レポート

日立 スティック型掃除機 「ラクかる PV-BL20G」
「軽さ」という絶対の強みと落とし所


1.3kg。
これが日立の新型スティック型掃除機「ラクかる PV-BL20G」(以下 20G)の重さです。
2020年の期待の新モデルをテストしました。
 

日立 スティック型掃除機 ラクかる PV-BL20G


 
◾️1.3kgの意味
 
「うぉー軽い。」
箱から出し、持った瞬間の第一印象は、それでした。
本当にあまり重さを感じません。ヘッドを床につけるとなおさらです。

さて、私は個人的に、2018年の正月に、当時のモデルを集めて、掃除機の重量と手にかかる重さの関係を調べたことがあります。
再現性が悪い実験のため傾向は間違いないですが、数値は大体と考えてください。

 
スティック型掃除機は、大きく「自立式」と「手持ち式」に分かれます。
自立式の代表例は、エレクトロラックス社のエルゴラピードシリーズです。非常に扱いやすく、きれいなモデルで、私も使っています。
「手持ち式」には、2つあります。握り締めるように持つタイプと、手提げカバンのように持つタイプです。前者の代表例はダイソン。今回レポートする日立は、後者に含まれます。

以前のデータをもとに、20Gの重さを考慮すると、手元荷重は約500g。
2018の正月で、1.3〜1.5kgだったのですから、約3分の1の負荷になったわけです。
これはちょっとすごい。

1.5リッターのペットボトルが、500ミリリットルのペットボトルなったわけです。めちゃめちゃ重さが違います。圧倒的に使いやすいことが、感じていただけると思います。

 
これが意味するところは2つ。
1つは、自立式の重さを気にしないで済む楽さに追いついたこと。
疲れずに掃除ができるわけです。
2つめは、手持ち式のイイ点、つまりより自分の思った通りに使えることが、楽にできるようになったことです。
自由自在な扱いができると言うわけです。

 
◾️軽快な使い心地
 
スィッチを入れると、羽のような軽さでスッと前へ出ます。ヘッド内の回転ブラシが、少しだがアシストしているためです。

小さいヘッドが実に軽やかに動きます。「ラクかる」というニックネームが、この掃除機にはつけられていますが、使用時、私は「チェクチェント」(イタリア語でハツカネズミの意)だと思ってしまいました。昔、イタリアを走り回っていたフィアット社の小型大衆車のニックネームです。もっとわかりやすく言うと、名画「カリオストロの城」でルパン三世の愛車の黄色いちっこいクルマという方が分かってもらえると思います。(ただしルパン三世の愛車は、サソリのエンブレムが付いており、チェックチェントを名チューナー アバルトが手掛けたことがうかがえます。オタクコメント終わり)

とにかく、操作感が軽快なのです。

また吸引力も問題ありません。吸引モードは「標準」「強」と「ターボ」が用意されてます。しかし「ターボ」が5秒だけの必殺技なので、基本的に標準、もしくは強で掃除をすることになります。基本的には標準で十分十分。きれいに吸い取ります。

しかも動作音もかなり静か。この吸引力はモーターの回転数と比例するところがあり、吸引力を上げると動作音は甲高く、耳障りになるのが、普通です。それをかなりうまく抑え込んであります。日本メーカーらしい仕様といえます。

また、延長ポールの長さを変えることができない手持ち型スティック掃除機で、軽さを追求した場合、延長ポールの長さを短めにセットするメーカーもあります。そのような場合、背の小さい人は良いのですが、大きい人だとすぐ腰が痛くなってしまいます。前かがみの状態を強いられるからです。20Gはそんなこともありません。男の私(約身長170cm)のが使っても、全く問題ありませんでした。

 
◾️ヘッドには、こなれた技術を集約
 
「パワフル スマートヘッド light」と名付けられた小型ヘッドは、前側がやや固いが変形できるゴム系の素材でできています。このため隅のゴミでも押し付けるようにすれば吸い込むことができるようになっています。逆に後ろに引くときは、シンクロフラップが作動し、ゴミをそこに残さず吸い込める工夫がされています。もちろんユーザーは何も意識しなくてもいいのです。普通にかけてよく取れます。
 

ヘッド フロント ビュー。
床とほんの少し隙間を持たせている。


前の樹脂は、あまり力を入れなくても曲げることができる。
写真撮影の際、ブラシは取り外してある。


動く方向へ合わせて向きを変えるシンクロフラップ。


 
ヘッドにローラーブラシを採用しているのは、海外メーカーが採用しているローラー型に比べると古いようにも感じられますが、長年キャニスター型掃除機で培ってきた技術であり、非常に安定した技術といえます。

古典的ともいえるローラーブラシによるヘッド構成。


また、ヘッドの名前に「light」とあるだけあって2灯のLEDが装着されています。ヘッドの横幅と同じくらいの幅を照らすので、物陰など見えにくいところも掃除がしやすいです。

LEDはほぼヘッドの幅を照射する。


 
もし動作時に違和感を覚えるとすると、ヘッドが床についていないと動かないところでしょう。バッテリーへの負荷を減らすためと措置ですが、人によっては慣れるまで違和感を覚える人がいるかもしれません。

