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技術てんこ盛り、力てんこ盛り、シャープのスマートフォンAQUOS


解体の憂き目に遭わず、なんとか凌いだシャープ。
今までの「家電メーカー」から「『人に寄り添う』IoT企業」を目指し、大変革の真っ最中です。
モノにAIを搭載、IoT接続させるだけでなく、スマートホームを睨んでいますし、商品から、ネット上のプラットフォーム、また新しいサービスを模索します。

シャープの方向性(発表会資料)


しかし、アップルを見ても分かる様に、ハードメーカーは、まず魅力あるハード。そしてそれに魅力あるサービスを載せることが重要です。アップルがPC、スマホで未だに輝いているのは、サービスもありますが、PC、iPhone共に魅力があるからです。多分、どちらが欠けても対応できないでしょう。

アップルが2017年会計年度 第1四半期に販売したiPhoneの台数は7829万台。
またTDC Japanが発表した、日本での台数は時期は若干異なりますが、2016年第3四半期で389万台。シェア:55.3%。
一方、シャープは、同時期、159万台、シェア:12.5%。月に直すと53万台。
アップルの約1/4〜1/5のシェアとなります。

 
今回のスマホ AQUOS R。
この国内販売ターゲットは、100万台/月。ほぼ倍増の目標である。
日本のスマホは、どちらかというと成熟市場に入っている。
メーカーを問わず、ほとんどのスマホで、ゲームプレイもネット動画も見ることができる。
要するに満足度が高い。

つまり、なかなか、シャープを指名買いしてもらうのが厳しい状況であるのは事実。
さて、その状況を踏まえ、「R型」はどう戦うのだろうか?

AQUOS R。色は黒、白の2色展開。


■カメラがスゴい
今回搭載されたレンズは、超広角:22mm。
カメラと言うのは、自分の集中した視点を切り出すことにより、自分だけの記録とするのが主な使い方であるが、困ることが多いのは風景である。視野角が足らないため、その場の臨場感、爽快感に欠けるのだ。
しかもF1.9。これはレンズの明るさを示す数値で、小さい方が明るい画が撮れる。
これかなりスゴいです。
その上、自撮りに使うインカメも23mm。今まで自撮りは、ちょっと狭く、ともすれば周りの描写が不十分な所があったが、今回は違う。かなりナチュラルになる。

ちなみに画素数は、22.6M。静止画、動画共に手ぶれ対応しているところが嬉しい。
しかも、接写にも強いと来ている。

接写モードなどを用いず、数センチの接写が可能。これは便利。


撮影例をまとめたカタログ。
コンデジよりスゴい作画例が
掲載されている。


最近、コンデジ(コンパクト・デジタルカメラ)をやめるメーカーが続出しているが、こんなスマホが出てきたら、レンズに味があるカメラ以外は残らないかも知れない。

シャープの方もそれを承知してか、会場には、写真例を集めた写真集と呼んでも差し支えない様なカタログも配布していた。

 
■ディスプレイはお約束のIGZO(イグゾー)、これもスゴい
先日、8Kのモニターで技術の凄味を見せつけたシャープだが、スマホの方もスゴい。
定評あるIGZOのディスプレイの解像度を、WQHDフルハイビジョン(1920×1080)に対し、2560×1440の解像度を持つ)まで上げたのだ。

時々スマホの画面は小さいのに、ここまでの解像度はいるの? と言う人がいるが、紙に印刷された継ぎ目のない文字などの印刷物と同等小型ディスプレイでなければならないので、必要だ。
しかし、改めて綺麗だなぁと思います。

そして最近、DMMがスペックを誤表記して販売して、回収騒ぎになった倍速表示。
今までが60Hzだったのに対し、液晶材質に工夫を凝らし、120Hzのなめらか倍速。

8Kのモニターでも使われている、リッチカラーテクノロジーのモバイル版を搭載。
また8Kモニター同様、HDR(ハイ ダイナミック レンジ)を採用しています。

HDR、SDRとの差は非常に大きい。


ここら辺は、流石に一流のディスプレイ・メーカーという感じです。

 
■まだまだ続く強化点
これに合わせ、CPUやファイルシステムを刷新。
「SDM835」「UFS(Universal Flash Storage)」「ROM 64GB」「RAM 4GB」が使われています。

