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あるべき進化
三菱電機、AIで強化された霧ヶ峰 2018年モデル


いろいろなところで何度も書いていますが、空調家電は、完全に自動化すべきというのが私の持論です。というのは、「温度」「湿度」「風」「浮遊物」などのバランスを取りながら人が制御するというのは至難の技と考えているからです。
しかし、空調の総大将とも言うべき、エアコンは、温度の自動コントロールプログラムはあるのですが、多くの場合は、温度だけが中心です。

と言うのは、「トップランナー基準」方式で省エネすることが決められています。定められたモデル(当時の最高データーを叩き出したモデル。トップランナーと呼ばれます。)のデーターを、定められた期間で、トップランナーが属するカテゴリーの全機種加重平均が、トップランナーのデーターを抜くことが求められます。

まず、これが大変です。省エネですから、「効率がよりよいヒートポンプの開発」とかになります。エアコンの開発としては正常と言えば正常な様ですが、それまで奥行:約20cm程度だったエアコンが、全社、たぬき腹の奥行:約40cmにせざるを得なかったのも事実です。各メーカー共に同じ方向を向いて開発したら、似たモノができたという形です。

霧ヶ峰 FZシリーズ 奥行:358mm(据付後:363mm)


ただし、ここ数年、省エネも行くところまで行ったのも事実で、余力が出てきたためでしょうか? 各社、気流の後、湿度に注目したり、薄型化したり、空気清浄機とドッキングさせたりしてきています。

 
そんな中、今年の三菱は「いつでも」「どこでも」「誰でも」快適を狙い、AI搭載の「霧ヶ峰 FZ・Zシリーズ」を発表しました。

霧ヶ峰 フラッグシップモデル FZシリーズ
左右独立駆動プロペラファンで、高い省エネ性が特長
11月1日発売、オープン価格、想定市場売価:34.8万円(税抜)(5.6kW)


霧ヶ峰 Zシリーズ
クロスフローファンを用いた標準タイプ
11月下旬から順次発売、オープン価格、想定市場売価:23.8万円(税抜)(2.5kW)


■AIの役割
AIに何をさせるのかというと、「先読み運転」。
不快というのは、後手にまわると発生します。いい執事のように、相手がすることを先読みして、対応している限りに置いては、気持ちがいいと言うわけです。

しかし、そのためには、AIは何をするのでしょうか?
端的にいうと、「冷蔵」「除湿」「送風」「暖房」の4つのモードを上手く、使いこなすことです。

冷房、除湿、送風など、モード毎、特長が異なるため、
ユーザーが上手くコントロールすることがすこぶる難しい。


問題は、そのために必要な情報を、どの様に手に入れるのかです。
「センサー」機能が、大きな鍵を握るのです。

 
■ムーブアイの進化
 

霧ヶ峰 Zシリーズの赤外線センサー 『ムーブアイ mir A.I.(ミライ)』


ムーブアイの歴史は、2000年「床温度」を計るためにふく射センサーを導入したところから始まります。
2005年に、+「壁温度」で、初めて「ムーブアイ」の名前が冠されます。
以降、センシング出来るモノが増えていきます。

2007年の「人感ムーブアイ」で、+「人の位置」
2009年の「ムーブアイ Fit」で、+「壁からの距離」「人の状態」
2014年の「ムーブアイ極」で、+「からだの部位」「天井」「日射熱」
2016年の「ムーブアイ極」で、+「間取り」「温冷感」
2017年の「ムーブアイ極」で、+「大人・子ども検知」
と、センシングできることを増やしていきます。

センサー解像度をあげることにより、いろいろな温度データーが分かるようになった。
左)初期、右)2014年 『ムーブアイ極』


そして、今回、「ムーブアイ mirA.I.(ムーブアイ ミライ)」で、「少し先の体感温度」を感知させようと言うわけです。少し先の体感温度は、センサー自体は読めませんが、予測するのに必要なデーターは読み取ることが出来ます。