 
◾️小型のダストケースでも、吸引力を維持
 
20Gは、軽いだけあって、いろいろなパーツがコンパクト化されています。ダストケースも例外ではありません。

一般にサイクロン型の掃除機のダストケースは大きいです。中でもゴミをくるくる回転させながら分離させるためです。小さいと下にあるべき大きなゴミが排気フィルターをふさぎ、吸引力が著しく低下します。

ダストケース。赤がケース上側、青がケース下側。


日立は小型化するこのため、ダストケースを上部と下部に大まかに分けるという工夫をしました。この上下の間に仕切りネットをつけることにより、大きなゴミが上まで来るのを防いでいるのです。サイクロンは小型竜巻と同じ原理なので、底のゴミを吸い上げようとしますが、大きなゴミは仕切りネットで止められてしまいます。このためゴミは回転しながら圧縮されることになります。髪の毛などを吸わせると、見事に円を描きます。このため小さいダストケースですが、圧縮できるので余程のことがない限り、2〜3週間はゴミ捨てなしでも行けます。

仕切りのネット。


丸まって圧縮されたゴミ。


また通常のゴミ捨ては、ケースを外したら、ボタンひとつで捨てられるようになっています。が、微細なゴミは仕切り板の上側にじわじわ溜まっていきます。こちらは月一位、水洗いします。本当に細かいゴミですから、強引に捨てようとすると、舞い散る可能性があります。20Gは、ダストケースも水洗いできますし、3つあるフィルター(「内筒フィルター、スポンジフィルター、クリーンフィルター)が、全てまる洗いできるので、合わせて手入れをするといいと思います。

ダストボックスを分解したところ。
矢印は上から、クリーンフィルター、スポンジフィルター、
内藤フィルターを示す。


 
◾️ハンディ掃除機としての出来はイマイチ
 
さて、普通の掃除機として使う場合、PV-BL20Gはとても優秀なのですが、ハンディ掃除機として使う場合、その良さが発揮されていません。

特に気になるのは、ハンディ掃除機として使う場合、構造的にダストケースの上側に吸い込み口があることです。日立はその対応として、ハンディノズルを用意していますが、これが短すぎるのです。使えるのは、隙間&ブラシの2way方式のアタッチメントの方です。

ゴミの吸い込み口が上にある。


ハンディのずる。短い。


吸えないことはないが、使いにくい。


 

使えると判断した2way アタッチメント。


またこれらアタッチメントは、非使用時に本体に取り付けるところがありません。必要と思ったとき取りに行く必要があります。途中で、別の動作を入れると集中力が切れるので、効率としては非常に悪くなります。また掃除機本体は自立できませんので、これらの作業は掃除機を床に置いてすることになる。立ったり屈んだりするのも、大変です。

 
◾️ふとん掃除用のアタッチメントがない
 
ふとん用のアタッチメントがないのも良くないと思います。
一時流行ったふとん掃除機だが、今は下火。それはメイン掃除機にふとん用のアタッチメントが付くようになったためだ。また通常の掃除機の方が、パワーは強く、ふとん掃除の目的、アレルゲンをよく吸い込みます。しかもアタッチメントだけで済むので置き場にも困らないし、お財布にも優しい。

 
◾️スタンドには自動充電を
 
最後は充電。日立はスタンドなしの同タイプPV-BL10Gも販売している。このため20Gを買う人は、スタンドが必要と考えたか、シャンパンゴールドが好きな人です。しかし20Gはスタンドに立てただけでは充電されない。必ず本体にケーブルを挿しこむ必要があります。ここら辺は、もう少し考えてほしいと思います。

充電口は手元。


 
■メーカー都合で、商品がダメになる可能性も
 
日立は、スティック型掃除機として、パワーブーストサイクロンと言う「吸引力」に特化したモデルを持っています。こちらのほうは、アタッチメント、スタンドの自動充電も採用されており、1上記のような欠点はありません。これはスティック型掃除機の2つの強い要素、「吸引力」と「軽さ」を天秤に乗せて、「吸引力」の方が売れると見たからでしょう。が、ユーザーは2台もスティック型掃除機を持つ事はありません。基本、1台です。要するに「軽さ」を選んだ人は、スティック型掃除機の良いところ、ハンディー掃除機としても使えると言う事を享受できません。普通の掃除の時は良いのですが、いろいろと使えないとなります。私は、こういったユーザのことをあまり考えていない、メーカー都合の商品仕様は、最終的にはその商品をダメにしてしまう場合が多いと考えています。落とし所を間違えてはいけません。

せっかく、これだけ良いものを作ったのですから、アタッチメントは別売するだとか、より良い工夫を望みたいです。

 
◾️まとめ
 
私はこの掃除機を、掃除が嫌いな人にオススメしたいと思います。というのは、使い心地がすごく軽快だからです。掃除嫌いな人は、掃除を完璧にしようとする人が、実に多い。完璧な掃除ではなく、ちょっとした掃除の積み上げて部屋をきれいにしていくのはどうでしょう。そんな時、お手軽、軽快と言うのはすごくイイです。

フットワーク軽く、部屋をきれいにしてみませんか。
ラクかる 20Gは、そんな感じの掃除機です。

 
商品のより詳しい情報は、以下のURLでご確認ください。
https://kadenfan.hitachi.co.jp/clean/
 


 

 
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2020年3月22日

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