の縦型洗濯乾燥機「ビートウォッシュ」BW-DX110A


ほぼ一年前掲載した記事に、『日立、2015年の縦型洗濯機「ビートウォッシュ」は「11kg!」の大容量と「ナイアガラすすぎ!」』とあります。実は、2016年の「ビートウォッシュ」BW-DX110Aも特徴は替わりません。やはり、「11kg!」の大容量と「ナイアガラすすぎ!」です。しかし、実質的には、細かな工夫がいろいろされています。
■日立のポジショニング
昔から言われてきた日本の電機大手8社は、日立製作所、東芝、三菱電機、パナソニック、シャープ、ソニー、NEC、富士通のことを指します。この内、白物家電は頭の5社ですが、東芝の白物系は中国、シャープが台湾となりました。
ちょっと残念ではありますが、栄枯盛衰は人の世の流れですからね。

このため白物家電メーカーで、今、日本メーカーと言えるのは、日立、三菱、パナソニック。
これらは残っているだけあり、各メーカー毎、かなりはっきりした主張があります。

三菱は独自性に優れます。ユニークな魅力があります。
パナソニックはマーケティングに優れます。ユーザーを選びません。

さて、日立。
三菱とパナソニックの中間と言ってもイイのですが、感じるのは「最も技術よりであること」、そして「大きい(多い)なぁ」です。
国内民生用洗濯機で最大容量の11kgもそうですが、もう一つの目玉「ナイアガラすすぎ!」、これがスゴいです。

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日立 縦型洗濯乾燥機 ビートウォッシュ「BW-D11XWV」 シルバー 天面


 
■名前に偽りなしの大瀑布
世界三大瀑布というと、アルゼンチンとブラジルにまたがるイグアスの滝、アフリカはジンバブエとザンビアにまたがるヴィクトリアの滝、アメリカ合衆国とカナダにまたがるナイアガラの滝のことを言いますが、根拠が明らかではありません。

エンジェル・フォールを入れてもイイですし、聖闘士聖矢に出てくる廬山の大瀑布を入れても構いませんが、有名極まりないナイアガラを外す人はないでしょうね。

実はナイアガラ、落差や幅は他の2つに劣るのですが、水量が世界一。
すすぎの名前に使うなら、一番ピッタリくる名前ですね。

 
と書きましたが、水道水を湯水のごとく使うことはできません。
今や水道料金は高いですからね。
洗濯機は、節電より節水。そして乾燥機は節電というのが現在です。

このため、水を撹拌するパルセーターの裏に羽根で水に勢いを付け、二重になっている洗濯槽の間に送り込み、上から出してその水流を利用してすすぎます。
この水流が違うと、衣類の間から洗剤に包まれた汚れを押し出すことができません。
この水流。実に重要です。

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パルセーターの裏側には、いろいろな羽根が付いている。
この羽根が水を上まで掻き揚げる。


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赤い矢印に沿って水が上に掻き揚げられる。


 
で、日立のナイアガラすすぎは・・・。
これが笑っちゃうほどの、大瀑布。名前に偽りはありません。

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激しく、ドバーっという感じで、放出される。
水量世界一のナイアガラの滝と言われるとうなずいてしまう。


 
そしてすすぎのポイントは、衣類の中に汚れた水を残さないこと。
これはすすぎ中、それなりに高速の回転数が必要です。
日立は、約1000回転/分。

洗濯物から、どんどん洗剤成分を搾り取るのです。

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洗剤の中にはより白く見せるため、蛍光増泊剤などが含まれていることがある。
ブラックライトが当たると白く輝く。
ナイアガラすすぎ後の場合、ほとんど輝かず、水と同じ。


 
■物理的に洗う 〜泥汚れ〜 ナイアガラビート洗浄
泥汚れは、砂、砂利を含む細かな土を構成する粒子が、繊維に付いたモノ。
このため、化学的にではなく、物理的にスゴくないと泥汚れは落とすことができません。

洗濯機のパルセーターが作り出す水流による、押す、叩く、揉むが大きなポイント。
また、当然すすぎと同じ様に、水を激しくあて、汚れを流し出す方法もあります。

日立のパルセーター、X字状の「ビートウィング」は小刻みに衣類を動かすビートライン、大きく衣類を動かすビートスロープ、そして洗濯板と同じ効果を持つビートボールが付いています。

