レポート

中村祐一 主催のSentaku Collegeで学べること
目の前で見るプロの技は奥が深い


洗濯王子こと、洗濯アドバイザー 中村祐一氏が、この度 都内神楽坂の近くのマンション新宿区天神町71-8 ウノビル9Fに Sentaku Studioを設け、Sentaku Collegeを開くという。
縁あって、第1回講義に参加させて頂きました。


■家事は学ぶモノなのか?
昔、料理の鉄人1993〜1999年。フジテレビ。この時代のフジのバラエティは面白かった。というより、スゴかった。という番組がありました。
和の鉄人 道場六三郎、フレンチの鉄人 坂井宏行、中華の鉄人 陳建一が、挑戦を受け料理対決をするという番組です。
その場で与えられたテーマ食材を、60分で調理、味わってもらおうというのですから、プロの料理人としても非常に難易度が高い。

しかし、スゴいのはプロならではの「確からしさ」と「手際のよさ」です。

例えば、道場さんに「チーズ」という食材が出されたとします。
日本にも、天皇の諱にもなった「醍醐」というチーズのような乳製品があったのはわかっていますが、味は特定できていません。

が、自分の料理の材料として使うのは初めてだろうという食材を、60分で使いこなし、美味しく食べられる料理を4〜5品作ってしまうのですから、驚嘆に値します。

これを支えるのは、「基礎技術」と「経験」です。

プロは才能だという人がいますが、私は違うと思います。
あることに掛けている集中した濃密な時間を使った反復練習と、色々な状況でそれをこなしてきた経験が、プロを作るのです。

よく体で覚えるといいます。
覚えた体は強い。
昔、Sports Graphic Numberで、チャンピオン時代の具志堅氏の胸前で指を1本上げた写真が掲載されたことがあるのですが、カメラマン曰く「何度、ポーズを取ってもらっても、完全に同じ位置なのです。普通、どこか違うのですが、具志堅さんは全く同じ。こんなの見たことないです!」
今でこそ、人を和ますキャラクターの方ですが、当時はバリバリの連勝街道まっしぐらのボクシングの世界チャンピオン24戦23勝。15OK。元ライトフライ級世界チャンピオン。13度のタイトル連続防衛は日本記録。スゴい人です。ですからね。

 
が、ヘトヘトになるまで疲れさせ、体に覚えさせるのは結構大変です。

そこで人間は最大の武器「頭」と使います。
理論的に教わるというやつです。

洗濯は、「化学」と「肉体労働」(一部、洗濯機が肩代わり)との融合です。

体を使う場合は、どんな些細なことでも動きがでます。
この動きは、「見て」学ぶのが一番。
正確さが違います。
これに基礎理論、何故そうするのかが加われば最強ですね。

 
■手洗いに見るプロの動き その1
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テキスト。
非常に内容は濃い。

さて中村先生のSentaku Collegeですが、第1回目は手洗いの講義です。
何たってクリーニング代は、高いですからね。
今まで、10枚クリーニングに出していたモノが、半分になれば、優に5,000円/月位の節約になります。

これは大きい!
その月の洗濯のランニングコスト(洗剤代+水道代+電気代)は、もちろんちょっと贅沢なランチを取りに行くことも可能です。

Collegeは女性:80%、男性:20%位の比率でした。
女性の衣服は大変ですからね。
多種多様の素材、しかも2種以上の素材が使われているのは当たり前。
ボタン、レースなどの装飾品も多い。
的確に手洗いができるのは、非常に重要です。

 
スタートは、衣類タグの説明です。
衣類タグは、衣類メーカーが推奨する洗い方が表示されています。
洗い方は、家庭用品品質表示法に基づきJISJapanese Industrial Standardsの略。日本工業規格。表示により示されています。
2016年からは、ISOInternational Organization for Standardization。国際標準化機構が出版した国際規格のこと。表示に変更されます。

 
タグ

タグに付いている表示例
左)洗濯機、右)手洗い

タグには、「洗濯機」、「手洗い」、「手洗い禁止」もしくは「クリーニング」といった表示がついていますが、中村流はこれで、洗濯の難易度をつかみます。
洗濯機はリスク:低、手洗いは中、手洗い禁止もしくはクリーニングは高というわけです。

次のチェックは、素材。
綿、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどでしたら問題ないですし、シルク、アセテート、レーヨン、キュプラなどの場合は十分注意する必要があります。
中村氏の資料は、「縮み」「色落ち」「シワ」「摩擦」「熱」に対し、それぞれの素材の特徴が細かに記されています。

で、最後に判断です。
中村氏は、タグ情報と素材を組み合わせて判断します。
資料には、その数値情報が掲載されていますが、ここでは伏せておきます。
興味がある人は、Collegeに参加してみてください。
 
説明が終わると実践です。
生徒さんが一人一枚、洗濯したいモノを出します。
ちょっと不安そうな顔です。

一人目。シルク。
中村さんは、素材と汚れを確認すると、すっと30℃以下のぬるま湯のタライに中性の洗剤を入れました。

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すすぎのタライに漬した状態。
丁寧に、力を入れずに扱う。

ネットに入れた洗濯物を漬けます。
で、押し洗い。
ゆっくり、均等に力をかけた押し洗い。
漬けているのは、2分位でしょうか。

次に、隣の「すすぎ」様のぬるま湯に。
2、3回押し、泡が切れたら、さっさとお湯からだし、手のひら絞り。
これも2分位ですね。

そしてその隣の「仕上げ」様のぬるま湯に。

そして縦型洗濯機の脱水を30秒。

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洗濯物を干すところまでキチンと見せる。

で形を整え干します。
 
力を掛けている部分は、基本的にないです。
洗濯機を使うことができない位、デリケートな衣類ですので、力を掛けないのは当たり前ですが、こうも鮮やかだと嬉しいですね。
汚れが少なく、洗剤の能力をフルに発させることができる温度、水量だとこのレベルでいいそうです。
やはり、プロがすることを肉眼で見ると得るものは多いです。

