トレンド

【シェーバー 2019】02 今ドキのシェーバーの技術 。
〜繊細な技術の集積。微妙でも差は大きい。〜


今ドキのシェーバーのトレンドは「敏感肌」対応。
その技術を、ちょっとめとめておきます。

刃と肌の触れあいの微妙な駆け引き。
今ドキのシェーバーは、「刃がよければ!」
そんな単純なものではありません!!


■技術は3方向
 
肌をいためないために最も効果的なのは、肌に当たらないことです。
しかし、そんなことできません。
代案として次の3つの方向性があります。

1)肌への当たりをやわらかくする。
2)ヒゲに負荷を掛けないように剃る。
3)一度で剃る。

 
それぞれどんな意味を持つのでしょうか?

 
■肌への当たりをやわらかくする
肌は触ればいたむと言われます。同じところを手で何度もなでても、最終的には痛くなります。それくらいデリケートなものです。いわんや、シェーバーは金属。手よりはるかにいため易いです。

また、シェーバーの基本構造は、床屋でいう櫛の役割を網刃(外刃)が行い、網の目に入ったヒゲを、内刃と外刃でハサミのようにカットします。押し当てが強い場合、網刃の中に、肌が入ります。そこをシャキーン。ここまで行くと、肌の表面を削り取られるのと同じですから、痛いのも当然です。

 
とにかく、肌に押し当てる力を制御しなければなりません。

ここで考え出された第一の方向が、「多枚刃化」です。
肌に当たる面積を拡げることにより、押し圧を分散する方法です。

例えば、1枚刃に500gの荷重をしたのと、5枚刃に500g加重した時では、単純計算で押し圧は1/5です。負荷が全く違います。

フィリップスの円形三枚刃。よく見ると、刃は円周に沿ってのみ。
肌との接触面積は広く、刃の接触面積は最小という、極めて合理的な設計。


同時に刃も柔らかめで、肌の追従性が良いものが採用されます。

ところが多枚刃化も欠点があります。
それは、設置面積が大きいと、動かしにくくなります。このため、フィリップスのように「円を描くように動かす」という独特の動かし方で対応するか、パナソニックの様に、「ローラー」などでサポートするのかです。また、「刃を滑りやすい素材でコーティングする」ものありです。

 

パナソニックの5枚刃。黄金色の部分がローラー。
肌との摩擦が2/3まで軽減されるという。


今ドキシェーバーの特徴、「多枚刃」はこうして生まれたのです。

 
同時に、ヒゲへの当たりをやわらかくするために、シャボンを使うことも考えています。そうお風呂剃りです。
今や当たり前過ぎて、セールストークにならないほど。今ドキのシェーバーは、防水のモノが多く、お風呂で使えます。

 
■ヒゲに負荷を掛けないように剃る。
ヒゲに負担をかけるということは、どういうことかというと、「切れない」ということです。
刃に引っかかって、引っ張られる。痛いわけです。
その上、ヒゲにつられて、肌も引っ張られます。いいことは全くありません。

このため、シェーバーは、刃に強いメーカーが強い。
各メーカーが誇る技術でもあります。

が、ユーザーの方は、メーカーほど気にしません。
それどころか、刃の寿命が尽きても使っている人が多いです。
それに対応するために、耐久性の高い刃を採用しているメーカーもあります。
マクセルイズミなどは、その例で、他社が1.5〜2年の寿命を3年間持つようにしています。

今年から、チタンコーティングされた、マクセルイズミの5枚刃。
よく切れる上に耐久性に富む。


あと一つ重要なことは、モーターです。こちらは刃が切れる限り、速い方がイイです。
パナソニックは、14万回という驚異的な振動をリニアモーターで実現しています。
ちょっとスゴいと思いませんか?

パナソニックの内刃。この刃が14000往復する。
それでいて振動は最低限に。リニアモーターの威力を感じる。


 
◾️一度で剃る
この課題にご執心なのは、ブラウンです。
ブラウンのシェーバーは切れ味が鋭いのですが、どちらかというと肌への負担が大きいタイプです。
このため編み出した方法が、串カツ屋の二度漬け禁止ではないですが、二度剃り禁止。

一回でキレイに剃れれば、二度三度往復させることもないですから、肌への負担を軽減できるというわけです。

これに必要なのが、クセひげをどうするのかと言うことです。
クセひげとは、顎下辺りの肌に垂直ではなく、寝た感じで生えているヒゲのことです。とても捉えにくいヒゲで、捉えるためには、立たせることが必要です。

ブラウンの4枚刃。
外側の2枚が、カット用。 内側2枚はリフトアップ用。
ブラウンのホームページより転載。


これ専用の刃を用意。そしてよく切れる刃でスッパリ。
これは、多枚刃の恩恵を多々受けているのです。

パナソニックの5枚刃。
パナソニックのHPより転載。


 
◾️スキン(肌)ガード
ここまでは、刃の話でした。
が、切れないと押し付けてしまうのは、結構普通の動作です。
また、先日、あるメーカーがポップアップ•ストアを出したところ、50%の人が切れる切れないに関わらず押し付けて使っていたと、語ってくれました。

今から増えていきそうな技術が、スキンガードです。

単純に言うと、これ以上刃が肌に食いこまないように、ガードを設けるのです。
今年発表されたシェーバーでは、電気シェーバーではありませんが、P&Gがジレット スキンガードでそのものずばりの製品を出しています。

P&G ジレット スキンガード。2019年10月発売。
中央のブルーのパーツがスキンガード。


類似の考え方としては、フィリップスもそうです。フィリップスの場合、刃は円周上にあり、中央部は刃ではありません。
昔からフィリップスが肌にやさしいとされてきましたが、それは、この刃の内部分が、肌ガードの役割をするからです。

 
また、パナソニックの肌との摩擦を減らす役割をするローラーもある意味肌を逃がすという意味では、似た役割をします。同様なパーツをブラウンも持っています。

 
今ドキの家電は、細部まで詰められたモノと、基本技術だけで乗り込んできたモノ。大きく2つに分かれます。ただ、シェーバーの様に、人の肌にダイレクトに触れ、五感で勝負する家電は、基本技術だけ=安いからということで、選ぶと痛い目を、本当に肌が痛くて、ムズ痒くてたまらなくなります。

 
■常に最適な剃り心地を実現するAI
人は必ずミスをします。その時のサポート役として、AIを搭載しているモデルもあります。肌感覚などのビッグデーターはありませんので、AIは人様のサポート役です。常に適切に剃れるようにモーターコントロールします。

ちなみに、パナソニックの場合、刃が1回往復する毎に、センサーで感知、最適解を出し、モーターに働き続けます。かなりの瞬足。
ドライ環境で、

今ドキのシェーバーは、二重三重どころか、幾重にも考えられたものなのです。
シェーバーは、身近なものですが、ここまでの智恵と技術が組み合わされたモノなのです。

 

 
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2019年11月7日

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