思うこと

メーカーは”商品が命”なのでは?
シャープの決算報告を聞きながら思ったこと


シャープの最も有名なCMは「目の付け所がシャープでしょ」でしょうね。
そして新しいモノにも挑戦し続けた会社でもありました。
白モノだと「水で調理するヘルシオ」「ココロボ」「お茶プレッソ」などなど。
■「あれれっ」と思った発表内容
先週発表されたシャープの中期経営計画。
簡単にまとめておきます。

2014年、最終損益2223億円の赤字。

メイン事業である「液晶パネル」「太陽電池」の価格が下がっており、利益が小さくなったことなどが原因。

対応策として、(1)成長分野へリソースを集中、(2)日本・アジアへリソース集中、(3)資本金を使い一部穴埋め、資本金は1218億円から5億円にする、(4)市場の置いて行かれない様に判断を早くするために、事業部制にもどす、(5)本社社屋は売りに出す、(6)リストラは希望退職3500人という形で行う、(7)経営者は、少し変えるにせよ、黒字化をまっとうするために続投・・・などなど。

聖域なき構造改革をし、事業を全うするとされました。

 
聞いていて、1つ1つは分かるのですが、実は全体でOKかと言われると「?」です。

理由は「メーカーなのに商品の話が真っ当にされていない」ということです。

 
■話を聞いても主力事業の「液晶の未来像」が見えてこない
シャープは、「液晶の雄」。これは間違いないと思います。
シャープのいろいろな製品の内、ムービーの「液晶ビューカム」、電子手帳の「ザウルス」などは液晶の使用分野を切り開くために開発されたとまで言われたものです。

そして液晶TVがブラウン管を抜いた時、シャープの亀山モデルは世界に君臨したわけです。

ところが、液晶TVが最寄り品化した今、そのシャープがあえいでいるわけです。

 
一番の要因は、液晶の未来をシャープが持っていないことにあるのだと思います。
確かに「高精細液晶」のニーズあります。技術持っています。
確かに「IGZO」はスゴいと思います。

しかし、それが未来かというと「??」が付きます。
これから10年、「高精細液晶」で食べていけるとは思えないですよね。

商品は、「黎明」「成長」「安定」「衰退」のサイクルで推移します。
例えば、ハイビジョン規格の液晶パネルは、日本では当たり前ですから、「安定」に入っているわけです。
このためハイビジョン規格の液晶パネルを売ろうとすれば、「黎明」「成長」であるエリアで売るしかないです。

後、注意しなければならないのは、「成長」の速度です。
今までの代替え品でしなかいモノは、買い換えサイクルでしか成長しないということです。
要するに8〜10年/台というわけです。

日本の地デジ化は、強引に作られたTV需要ですので、こんなスピードの成長は望めないと言うことです。

 
逆な物言いをすると、次の主力となるべき液晶を開発。
商品をニーズがあるエリアで販売、「黎明」「成長」期の商品にするしか、ハイビジョン液晶の枠を脱皮できません。

 
■「倹約令」を聞く思いがした今回の説明会
江戸時代、何度となく「××の改革」というのがありますが、それは「倹約」と「産業振興」が両輪となります。
「倹約」が守りなら、「産業振興」は攻めです。
倹約はしなければならないが、「名物」を作り儲けることが重要なわけです。

もうお分かりですよね。
シャープは、何で儲けるのかを明確にしていないのです。
カンパニー制を引くとは言ったモノの、それぞれ何で儲け、どの位の構成にするんだという、攻めの意志を示していない訳です。

確かに液晶に関しては「いろいろな技術」を持っています。
総花的と言ってもイイでしょうね。
しかし、技術は商品に活かされないと、換金できません。

一番必要なのは、新しい魅力的な「液晶の未来」を提示することなのです。
そうでないと、シャープに投資する気にはなりませんよね。

 
■名経営者の特徴
アップル社を立ち上げたスティーブ・ジョブスが請われ、会社売却がささやかれたアップル社のCEOになった時、彼は何をしましたか?

彼は、いろいろあったマッキントッシュを再構築し、ユーザーが欲しいと思うモノを導入していったのです。

具体的には、プロ用(ハイスペック)とコンシューマー用に分け、ノートブックと据え置き型を1つずつ。
このコンシューマー、据え置き型が、iMacです。

iMacはスペックは大した事ありません。
見た目と使い勝手で勝負したのです。

PCの基本は今、ノートブックですが、当時はまだ据え置きが中心。
ディスプレイ、本体、キーボード、マウスなどゴチャゴチャ。
それを一体化し、誰でも楽に使える様にしたわけです。
そして色は、透明ブルー。明るい未来です。

その後も彼は、自ら率先して商品プレゼンを行います。
「iPod」「iPhone」などなど・・・。

そう、メーカーがすべきは、数値を羅列することではありません。

メーカーは自分で作ったものを販売して、お金をもらう。
納得できる商品なら、お金が集まりますし、そうでなかったら弾かれます。
メーカーは「商品」が中心なのです。

 
カルロス・ゴーンもそうですね。
大胆なリストラ策を進めながらも、商品も売れる商品に変えた。

売れる商品を作る。
メーカーはそうあるべきだと思います。

 
■シャープの未来
品質はどうあれ、ハイビジョン液晶は今、世界中で作られる様になっています。
市場は拡大しましたが、参入メーカーも多くなり、取り分は小さくなります。
そして、同じ品質なら「安い」というのは鉄則です。

このため「安定期」というのは、「技術の差別化」ではなく「アピールの差別化」です。
技術は「安さ」に、そして性能は「イメージ」アピールになるわけです。

 
今回、シャープが明確に話さなければならないことは、『「ハイビジョン液晶」からの脱却でしょう。』
確かに、技術はトップ。輝かしい歴史もある。
しかし「ハイビジョン液晶」は最寄り品化してしまった。
液晶を使っていない電子機器はないと言っても過言ではありません。

となると市場は、「安価」であることを求めます。
それに合ったメーカーが、大きなパイをもぎ取るわけです。

 
安定期は、別の言い方をすると、成長期の末までに「設備投資」が終わっていること、「開発」をしないことが前提。
市場の取れた分だけ儲かる構造です。

シャープが種々の液晶技術を持っているのは事実です。
その技術が活かせる市場は残念ながらまだ十分に見えていません。

 
そして液晶を主力から外すなら、それを明確にすべきことが重要です。
商品も組織もそうですが、野球でいう4番打者に育てるには、意志が必要です。
そういう意味で言えば、シャープに4番となる商品がないのです。

 
■中期経営計画発表の意味
そんなことで「あれ」っと思った発表会でしたが、もう1つ思ったのは、何故発表したか? ということです。

今回の発表、中期経営計画は「じゃ、様子を見てみようか?」と思えるモノではありませんでした。
実際、株価、格付けも下がっています。

またリストラをするわけですが、優秀な人ほど外でも通用しますから、基本優秀な人からいなくなると考えた方がイイわけです。
そして、技術は「人」です。

となると、今回の攻めの具体策を欠く、発表をした意味が分かりません。

 
再建で重要なのは、辻褄合わせではありません。
その会社に再び活力が戻るかです。

実際、小物ですが、最近シャープが作った新しい商品「サイクロンふとん掃除機 Cornet」「お茶プレッソ」「天井設置型プラズマクラスター イオン発生器」などは、非常に優れています。

経営者がすべきことは、納得できる「希望」を見せることです。
メーカーですから、できる限り「商品」でですね。
メーカーは、商社ではありませんので!

2015年5月19日

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