 
また渋いところでは、新開発サーモマネージメントシステムを採用。
今までの平均:40.9℃から、新モデルは37.0℃と、約4℃、温度を下げています。
低温火傷低温火傷は、あまり温度の高くないモノを長時間皮膚に押し当てることにより起こる軽度の火傷のこと。通常44℃から50℃前後で発生するとされる。に対しても、十分なマージンで望んでいます。

 
また更に、防水、防塵性能も進化しています。
今までの防水は「濡れても壊れない」が基本でした。
しかし、今回は「濡れても操作できる」になりました。

 
2年間のAndroid OSのバージョンアップが保証されました。
PCは数年前のモデルでも、最新のOSにバージョンアップできますからね。
当然と言えば、当然と思います。

 
■シャープの新しい貴塾となるか? 「ロボット化技術」
シャープだけでなく、メーカー足るモノ、自分の技術で世の中に役に立ちたいものです。
これを言い換えると、天下を取る技術、つまり世界No.1の技術を持つと言うことです。

シャープは、液晶技術で天下を取りました。今でもNo.1でしょう。
しかし、次の技術、OLEDなどが確立され、テレビ自体の票が割れ初めています。
このため、次の主導権を握る技術が必要です。

シャープの今までの動き、そして今年のシャープの話を聞くと、「液晶」という単独技術から、液晶の延長線上にある「8Kエコシステム」技術、COCORO+で培った「IoT/IT機器」技術、そして大メーカーなら大小に関わらず、ほぼ全社手がけている「クラウドサービス」の混成で、まだ実現されていないスマートホーム、スマートオフィス、スマートファクトリー、スマートシティを目指すようです。(冒頭写真参照)

 
8Kは液晶テレビで一番乗りしていますが、クラウドサービスは決してトップではありません。
が、日本語AIではそれなりの実績があります。

2014年 タイミングよく話しかけてくるAI「エモパー」を上市しました。
トータルで、エモパー搭載機器は、数百万台出荷しているそうですが、現在の利用者は60万人。
少ないと見る人もいると思いますが、60万人は決して少ない数字ではありません。


また、2016年にはヒカリで情緒豊かなヒカリエモーションを投入。これはヒカリを使い表現力を高めたものです。

そして今回のモデルには、「エモパー」の進化版が搭載されます。
行動や習慣を学習し、未来の予定や時期に合わせてやるべきことを提案するようになります。

充電台、ロボクルにセットすると、電話着信時やアラーム鳴動時にインカメラでユーザーを探し、ユーザーの方を向いて知らせてくれます。
そちらを向いて話すというのは、応対の基本とも言えます。単純ですがイイ感じです。

総合的に言うと、今回AQUOS Rと名付けられたフラッグシップモデルは、映像的にはかなり力が入ったモデルだと言うことができます。

 
■シャープブランドの位置づけ
ところでシャープは、自分のブランドを次の様に見ています。
「新しさ、先進感」を持ちながら、「親しみやすい」を持つ、珍しいブランドであると。
これは中々ない組み合わせです。

発表会資料より


シャープは、長く使われた「目の付け所がシャープでしょ。」でも分かる様に、オリジナルであること、つまり独自性を強調する会社である。ちなみに最近ロゴに添えられているのは、”Be Original.” 段々表現がストレートになってきています。

 
しかし、そうしたメーカーは、本当に親しみ易いのでしょうか?
私はこれが示していることは、「シャープは一度、液晶テレビで天下を取ったことがある」ということだと思います。ほとんどの人は、シャープのイメージを聞くと、「液晶テレビ」。次に「プラズマクラスター」。そして過熱水蒸気調理器の「ヘルシオ」でしょう。
そしてほとんどのユーザーは、メーカーは不明ですが、「液晶テレビ」を持っている。つまり親しみ易いモノを作っている。その結果ではないだろうか?

そう考えると、このポジションをキープするには、「エモパー」をよりユーザーに知ってもらうことが必要です。
昔、液晶を使ってくれるカテゴリーを増やし続けた液晶テレビをモノにする前のシャープに返り、技術磨きと、普及活動することが大事だと考えます。

 
また、サービスを含む形で儲けるビジネスプランは、パナソニック他も宣言しており、シャープがことさらに有利というわけでもありません。

いずれにせよ、シャープの動きには注目です。

 
商品のより詳しい情報は、シャープのホームページにてご確認ください。
http://www.sharp.co.jp/products/

2017年4月29日

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