レポート

一合炊き勝負!
3.5合炊きと5合炊きで、どっちが美味いか?


問題です。
炊飯器は、大きく3.5合(3合の場合もあり)、5.5合、10合(1升)と3種類の釜サイズがあります。
さて、1合だけ炊く時、どのサイズが美味しく炊けるのでしょうか?
■一日一合、一日二膳
中国人にも大人気の日本の炊飯器。
昔からすればビックリする程、お米を美味しく炊きあげます。
よくぞ作り上げたもの!と感動すらします。

その炊飯器ですが、未だにメーカーは、冒頭の3つのサイズを発売しています。
今は、世帯人数の関係で、10合は少なくなり、3.5合の釜の需要が増えています。

高齢化社会ということと考えると当然ですがね。

厚生労働省データー

厚生労働省データー。世帯数は増えて、構成人数は減っている。
つまり、2人以下の世帯が増えているということ。


 
ちなみに、今の日本人は、一人当たり年間60kgのお米を食べるそうです。
日に、164g。
一合が150gですから、だいたい日に一合ですね。
一合は炊くと、350g。だいたい茶碗二杯分です。

朝晩、御飯一杯ずつ。
昼は、麺か、パンですかね。

で、2014年で、1人世帯:27.1%、2人世帯:30.9%ですから、57.9%は2合以下/日と考えたらいいでしょうかね。

となると、やはり、3.5合釜の需要は今後ますます増えます。

 
■開発メインは5.5合
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本土鍋をひっくり返した所
底全面、そして側面のザラついた縞模様が
あるところ全部が発熱する。

炊飯器の新製品のメインは、まだ3.5合ではなく、5.5合です。
機能も多彩ですし、火力もあります。
炊飯も、料理も、火力は重要ですからね。

今回使用した炊飯器では、1回当りの炊飯時消費電力も、3.5合タイプ:104Wh、5.5合タイプ:151Whです。

 
また、平均世帯構成人数は、2.41人。
そうすると3合でですからね。
5.5合炊きに合うという意味も含まれていると思います。

 
また、メーカーさんは、5.5炊きで、1合を炊いていても美味しく炊けるといいます。

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左)5.5合炊きで、1合炊いた時、右)3.5合で、1合炊いた時
さて、どちらが美味しい?


 
では、一人モン、つまり一合炊きをメインにする場合、どちらを買えばいいのでしょうか?
味で決めるならどちらがいいのでしょうか?

と言うわけで、3.5合、5.5合の一合炊きテストしてみました。

 
■テスト機はタイガー魔法瓶:JPX-A1
今回、テストしたのはタイガー魔法瓶:JPX-A1です。

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タイガー魔法瓶:JPX-A1
360°、どこから見ても破綻のないデザイン


シンプルな構成、シンプルなプログラム。
味良し、デザイン良しの一品です。

水の扱い、米の扱いがそのまま炊きあげの良さを決めるような、炊飯器です。

ちなみに私が、所属している米・食味鑑定士が主催しているお米甲子園でも、タイガーさんの製品を使っています。

そのタイガーの同じ型番の、3.5合、5.5合品を使いました。
先ほど書いた通り、火力差がありますが、釜容量に合わせたプログラミングがされているとのことです。

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タイガーの内釜は、本土鍋。熱の伝導にもこだわっているが、嬉しいのが「軽いこと」。
左)3.5合炊き:794g、右)5.5合炊き:1124g 米をといで、本体に入れる時、すごく楽!


 
■4回行った試験結果は?
コシヒカリ、ミルキークイーンの二銘柄で、各2回。
麦飯で2回。
都合6回確認しました。
結果は、ずばり「3.5合炊き」の方が美味しかったです。

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左)5.5合炊きの1杯、右)3.5合炊きの1杯


 
■何故なのか?
私は三つの理由があるのではないかと思っています。

一つ目の理由は、水かさです。
一合を炊くには、一合の水を入れます。(重さ二割増し)

3.5合と5.5合だと、釜の底面積が違います。
当然、5.5合の方が浅くなります。
要するに、対流で、お米が踊り炊きあがるのに対し十分な深さが取れないということです。
ここがイマイチなのではと思います。

計算してみましょう。
5.5合釜は、直径19cmですので、180mlの水を入れると、深さ6.4mmです。
3.5合釜は、直径16.5cmですので、180mlの水を入れると、深さ8.4mm。
約2mmの差がでます。
お米一層分の差です。

 
二番目は、温度バランスです。
3.5合の1合炊きの方が、5.5合の1合炊きよりバランスがイイのだと思います。
これは、米の上の空間部分の温度を含めてです。
3.5合は中央値が2合の所なので、そんなに大きな差はありませんが、5.5合の場合は中央値3合から、かなり外れますので。

 
三番目は、人為的なミス。誤差です。
いや、不正確さというべきでしょうかね。

3.5合で1合の線の精度と、5.5合の線の精度は違います。
引かれている線の精度ではありません。
目盛りの合わせやすさです。

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左)3.5合釜。0.5合の目盛りもあり、水位も合わせ易い
右)5.5合釜。一番下が1合。位置も低く、水位が合わせにくい。


3.5合は中心が2合ですからね。
0.5合の目盛りがある上、やや位置も高く、合わせやすい。

ところが、5.5合の中心は3合。
2合差がある上、位置が低い。
これが実に合わせにくいのです。
5.5合釜で1mm違えば、1合の場合、16%近く水量が狂いますからね。

もしかしたら、これが主要因かも知れません。

 
ただし、タイガーの炊飯器:JPX-A1の肩を持つわけではありませんが、一言付け加えておきます。

5.5合の1合炊きも決して不味いわけではありません。
かなり美味く炊けています。
単独で食べて不満を持つ人はいないと思います。

ところが、3.5合の1合炊きは、はっきり美味しいです。

 
■結論
炊飯器は、大は小を兼ねず、適所適材がベストといえると思います。
1合を多用するなら、3.5合炊きを。
3合以上なら、5.5合炊きをお勧めします。

2合だとケース・バイ・ケースですが、5合を炊く可能性がほとんどなければ、3.5合をお勧めします。
理由は、・・・。
美味しい上に、電気代が安く済むからです。

自分の食事量を知り、それに合った炊飯器を買うと、同じ様に炊いても、より美味しく食べられる。

本日は、そういうお話でした。



2015年7月10日

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