レポート

【卓上家電】アイリスオーヤマ クッキングケトル ICK-M1200-B
イマイチ使いにくい。そのわけは・・・


アイリスオーヤマ。近年、話題の家電メーカーですが、すごい勢いで家電のラインナップを充実させつつあります。というのは、アイリスオーヤマのメイン販売ルートはホームセンター。作りました。でも高価です。は許されませんですし、話題のあの商品ですね。ありません。も許されません。
今後、日本メーカーもより高価格帯へシフト。お膝元と言いながら海外メーカーに市場を明け渡しそうな様相を呈しているときに、この覚悟は天晴れ。と言いたいのですが、足らない商品もあります。
今回は、アイリスオーヤマ クッキングケトル ICK-M1200-Bをレポートします。
 

●アイリスオーヤマ クッキングケトル ICK-M1200-B
市場平均売価:14,400円(税込)。(2021年12月7日 価格com 情報)


 
■素性は、シロカのヒット家電「おりょうりケトル ちょいなべ」

●シロカ「おりょうりケトル ちょいなべ」
平均市場売価;10,000円(税込)。
(2021年12月7日 価格com 情報)


この商品の元ネタは、2019年に発売されたシロカの「ちょいなべ」ですね。
この家電の発想は、インスタントラーメンを電気ケトルの中にぶち込んで作ってしまう猛者がネタと聞いています。家電メーカーから言うと「そんなこと止めて。」ですが、「買ったものは、私の自由。」とメーカー指定の使い方をしない人もいます。

多くの場合、より便利さを求めるユーザーの行動ですから、次の商品のヒントをくれるわけです。

 
この「ケトルでインスタントラーメン」ですが、その前が「なべでインスタントラーメン」です。で、これを手繰ると「カップ麺」です。洗い物「減」です。お湯を沸かして丸洗いする人はいません。しかしか、インスタントラーメンを作った鍋は洗います。その時、丼を使うと、当然こちらも洗わなければならない。面倒です。

ならば鍋から直接食べてしまえと言うのが、発想ですね。これの平成版が、ケトルで湯沸かし、そこにインスタントラーメンを入れて食べてしまえです。なべから直接食べるのもちょっとですが、こちらは、「えー」と言う感じですかね。しかし、マグカップにインスタントスープを作って飲むのがありな時代になっていますからね。取手があり、給水口がそれなりに大きい電気ケトルでできないことはないです。やかんですと、ツルが邪魔してしまうのですが、電気ケトルはツルでなく取手ですので、こんなことが可能です。

 
この電気ケトルを電気なべに近づけたのが、「おりょうりケトル ちょいなべ」と言うわけです。

 
■使うと便利さが募り、「こたつ」状態に
冬の暖房器具に「こたつ」と言うものがあります。使うと抜けられませんね。動きたくない。このためこたつの自分の席から動かずに済むよう、半径1〜1.5mの範囲に全てのものを置きます。名付けて「巣ごもり」。巣ごもりは、コロナ禍の専売特許ではありません。昔からやってきたことです。寒くて、外へ行きた屋内ときなど、こたつでぬくぬく。丸まって本を読むなどは庶民の知恵。こんなとき、卓上にあると便利なのが、「ちょいなべ」。

軽いなべを食べて温まり、アルコールも少し入ると、極楽。ぬくぬくしているとまたお腹が空きます。継ぎ足してなべ。独り身の気楽さですね。

こんなふうに、「ちょいなべ」は極楽家電でもあります。

冷蔵庫のあまりものでひとなべ完成。
和の最強調味料味噌味。


これに似せた、アイリスオーヤマ クッキングケトル ICK-M1200-B は、どうでしょうか?

