レポート

【VRグラス】理想的と言えるフィット感。なれど接続に難あり!
次のモデルに「超」期待!
TCL社のVRグラス「NXTWEAR S XRGF68」


メタバースも含め、ネット上の人工空間に行ってみたいと思うことが多くなってきました。
ネット上の空間は、スマホで見ることもできるのですが、その空間に自分がいるような気持ちにはなりません。臨場感が足りません。最高の体験ができる、専用デバイスで観たいものです。

⚫️よくあるサングラスを思わせる外観。


⚫️強い光を遮る遮光パーツを外すと、
ちょっと奇妙なメガネに見える。


ところが、その難易度がすこぶる高いのです。今まで、いろいろな視覚デバイスを身につけてきましたが、首を回せないほど重い、すぐズレたりで、コンテンツを堪能できたことは一度もありません。特に極め付けは、トラブルが起こった時のサポートシステムでした。歩くとずれるので、片手で支える必要がありました。トラブル時、片手なんてナンセンス。サポートになっていません。サポートアプリを作る前に、ハードをなんとかしなさいよ。という思いでいっぱいでした。その後、プロジェクトが成功したという話は、聞こえてきません。

視覚デバイスを、マイクロソフトが作ろうが、Googleが作ろうが、関係ありません。ダメなものはダメ。逆な言い方をすると、ウェアラブル・デバイス特に、顔に装着するデバイスを作るのは、それほど大変なものです。

 
そして、2023年に発売されたのが、TCLの最新モデル NXTWEAR S XRGF68です。メーカーからお借りできることになったのでレポートしたいと思います。

 
■デバイスの名称
TCLは当モデルを「スマートグラス」と呼称しています。が、中にAIは入っていません。また、性能的に言うと多機能ですらありません。「スマート」というのは盛り過ぎのような気がします。

また、VRゴーグルなどそうですが、VR以外にも使えるのに、どうしてVRと言いきってしまうのでしょうか? と言うわけで、このレポートでは「グラス型ビュワー」もしくは「メガネ型ビュワー」と呼びたいと思います。

 
■テレビで言うとどの位の性能か?
今のテレビは、デジタル。いろいろな規格を作り、商品はその規格を満たすように設計されます。そんな中、指定しなければならないのが、「解像度」と「画面サイズ」です。今、地上波の放送解像度は、2Kです。1920×1080ドットが正確な言い方ですが、1920が2000に近いので、2K。Kはキロ(1000)の意です。さすがに標準なので、それなりといえばそれなりなのですが、楽しむ分には問題ありません。

「画面サイズ」。4mで130Vなのですが、それより重要なことがあります。視野角です。メガネ型ビュワーの場合、視野をその映像で埋めます。それが、臨場感、没入感を比較的に高めます。常に、自分が見るような感じで撮影された画像が続くと、最高の没入感=その世界に入り込みます。VRビュワーとも呼ばれる理由です。

TCLの視野角は45°です。人間の視野角は、水平200度、上下125度ですから、少々狭いと思われる方もいるかもしれません。が、この中で集中して見えるのは45°と言われています。

実際、映画などを観ても違和感は全然ありません。映画の視線ですから、一人称ではありませんが、並外れた臨場感があります。

 
■かけ心地はよい

私はメガネを常用しています。メガネを常用している人には、よくわかってもらえると思うが、メガネは顔の一部。あるべき位置にきちんとないと、困ってしまう代物だ。

今まで、いろいろなVRゴーグルを使ってきましたが、すこぶる不満が多いです。まず、セットがうまく行かないのが多い。メガネサイズが合わないものが、多いです。合う場合でも、かけるのに時間がかかる。また、VRゴーグル自体、かなり重いのに対し、固定システムがよくなく、グラグラします。「VR酔い」が問題にされることも多いが、私の場合は「ゴーグル酔い」といえます。

このように、ゴーグルも含め、オーバーグラスの最大のポイントは、「元々のメガネの位置をずらすことなく装着できるのか?」となります。

 
が、ゴーグルとオーバーグラスで、手法は全く違います。ビュワーは、メガネの上にかける、いわゆる二重がけ、オーバーグラスと呼ばれるかけ方。当然ゴーグルより装着は楽ですが、それでもきちんと設計する必要があります。

 
TCLはそれを、重量と形状で解決しています。

とにかく重いと、どうしようもありません。その点、このビュワーは82g。かなり軽いです。

太いツル(テンプル)で解決しています。ツルが太いのは、中に、スピーカー、ケーブルがあり、かけ心地のためではないと思うが、このツルと、ノーズパッドの出来がいいは事実。特にツルは、ワンサイズで対応できる様に、弾性があり心地よい圧力でフィットします。またツルが太いので、かけているメガネと交差、圧迫する様なことはありません。