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槽底にセットされたパルセーター「ビートウィング」。
洗濯機でもっとも工夫が凝らされているパーツ。


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左側一番上の汚れが泥汚れ。
左)選択前、中)標準コース、右)温水ミスト180分コース
泥汚れは標準コースでも十分落ちている。


大流量ナイアガラシャワーで、衣類に水を大量に散布。
こちらも抜かりありません。

 
■化学的に洗う 〜黄ばみ〜 温水ナイアガラビート洗浄
化学的に洗うというのは、洗剤の力をフルに使って洗うということです。

洗剤で主に汚れを落とすのは酵素の働き。
この酵素、人間の体温前後が一番活発に働きます。

日立の場合、通常の倍量の洗剤液を衣類に浸透させた後、温水ミスト(霧)を吹きつけ、洗剤の酵素パワーを活性化させます。
これにより衣類の温度は、30〜40℃に上がります。
その様な状態を、180分維持します。

もっと簡単に言うと、風呂のお湯に、高濃度洗剤液を混ぜ、180分間「つけ置き洗い」と同じです。
これは、洗濯機が洗う前に勝負あり。
キレイに落ちます。

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■これはいい! ほぐし脱水、温風ほぐし脱水
使い勝手の仕様で感心したのは、ほぐし脱水、温風ほぐし脱水の機能。
脱水後、洗濯物がからんで干すときに手間がかかるのは、昔からのこと。
服がグニャグニャの上、最も少ない水量で、上下左右斜めと立体的に撹拌されますので仕方がないと言えば、ないことです。

ほぐし脱水とは、脱水の最後で、パルセーターをイヤイヤするように少しだけ回してやるのです。
するとかなりほぐれます。
完全ではないですが、グンと楽になります。

いい知恵です。
ただし6kg以下という注釈が付きますが・・・。

 
温風ほぐし脱水の方は、ほぐし脱水時に温風を吹き付けるわけです。
やや濡れた状態で、高温。
つまりスチームアイロンのスチームと同じ。シワがグンと伸びやすくなると言うわけです。

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干した後のシワの寄り方に明確に差がある。


 
■おしゃれ着用のコースを新設
今まであった「ドライ」コースに加え、「デリケート」コースが新設されました。
右の取扱絵表示に対して合ったコースです。

女性の洗い物は、素材が多種多様。
手洗いが基本ですが、それよりちょっと強く洗いたいレベルです。

ここはどちらかというと自己責任の範疇となります。

 
■第一印象
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日立洗濯機のマスコット しろのすけ

今ある技術に対しては、ほぼやり尽くした感がある洗濯機です。
技術的に決定的に不満がでるところはないと思います。
言うなれば、今のモデルでイイと感じた人は、買うなら「今」です。

「後悔することは、まずない」と言えます。

 
ただ、この先どちらの方向に進むのかが見えない。
例えば、海外だと標準仕様であるお湯洗いに対し、日本メーカーは水洗いを基本とした仕様で作っています。
確かに、泥汚れ単独なら負けませんが、実際は一枚の衣類にいろいろな汚れが付いているのが普通ですからね。
お湯洗いの方が有利です。

 
また、海外メーカーは積極的にIotにアプローチしています。
まだその片鱗も見えません。

さらに言うと、現在コインランドリーのあり方も急激に変わって来ており、本当にふとんを自宅で洗う必要があるのか等が問われる時代になりつつあります。(問題は干し。コインランドリーの場合、乾燥機容量がふとん乾燥できるサイズを持ちますが、家庭用だと厳しい)

また、現在の洗濯機自体は手洗いと切り離して進化してきました。
が、割と手洗いが必要な時はよくあることです。

 
個人的には、今後、「洗濯」全体を見た洗濯機が必要と思います。
「クリーニング」「コインランドリー」との上手い付き合い方も考慮され、風呂場でしゃがんでの「手洗い」ではなく、もっと「手洗い」し易い環境を提案するなどです。

家庭の中の洗濯基準となる「洗濯機」。
今までの視点とは全く違う視点が求められていると思います。

そこが、ちょっと足らないように感じます。
モノが良いだけに、そう感じられたのかも知れません。

 
商品のより詳しい情報は、日立のホームページにてご確認ください。
http://kadenfan.hitachi.co.jp/wash/

2016年6月7日

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