レポート

IFA 2017 「Q Driveの洗濯機」「QLEDテレビ」「HDR10+技術」、Samsungブースで感じたこと


もしかしたら、Samsungは、今年のIFAで一番残念なブースかも知れません。と言うのは、テレビと洗濯機で方向性を外したかも知れないと感じたからです。
総合家電メーカーで、外したくないモノは、「テレビ」「洗濯機」「冷蔵庫」「オーブン」などの大物家電です。テレビ事業で、日本の多くの総合家電メーカーが手痛い打撃を被ったことは、皆さんご存じの通りです。
私が感じたのは、「テレビ」と「洗濯機」は厳しいかも知れないということでした。

 
■あくまでも時短、Q Drive
今回のSamsungの洗濯機の目玉は、Quick Drive。

サムソンの新型洗濯機。時短ができるQ Drive搭載。


ドラム型の中央部のパルセーターをドラムと逆側に回すことにより、より強く複雑な水流を実現。
今までより、50%の時短を実現したと言うモノです。





一見スゴそうに見える技です。
しかし本当にそうなのでしょうか?

 
■これだったら、縦型洗濯機を進めた方がイイのでは?
洗濯は、汚れにあった対応をしなければなりません。
泥汚れと、黄ばみは同じレベルでは、語ってはならないということです。

その汚れに対し、洗剤、水温、水流、水質で対応しなければなりませんが、汚れにより、これらを変えなければなりません。決して水流だけではないのです。

また、ドラム型はどちらかというと衣類を叩きつける方法。丁寧に扱わないと衣類を傷める可能性もあります。

洗濯のポイントは「ケア」です。
共働きが当たり前となり、「時短」は重要なファクターですが、「ケア」はもっと重要です。
衣類が安価になった今、時短の方がお金的には重要と考える人がいないでもないでしょうが、お気に入りの一枚を、長く着たいお気に入りの一枚を「ケア」するなら、もう少し考えが欲しいと思いました。

縦型洗濯機の技術を、強引にドラム型にミックスさせたような、この技術。いっそドラム型中心の欧州に、縦型を売るというのはどうでしょうか?

 
■足を止めてもらえない「QLED」
今回、10社以上のテレビメーカーのブースを廻りました。
展示内容は、割と似ています。が、お客さんは、割と見てくれるモノだと思いました。

今回の展示内容は、1)、2)が基本になります。
1)4K液晶で、SDR(スタンダード・ダイナミックレンジ)とHDR(ハイ・ダイナミックレンジ)の色の差を体感
2)4K有機EL(OLED)もしくは8K液晶で、今のテレビとの差を体感

これにプラス、メーカー独自が基本でした。

ところがサムソンの一押しは、液晶のバックライトを更に進化させた「QLED」。
量子ドットを採用したLEDということで、CESで一押しだったとそうだから、ちょっと楽しみにしていた。

キレイでないわけではないのだが、少なくとも日本メーカーのOLEDに比べると、画質的にモノ足らない。
また、比較展示でもないので、差も判然としない。

キレイな画ではあるが、引き込まれるほどではない。


10分位見ていたが、ほとんどの人が足を止めない。
液晶テレビのトップメーカーとしては、少々情けない。
個人的な印象を端的に言うと、「私は、QLEDを買わないだろう」と思った。

要するにスゴくないのだ。これは期待外れも大きかった。

 
■「HDR10+」は今しなければ、ならないことなのか?
HDR(ハイダイナミックレンジ)は、元々デジカメで使われてきた規格であり、ディスプレイの場合は、HDR10というのが正確。ただ、IFAでは「HDR」でしたの、それに従って使っています。

その次として、SamsungとAmazon Videoから提唱されているのが「HDR10+」。Panasonicと二十世紀フォックスも賛同の予定で、今のHDRで不十分な所を補うというものです。

デモは、銀世界でのピレニアン・マウンテン・ドッグの様な白い大型犬の描写。オーラの様な輝きを見分けて欲しいと言うものでした。

HDR10+ がないときの画。銀世界に白犬が溶け込む。
HDR10+でなくとも画が悪いと思うのは私だけか?


HDR10+。犬の色も鮮やか、その上、犬の周りにオーラが!


差はあります。が、「これが先端技術です。」と言われてもなぁというのが第一の感想。
と言うのは、なければならない技術だが、HDR自体完全に再現できる所まで達していない現在のディスプレイで、アピールしてどうすると言うことでもだからです。
これより先に、すべきことがいろいろあるでしょ、と言う気がします。

 
QLEDにせよ、HDR10+にせよ、Samsungは、「輝度(画面の明るさ)」を重視している様ですが、ソニーの有機ELテレビ画質ほどの説得力は持ちません。
理論的には、双方ともスゴいものなのですが、双方とも煮詰めが足りていないように思います。

「フレーム(額)」と題された部屋に飾られた液晶テレビ。
壁掛け 有機ELへの対抗策でもあるが、
サムソンのテレビ系の中では最も分かりやすい展示だった。


 
■Samsungの今回のブースを見て
今年のSamsungのブースから感じられたのは、ある種の威嚇感でした。
Q Driveの洗濯機、QLEDの大画面テレビ、そしてHDR10+という技術。
いずれも、「私は正しい」とヒステリックに叫んでいるように感じました。

ユーザーに寄り添うべき製品技術が、優しくないと感じたのです。
頭がイイメーカーは、こうなりやすいですね。
理論上は、どれも可笑しくないのですが、私は強く違和感を感じました。
今まででも、主張が少ないメーカーではなく、時たま違和感を感じることもありましたが、ここまでではありませんでした。

私の杞憂であればよろしいのですが・・・。

 
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2017年9月9日

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