新製品

新型ルンバ体験会
〜あるいはiRobotが野望に一歩近づいたこと〜


ルンバ980/960が発表されたのは、約2年近く前、その時は完成度の高さに唖然、そしてスマートハウスに注力するという宣言を聞いて唖然。二回も唖然としたものでした。
本日、iRobotは、新型ルンバ、890、690の体験会を実施。900シリーズ程の性能は望めないものの、世界で1800万台(累計)を買われたロボット掃除機の頂点ルンバですからね。スマートホームに大きく舵を取ったとは言え、期待したいところです。
■うーん、Wi-Fi機能付加のみか?!!
正直言うと、ちょっと裏切られました。
その理由は、「Wi-Fi機能」付加が変更点だったからです。
今の段階だと、スマホでいろいろな設定、操作が出来るようになりましたと言うことです。

しかし、スマートホームにとって、家電がネットにつながっていると言うことは、必要条件。
今、必要でなくても、将来、iRobot社がスマートホームを出した時に、「2018年のルンバ持っているんですけど、これは対象外なんですね。」と言われないためにも、全機種Wi-Fi対応させたものと思います。

左)ルンバ690、右)ルンバ890
Wi-Fi接続のためスマホコントロールができるためスマホも持っている。


 
■ロボットとしてよく出来ているルンバ
と書きましたが、ルンバの良さは健在、と言うか他の追従を許していません。
それは、ロボットとしてよく出来ているからです。
お掃除ロボットは、「掃除機」と「ロボット」技術の組み合わせ。
ここで言うロボット技術は、部屋の隅々まで行くこと。これがキチンとできているのです。
さすがは、「地雷除去」ロボットを作り、限定エリア内隅々まで走行し、地雷がないことを確認するロボットを作ったメーカー。掃除と違い、軍事での見落としは、人命に直結します。甘さがない技術が育つわけです。
部屋の隅々まで行くという技術は、ここを起点に進化しているわけで、ルンバの強さでもあります。

 
■掃除機屋が作らない掃除機機能
最近、話題にでなくなりましたが、話題になったロボット掃除機に「ダイソン 360eye」があります。
ダイソンと言えば「サイクロンシステム」ということで、ダイソンは当然の如くロボット掃除機にもサイクロンシステムを搭載します。結果、高さ12cm。底面積は小型でいいのですが、如何せん下に入れない家具が多い。世の中にはルンバ対応(底の隙間が9cm以上ある)をうたった家具もある位ですので、12cmは高すぎます。

話題的にはスゴかったのですが、一部のダイソンファンが買っただけ、
この時期、ロボット掃除機は、掃除機メーカーとしてラインナップしなければならないかったと言えますし、しかもサイクロンシステム搭載ですから、ある意味、ダイソンの面目躍如と言っても過言ではない状態でした。

これに対し、iRobot社は根っからの掃除機メーカーではありません。
このため、掃除機部分は、簡易なメカから始まります。
しかし、自分で考えてモノを作っていく、安易に人の技術を買わないiRobot。この9cmという高さのないユニットの中に、組み込める掃除ユニットを作って行きます。
900シリーズに搭載されているローラータイプのユニット(Aero Force)出てきた時は、ビックリしました。本当に髪の毛が絡みつきにくい。長時間、ほったらかしにされるロボット掃除機ですから、途中で髪の毛が絡まったので、吸い込めなくなりましたとは言えません。
今、自宅で、このメカを搭載したルンバが頑張っていますが、「斬新」、そして「効果はバッグンだ!」とポケモン叫びしてしまう程です。

 
■今年の掃除機のトレンドは小型軽量・バッテリー内蔵なのだが・・・・
パナソニックがJコンセプトで、軽量小型の紙パック掃除機を出してからでしょうか、軽量化の課題がクローズアップされます。本体で、2.3kg、全体で3.0kgを切ると、キャニスター掃除機は飛躍的に扱いやすくなります。
今年、バッテリー技術が良くなり、キャニスターのバッテリー内蔵型(シャープ、東芝など)がトレンドです。

しかし、ロボット掃除機は、人の手で操作する訳ではありませんので、こう言うトレンドに乗る必然性はありません。
むしろ、iRobot社の言葉を借りると、サイズを変えないのは、変更条件を一つでも少なくして、開発を早く進め、少しでもユーザー満足度を上げるためだそうです。
サイズはやや大きめとは言え、900シリーズの完成度の高さは、それを裏付けるモノがあります。

 
その頂点が、900シリーズ。
発売後、1年以上経ちますが、他社は追従しきれていません。

そしてスマートハウス宣言。

そして今回の全モデル、Wi-Fi。

これで少なくとも、自社のルンバの、スマートハウス適正化の用意は整った訳です。

我が道を行く、iRobot社と言うわけです。

 
■iRobot社のスマートホームへ期待
iRobot社のスマートホームのコンセプトは3つ。
Simple(シンプル)、Automation(オートメーション(自動))、Personal(パーソナル)。
Personal(パーソナル)に私は期待しています。
この意味は「住む人の好みにぴったりと合わせてくれる」ことです。

現在の基板はデジタル技術。
デジタル技術の特長は、標準化に均一化です。もっと分かりやすく言うと、ある規格をクリアすると、それは商品として成り立つことを意味します。

例えば、テレビ、「4K」「2K」と騒がれますが、これは規格です。つまり画の要素の内の解像度は、これを満たしたパネルであれはクリアできます。このため、どのメーカーでも4Kパネルを買ってくれば、4Kテレビを作ることができます。
しかし、テレビの画は解像度だけで決まりません。色などが必要です。色の規格もあるのですが、現在、4Kで使われている色規格にHDRという規格があります。実は、これを完全に満たす技術は、現在世の中にありません。
つまり、4Kテレビは色で差が付くわけです。このため、日本メーカーは、4Kパネルは外から調達しますが、色のコントローラーは自社で作ります。

中でも、ソニーはソニーピクチャーズを持っていますので、映画監督の意見も取り入れながら、色域のどの部分を再現できればきれいに映せるかをやっています。パナソニックも同じ、ハリウッドで最大規模の映像センターを持っています。
シャープはNHKの8Kをお手伝いしています。この様に、彼等は自分が考えてベストな方向へ調整します。
パナソニックの取材をした時、見せて頂いた有機ELテレビは、『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』の監督のジョン・ライトのアドバイスを受け、「これなら」と太鼓判を押してくれたモデルだそうです。

家の場合は、また違います。
「注文住宅」という言葉がありますが、先ほどの例で言うと、ジョン・ライト監督はあなた、パナソニックがiRobotになるわけで、一人一人に合わせて行かなければなりません。それだけの単価でもあります。
高いお金を払って、住みにくい機能の家ではどうしようもありません。

今からのデジタル技術は、標準技術に対しカスタム化技術を発展させなければなりません。
これは少量多品種化です。
先進国の技術、メーカーは、大量一律生産に向きません。その途中のモノを買ってきて、カスタマイズ化する技術に優れます。スマートホーム技術は、実は先進国に向く技術なのです。

その様な意味も含め、ルンバを作ったiRobotのスマートホームに私は興味津々です。

 
商品のより詳しい情報は、iRobotのホームページにてご確認ください。
http://www.irobot-jp.com
 
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2017年8月4日

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