人の温冷感、住環境の顕熱負荷、潜熱負荷などから、
モード切替のタイミングを探る


「誰でも」という意味では、一人ひとり(暑がり / 寒がり、大人 / 子ども)の温冷感。
「どこでも」という意味では、360°センシングにより、住環境により異なる熱影響です。
このデーターをもとに「先読み運転」がされます。

しかし、よくここまで増やしたなぁと言う思いもありますが、賢明な読者は、「『温度』だけかよ!」とお思いの方もいると思います。
ムーブアイは赤外線センサーですから、基本「温度」しかセンシングできません。湿度は、吸入口の別センサーを設けるなどしています。

 
■第5モード「おまかせ A.I.自動」と、ちょっと一言
三菱は、今まで出てきた、「冷房」「除湿(ドライ)」「送風」「暖房」の4つのモードを、A.I.で自在に操ろうと考えています。これを 第5モード「おまかせ A.I.自動」としています。

とにかく、複数の条件下でベストの解答を得るなら、いろいろなデーターを持つA.I.の方が、人より有利です。

 
ちょっとだけ嫌みな言い方をさせてもらうと、今、いろいろな家電がAI(人工知能)搭載を売りにしていますが、今のものはA.I.ではなく、エキスパート・プログラムです。理由は簡単。創造性のあるプログラムではないからです。
A.I.の名前が付いているから、いろいろなことができると思ってはいけません。エアコンを自在に操る、エキスパート・プログラムでしかありません。

 
■酷暑でも安心
今年の7月〜8月頭は熱かったですね。人呼んで「酷暑」。人間の体温よりも暑いのですから、恐れ入ります。当然、冷房効率も下がります。

こんな時でも冷房効率を上げるとなると、室外機がポイントです。
三菱は、室外機の見直しを行った結果、屋外温度:46℃まで冷房運転を保証するに至りました。

参考写真)寒冷地仕様の「ズバ暖 霧ヶ峰」の室外機。
3層構造の熱交換器など分かる通り、室外機の性能は極めて重要。


余談ですが、室外機を「濡れタオル」などで温度を下げてやると、冷房効率は著しく上がります。
ツィッターなどでも拡がっている技です。

 
■IoTは非対応。でも音声操作には対応。
海外では、A.I.はクラウド上に置かれることが多いです。理由は、幾らでもアップデートが可能だからです。PCのソフト、スマートホンのアプリを考えるとよく分かります。
しかし、今回はA.I.を内蔵します。それはどうしてでしょうか?

一つには、IoTを嫌っている節があります。
今回も無線LAN(Wi-Fi)アダプター(型番:MAC-895IF)は内蔵ではなく、別売りになっています。
コストに関係あることですので、正確に答えてもらうことはできませんでしたが、得られるサービス(例えば、外からスホマで動かすことができる)に対し、価格が高いことが理由の一つと思われます。

あともう一つは、確実に使える保証ですね。無線LAN接続は、設置場所によりどうしても電波状態が変わります。スマートホンがつながりにくいため、場所を変える経験は、誰しも経験したことがあると思いますが、もしエアコンの位置が悪かったら、大変です。アダプターにすると不細工にはなりますが、ケーブルの届く範囲だけでも自由度が出てきます。

しかし万が一接続できなかったら、A.I.が使えません。つまりただの箱と化します。
このため、個々に内蔵させることにしたのだと思います。

 
一方、AIスピーカーに対しては対応するそうです。Amazon Alexaから初めて、Google Home、Line Cloverにも対応するそうです。

しかし、そのためには、無線LANアダプターが必要ですし、できることも限られています。ここら辺が、IoTの過渡期であるからとも言えます。

今回の「霧ヶ峰」、A.I.内蔵、IoTへの対応が甘いなど一寸頂けない部分もありますが、エアコンのあるべき姿に進化していると思います。

 
商品のより詳しい情報は、三菱電機のホームページにてご確認ください。
http://www.mitsubishielectric.co.jp/index_p.html
 

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2018年8月28日

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