展示会でいいなと思ったのは、まずこのかけ心地。家で試してみても、それは変わりませんでした。

 
■有線接続の長所をうまく利用

⚫️先セルに、信号、電流用の端子がある。(緑丸部)


このかけ心地を、ビュワーの軽さは、その中にバッテリーがなく、最低の回路以外搭載されていないためです。有線は、確実にデーターを送るだけでなく、電力も送れる。このため、スマホを通じて、このビュワーを使う時は、Mira Screen Portable Adapterを間に噛ませます。このアダプターは中にバッテリーが入っているのでかなり重いです。
こんな感じなので、椅子に座って使う分、アダプターを、机の上に置いている間は問題ありません。もっと正確に言うと、アダプターとスマホの間のケーブルは短く、スマホとアダプター双方持つ必要があります。胸ポケットに入れることもできませんし、この2つは、双方ともバッテリーを持っています。余り、手に持つ気にもなりません。

⚫️スマホとアダプター。
接続には3本のケーブルが入り乱れる。
実に面倒臭い。


 
一方、PCなど電源と繋がっている機器=電力供給できる機器と接続させる場合は、HDMI-Type Cアダプターを間に噛ませます。こちらは中にバッテリーが入っていないため、極めてスリムです。
 

⚫️PCなど、電源供給と信号送信が、
同時にできる機器との接続。
アダプターのスリムさに注目。


残念ながら、持ち歩き、ARビュワー、VRビュワーとして用いる機動力には欠けます。

 
■実画質、実音質
画質は2Dでは両眼で、2K(ハイビジョン)。3Dでは、右目、左目ともに2K。TV放送同等と考えてもらえればよいでしょう。そんなに不満はありません。

色も含め画質を変更することはできません。解像度はともかく、色彩は正直かなり心配でした。が、杞憂。ネトフリ、プライム、ベルリンフィル デジタルコンサートでチェックしましたが、画質、音質とも、それなりに満足できるレベルでした。ただしコンテンツのポテンシャルをフルに引き出しているのではなく、あくまでも普通に楽しむ分にはというレベルです。価格も考慮に入れると、十分とも言える。

また、スピーカーは下方向へ音を出しますので、外からは1/2位の音量で聞こえます。どこで使うのかにもよりますが、まだまだ工夫の余地有りです。

⚫️つるには、スピーカー、コントローラーが組み込まれている。


⚫️つるにあるコントローラーは、
アダプターに付いているコントローラーと同じ。


ただ、改良するとしたら、画よりも音のレベルを上げてほしい。高音質に「ハイレゾ」と言う規格がありますが、少なくとも画質を上げるより、扱う情報量は少なく、効果大。例えば、ベルリンフィル デジタルコンサートは、WiFi環境下では、ハイレゾ配信となるが、今回は通常。モノ足らないのも事実。
また、画の解像度を上げても、音が付いていかなければ、リアリティに欠けます。

 
■コンテンツ操作は楽じゃない
メガネのつるには、コントロールスィッチがあります。が、しかしこれ、音量庁以外の、コンテンツを操作することはできません。先送り、リピートは、スマホで操作です。正直めちゃくちゃ煩わしいです。
映画館のように受け身一辺倒。エンタメコンテンツをダラダラ見る以外、使いにくいです。資料映像として使うことには全く向いていません。

 
■時々接続がうまくいかない時も・・・
使い勝手には、少々難ありだが、かなりいけるというのが、当ビュワーの正直な感想です。

ただ、これは私が借りた機材特有のものなおかもしれないが、不安定なところもあるようです。時々、うまく画が送れなくなったりしました。多くの場合、ケーブルを抜き差しして、再認証させてやると、正常に戻ります。庵野監督が描く「エヴァ」は、ここ一番というときは必ず有線接続で描かれています。信号トラブルを最小に防ぐためです。有線接続のいいところは「確実」ということ。ポータブルガジェットでは、無線機を入れられないなどの理由で有線化することも多いですが、その分、抜き差しも多い。ケーブルは消耗品という考え方もありますが、ある程度以上タフなものがいいです。また、接続部が多いと信号の劣化もあり得ます。

 
■まとめ
しかし、このビュワー、いろいろな意味でよい可能性を見せてくれているのも事実。特に長時間使うときのモデルとしては、今あるモデルでは出色の出来であることも確かだ。

 
 
商品のより詳しい情報は、以下のURLでご確認ください。
https://nxtwears.tcl.com
 


 

 
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2023年2月19日

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