 
■手洗いに見るプロの動き その2  ファーも手洗い!???
今や、女性のウェア素材は何でもありなのでしょうね。
昔は、コートもしくは襟巻きなら兎も角、ファー(毛皮)のシャツ、スカートまであるご時世です。
確かに、シャツ、スカートは、家で手洗いできる方がイイわけですが・・・。

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ファーをすすいでいるところ。
干しワカメを戻しているところではない。

さすがに、これは断るかなと思いました。
生徒さんも、迷いながら出されてましたし・・・。
しかし毛と獣皮とのくっつき具合を確認後、躊躇なく手洗いへ。

これにはビックリしましたが、中村氏は様子を見ながら手早く手洗いを進めます。

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平干しにされたファー。

プロですからね。
一度ならず、洗われたのだと思います。
ただ微妙な素材ですし、資料の中でも最も扱いにくい素材とされていますから・・・。

脱水も、20秒程度。
干し方は、平干しでした。

同じことの反復で基礎がしっかりしている上、経験も豊か。
さすがにプロ。お金を払っても見る価値がある時間でした。

 
■洗剤、洗濯機、その他の設備
プロのすることを、1日でも見ると物事の見方は大きく変わります。
「手洗い」という実作業もそうですが、使っているモノ、設備からも多くのことが学べるからです。

中村氏が、第1回目の講義で使った洗剤は、
1)弱アルカリの液体洗剤
2)中性の液体洗剤
3)柔軟剤
4)固形石けん
でした。

どれも香料の様な成分が入っていないものです。
製造元にお願いして、自分の思う通りに配合を変えてもらったものだそうです。

ぬるま湯を使うなど、洗剤が最も働き易い形で使っているので、主成分で十分な働きができるので、不要な成分を混ぜずにすむのです。

欲しい人があったら、中村氏のホームページで販売しています。
購入はそちらからお願いします。

洗剤は、上記の4つに、弱アルカリの粉石けん、漂白剤があればOKとのことで、6種類あれば済みます。
漂白剤は、酸素系、塩素系、還元と3種類ありますので、場合によってももう少し洗剤数は増えるかも知れません。

 
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ミーレのドラム型洗濯機:W5965と乾燥機T8823C。
上にあるのがオリジナル洗剤(黃矢印)

洗濯機は、ドラム型、縦型、二槽型が部屋に置いてあります。
中村氏は、ドラムを推奨しています。

選択時のポイントとしては、
1)ドラムが大きめのものを選ぶ
2)容量は大きめのものを選ぶ
3)乾燥方式はヒートポンプ、ヒートリサイクル式を選ぶ
とあります。
これに異論はありません。

ただ今年の縦型洗濯機は、各メーカー共かなり力が入っているので、全部モデルが出揃う秋口には、「縦型も捨てたものではない」といわれるかも知れません。

部屋にあるドラム型はミーレのモデル、W5965(洗濯機)&T8823C(乾燥機)。
ミーレ・ジャパンが扱う最上位モデルであり値も張りますが、手洗いレベルの洗いをしてくれる洗濯機であります。

縦型は、東芝のAW-60DM 6kgのモデル。
二槽式は、日立のPA-T45K5でした。

尚、今回の手洗いの脱水は、縦型で行いました。

 
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シャツの襟部分に固形石けんを擦り
つけた後、ブラシで擦る。下の板が
なければ、非常に対応しにくい。

実は一番関心したのは、流しです。
洗い桶(プラスチックの簡易タライ)が3つ並べて置けるのは、とてもやりやすい。

実は、洗濯、そうじは、嫌いな家事のベスト3に入っています。(あと1つは布団干し)

これが何故であるかいろいろと考えましたが、その1つに専用スペースがないことが上げられるのではと思っています。

手洗いがし易い場所が、アイロンを掛けやすい場所が、または掃除道具を洗って乾かし収納する場所が、今の通常の日本には設けられていないのです。

料理は台所という場所があり、能率良くこなせるようになっているのに、掃除、洗濯は、十分なスペースではないため、どことなく不自由な形で作業を進めているのではないでしょうか。

そう思った位、使い勝手が良さそうでした。

 
■最後に
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乾いた洗濯物にアイロンをかける
中村氏。丁寧かつ早い。

中村氏のSentaku Callegeは、半年、月1回の6回のレクチャーで1セットとなります。
木曜日の午後、夜、日曜日のコースですが、木曜日の夜、日曜日のコースは満員になっております。
木曜日の午後は、1回単発のみ受講生もOKだそうです。

Sentaku Studioでの講義が初めての場合は、初回のみ5000円(税別)の入会金、1回あたり7000円(税別)と値は張りますが、クリーニング代、服の寿命などを換算すると、元は取れると思います。

が、何よりもプロの洗濯の仕方が間近に見られるのが、一番のメリットです。
私も得るとことが多くありました。

 
洗濯で迷っていることなどありましたら、是非一度足を運ばれることをお勧めします。

 
詳しい情報は、Sentaku Callageのホームページにてご確認ください。
http://sentaku-studio.com/sentakucollege.html
 
■関連記事 思うこと:家電の王道とは何ぞや? 洗濯アドバイザー 中村祐一氏のセミナーから

2014年6月24日

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