 
■「使えない」と思ってしまったところ
ICK-M1200-Bでなべものしてみました。使ったのは、メニュー3、「煮込み」。正確には、なべものと煮込みは違うのですが、まぁ、あるところまでは一緒ですからね。

出来上がりも文句ないです。一人なべですから、これでお酒を飲みながら暫しゆるゆるします。その間、電源は切らないのですが、コースは当然オフ。
あれっと思ったのは、その時の温度が表示されないのです。「あれ」っと思いましたね。ガスでなく電気をセレクトするときに期待するところは幾つかあります。その中の一つが、緻密な温度コントロール。そのための第一歩は中の状態を知ることです。とってもあと、豚バラが何枚残っているかではありません。一番重要なのは、「今、何度?」と言うことです。

コース3を終わると、標準状態に戻る。
ただし温度は常に「40℃」と表示される。


ところが、ICK-M1200-Bは沈黙というか、「今、何度?」を表示しません。常に表示されるのは、標準状態の「40℃」。

次に麺を入れるので、温度は、沸騰する前、できる限り温度は高いに越した感じが望ましいのですが、全くわかりません。ガスと同じ。使えないことはないです。なべものも何度も作りました。しかし、やはりおかしいと思うのですね。メニュー3を止めたら、その時の内部温度がわかってもイイのではと思います。かなり使いにくい。

メニュー3をセレクト中は、温度は表示されません。


シロカは、アナログ設定。何℃まで温度を上げたのかは分かる。


 
■料理とはなんでしょう?
料理というのは、すごく丸めた言い方をすると、素材の重量配分と熱の加え方で決まります。調理家電は、この熱を自在に咥えるためにあります。
熱はパワーがあればあるほど厳密に加える必要があります。イイ例が電子レンジ。コップの水を、超短時間で白湯にします。これは水の量(取説に何mlと明記されている)のに対し、現在の温度から予定の温度にするための熱量(エネルギー量)算出できるからです。それ以上のエネルギーを加えると予定の温度を上回り、飲めない状態になるからです。

一方、なべものは、料理の味もアバウトですし、温度もアバウト、白湯と違って、ストライクゾーンがすごく大きい。また、継ぎ足しは当たり前ですから、計算通りにいかないのは当たり前。しかし、目安でも温度がわかれば、次どうするべきかわかり易いのですが、これ、そうなってはいません。
確かに、目で見て音を聞けば、かなりのことはわかりますが、沸騰状態になっているならともかく、その直前まで音はしませんし、具も動きません。

せっかく、センサー付きの調理家電だというのに、使いにくいです。

 
■同じカテゴリーに参入する時は
今の「クッキングケトル」というカテゴリーは、シロカがオリジナルです。
当然、参入したいとするメーカーは多数あると思いますが、アイリスオーヤマはホームセンタールートを守るためにも、自社ブランドで必要だったと思います。

しかし、2番手商品に必要なことは、「オリジナルにない良さがある」ことだと思います。
アイリスオーヤマの場合、その多くは「価格」です。ホームセンターで出す商材のルートを全部押さえているわけですから、アジア地区全体から引いてくるわけです。当然、価格にシビアです。しかし、残念なことに、シロカはパナソニックではありません。正直、かなり安い。というより、シロカの多くの製品は、高コストパフォーマンスです。「ちょいなべ」もその一つです。このため「どこが違う!」と聞きたくなるほど、似た商品となったわけです。

デジタル化して、メニューを入れたわけですが、ただ「なべ」ですからね。メニューは余り必要とは思えないですし、今回はデジタル化の悪いところが出ている感じです。

しかも、ちょっと作りが甘い。こうなると似ていることが仇になりますね。

 
そうは言っても私は1ヶ月ばかり使ってみました。あると便利なのですが、なべは継ぎ足し以降、「あーあ」というため息が取れませんでした。かなり残念でした。

 
■追記
もしモデルチェンジされるなら、簡易蒸し器として使用できるようにして、豚まんを温められる様にしてほしいです。機能追加、希望です。

 
商品のより詳しい情報は、以下のURLでご確認ください。
https://www.irisohyama.co.jp/products/electrical-appliances/cooking-appliances/electric-kettle-pot/electric-kettle/cooking-kettle
 


 

 
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2021年12月7日

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