思うこと

メーカー自身がセレクトした過去履歴を表す商品。
〜ツインバードの場合〜


私見ですが、私はメーカーは社長がベラベラ喋るべきではないと思っています。では、何が喋るのが一番いいいのか?
それは商品です。いつどんな時、どんな理由でが分からない場合でも、商品は、書画のように、そのメーカーの思想、コンセプトが出ています。だから、モノを見るのは面白いのです。
 
この11月、リニューアルをかけたツインバードは発表会に、幾つかの商品を持ち込みました。この時は新製品発表も行われましたが、このコーナーは、新製品の話ではありません。

こんなモノを市場に供給してきましたという、メーカーのあり方を示す商品です。こんなメーカーですと語ってくれる製品として、彼らはどんなモノが展示されたのでしょうか?
また、展示品は、どんなことを語ってくれるのでしょうか?

 

●ルーブルトレー 1973
○メーカーコメント 新潟地区のメッキ工場No.1を目指し高品質なものづくりを追求した頃の製品。自社製の豪華なトレーは冠婚葬祭向けギフト市場で需要が高く、また海外からも品質を認められ、輸出により事業を拡大していった。


 
田中角栄が首相に就任して2年目。地価や物価の急上昇が社会問題化した時代。「ノストラダムスの大予言」「日本沈没」などがベストセラーになり、ある種、先が見えない怖さが立ち始めていた。一方、ホンダ、ソニーなどは、すでに海外で名を馳せており、日本製は高品質、高性能が広まった頃。コメントに「品質No.1を目指した」とあるが、洋食器に対し、日本で新デザインなどは考えられない時代だった。

 

●ホームバーシリーズ 1977
○メーカーコメント アイスペールとウォーターピッチャーが一体化したホームバーシリーズ(金属×プラスチック)が年間70万台を超える販売で大ヒット。今までにないものづくりでお客様のニーズを創造しようと、異なるものを組み合わせた製品を作るようになった原点。


 
ベトナム戦争後遺症を吹き払う様な勧善懲悪映画「スターウォーズ」が大ヒット。前の年のオリンピックでは、ナディア・コマネチが10点満点を出すなど、価値観が激しく変わり始めた時代。歌謡曲では「ピンクレディ」、アニメでは「宇宙戦艦ヤマト」、映画、小説では、横溝正史ブームで、この年は「八つ墓村」が封切られている。1971年にウィスキーの輸入自由化され、以降1983年にピークを迎えるまで右肩上がり。ホームバーは、当時の憧れでもあり、名前も売りに一役かっていると思われる。

 

●タッチセンサー インバーター蛍光灯 1988
○入れ替えの早いギフト商品だけでは成長し続けることが難しくなり、レベルの高いものづくりへ挑戦する。3年ほどかけて開発・実現した。家電製品の販売が軌道に乗るきっかけとなり、2005年までにシリーズ累計200万台超を販売した。


バブルが弾ける一年前。市場は拡大する一方です。当時、すでにデジタル家電としてCD(コンパクト・ディスク)、DAT(デジタル・オーディオ・テープ)などが湯に出ていましたが、映像他はほとんどアナログ技術。PCは発売されていましたが、メインOSはMS-DOSで使いにくい時代。日本メーカーが、最強だった時代です。

●液晶テレビ付 蛍光灯ランタン 1994
ツインバードにしかできないものづくりをコンセプトに取り組んだ、テレビと蛍光灯を一緒にした製品。今までにないものづくりでお客様のニーズを創造しようという姿勢がホームバーシリーズの頃より受け継がれている。


いわゆる複合家電。今のスマホと比べても画面は小さいですね。当時はアナログ波でしたから、どの位の画質だったのでしょうかね。災害を想定すると今でもある組み合わせ。しかし、これ以降、蛍光灯→LED、そしてバッテリーの進化がものすごく大きいです。今だと、スマートフォンの一部の機能だとしか言えないですね。

●頭皮洗浄ブラシ モミダッシュPRO 2006
充電式・防水仕様の頭皮洗浄ブラシと言う新しい価値を生み出した「モミダッシュ」が大ヒット商品となる。お客様視点の商品開発に力を入れ、家電メーカーとして自信をつける。防水仕様と頭皮を揉み込む技術は、防水ヘッドケア機など現行製品につながっている。


フィリップは、ヒゲ剃りニーズが尽きることがないとして、シェーバーを柱の一つに据えていますが、髪の毛のニーズもそうですね。髪の毛に不安がある人を筆頭に頭皮マッサージニーズは大きいと思います。ツーンバードの柱にしたい技術ですね。

●ミラーシリーズ スリムオーブントースター 2012
2011年の野水社長就任後、アート&テクノロジーを体現する商品開発に力を入れる。ミラートースターはこれまでにないデザインと機能性を両立させた特徴が評価され、電子レンジなどシリーズ展開になる。


アート&テクノロジー。いい家電は、確かに機能とデザインはマッチしています。ただそれは、アートではなく工業デザイン。私は、野水社長がどこに着地点を求められているのは知らないのですが、「アート」という言葉に踊り、花開かなかったデザイナーを知っています。
 
■ツインバードの代名詞といえばこれ!

そして最後になったのが、これです。
何かわかりますか? 厚生労働省より依頼を受け、開発・生産・納入した、ワクチン輸送コンテナです。
ツインバードは、小型で高効率、そして温度精度の素晴らしく良い、スターリング・クーラーの開発生産メーカーなのです。日本の中堅企業の技術開発力は、世界でも優秀で、大メーカーが諦めたロータリーエンジンをモノにしたのは広島のマツダ(当時 東洋工業)ですし、スターリング・クーラーはツイン馬〇℃です。
このコロナ禍でのワクチン輸送には大活躍しています。お世話になりました。

 
こう並べてみると、ツインバードは
1)尖った技術を生産ベースにのせる技術開発力を持っている。
2)スキマ商品は、今までいろいろ開発してきた。
3)アートとテクノロジーが融合した製品が作りたい。

と言うことがわかります。
これに対して、新製品は、どうだったのでしょうか?
また、同時に行われたリブランディングは、どんな感じなのでしょうか?

 
ツインバードの新製品「スチームオーブンレンジ」に続く。
→→→To Be Continued. →→→

 
より詳しい情報は、以下のURLでご確認ください。
https://www.twinbird.jp
 

 
#ツインバード #歴史 #生活家電.com

2021年12月3日

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