新製品

パナソニック、50代、60代の目利き世代をターゲットに、
「Jコンセプト」シリーズを開始。


今年、老舗のホテルが創業50周年を迎えました。
東京オリンピックの年にできた、ホテルニューオータニ東京です。
映画「人間の証明」で、ここの麦わら帽子にも似た回転展望ラウンジが、使われていましたので、そちらでご存じの方も多いかも知れません。
■場所は、紀尾井町、ホテルニューオータニ
P1010429

発表会が行われたメイン(本館)のホールの壁面装飾。 いろいろな日本を見てきたホールとも言える。

日本を代表するホテルとして、様々なVIPが宿泊してきたわけですが、見て飽きないものに、広大な日本庭園があります。
場所が紀尾井町。町名からおわかりの通り、「紀州公」「尾州公」「井伊家」の中屋敷があったところ。
ホテルニューオータニは、井伊家の跡地に建っており、この日本庭園が使われたといわれております。

かなり広いレストラン全面日本庭園が見えますから、本当に大きい。
しかもホテルニューオータニは循環リサイクル型。
もっといろいろ書きたいのですが、本題からズレますので。

このことからも、パナソニックが「Jコンセプト」シリーズをどう考えているかがわかります。

 
■コンセプト発表者は、パナソニックアプライアンス社社長
生活家電を含む生活用品は、「誰でも使えるのが当たり前」と言われます。
しかし本当にそうなのでしょうか?
はっきり言えば、違います。

私の母は、背が小さい方でした。140cm台だと思います。
母が買ってくる家電は、小さめなのです。
理由は使いやすいから。

今の女性の平均は160cm台。
20cmも差があると、腰の位置も違います。
重いモノを持ち上げやすいポジションも違えば、手が届く範囲も全く違いますね。

物理的な差だけでも、このような状態。
実際は、これに経験差が加わります。

よく「××でなければならない」という人がいますが、正確には、それも違いますね。
「自分は××が上手く使える。」というべきです。
そう今までの経験から、慣れているモノの方がうまく扱えると言うべきでしょう。

 
P1010432

Jコンセプトを発表された、アプライアンス社
高見和徳社長

そんな中、パナソニックは「Jコンセプト」を立ち上げました。
健やかに、和やかに、ニッポンの暮らしを楽しめるように機能とデザインに徹底的にこだわることがコンセプトだそうです。
Jは、Japan(日本)、Jyoushi(上質)など、いろいろな意味を含ませているそうです。
ターゲットは、50代、60代世代。
中心は、1947-49年生まれの団塊の世代でしょう。
戦後の歴史そのものの世代ですからね。
「高度成長」「モータリゼーション」「レジャーブーム」「使い捨て」「オイルショック」「一億層中流家庭」「バブル景気」「バブル崩壊」「IT化」「グローバル化」「失われた10年」。
全部経験しています。
戦後日本を作ってきた世代です。

 
P1010437

Jコンセプトの説明スライド

今でも、活発に活動されている人が多く、「グルメ」、「旅」、カメラ、オーディオを含む「趣味」にそれなりのお金を掛けている、いわゆる「アクティブシニアの核になっている人たちでもあります。
この人たちの特徴は、「良いモノは高い」ことがわかっていることです。

 
つまり、Jコンセプトは、商品の王道「いい性能」「いいデザイン」を両立させた商品なわけです。
では、トップモデルとどう違うのか?

1つはサイズですね。
特に女性の平均身長が伸びたのは最近ですからね。
サイズはコンパクトになります。

2つめは力です。
老人だと、当然力が弱くなる。
常にこれを考慮に入れなければならない。

3つめは住まい。
現在は、世帯数ではなく、世帯構成人数が少なくなっている時代です。
そして外で活動となると、家はそれなりの大きさで大丈夫ということです。
当然、食事の質は落としませんが、量は落ちます。

こういうことが明確になります。

トップモデルは、どの世代にも対応しないといけませんので、そこまでの作り込みができない。
ただ技術、性能が目指す方向は同じです。
ここら辺の違いを上手く出すのは、パナソニックの腕でしょうね。

 
■製品第一弾は、3つ。エアコン、掃除機、冷蔵庫。
P1010455

壇上で、3つの家電が紹介された。
残念ながらエアコンは写っていない。
背景の柄は、それぞれの商品の柄でもある。

まずはという感じで、登場したのは、エアコン、掃除機、冷蔵庫。
好感を持ったのは、わざとらしいデザイン上の特徴を持たせなかったことです。
良くありますよね。
シリーズ共通のラインとか。

それがないということは、単独で買っても違和感を持たずに済むということです。
この姿勢はプラスです。

では、個別に見て行きましょう。

 
■エアコン Xシリーズ
今回のJコンセプトは、マーケティングの手法にきっちりと沿った形で作られています。
すると当然ですが、他のエアコンメーカー共、して欲しいことは重なります。
そう「足元が寒い。」

パナソニックのこれに対する解答は、「フォルムの一新」です。

DSCF5666

フラップが下面に付いた特異なデザイン。
それだけに開口部が大きく感じられる。

単純な言い方をすると、足元が寒いのは暖房時、温風が下まで届かないことを意味します。
理由は簡単ですね。
温風だからですね。冷たい空気より軽いのです。
床、つまり足元に到達する前に、上にあがってしまうわけです。

Xシリーズは、かなり前に出っ張ったデザインです。
壁に凸ができたというより、棚を作ったという感じですね。
その下面をフラップを付けました。
その上、気流を作り出すファンを大型化しました。

要するに、下に向かってより強く風を送れるようにしたわけです。
結果、従来品が送っていた風が足元に来た時30℃だったのが、Xシリーズは約35℃。

DSCF5671

温度の違いが歴然。

しかも、着替えの時など、肌寒く感じる時は、一時的に温風:40℃程度まで上げることも可能です。
この時、吹き出し口の温度は60℃。
正直、熱風です。暑い。
しかし、ターゲットは「大人」ですからね。
扱いを間違えなければとても有用だと思います。

 
DSCF5669

各種センサーがぎっしり詰まった内部。
ここが神経中枢部といえる。

こうなると、省エネはどうしたという声が聞こえて来そうですが、そこもバッチリ対応しています。
「床温センサー」の搭載です。
これにより「ひと・ものセンサー」「日射センサー」「床温センサー」が揃います。
快適性をキープしながらも、省エネを両立させるわけです。

 
P1010452最後は、パナソニックの大きな強みです。
フィルターの自動メンテナンスですね。
ホコリ取り用の自動ロボット、それに今回UVユニット、そして銀イオンがコーティングされたフィルターを使っています。

これは便利です。
人は高所作業は大変ですからね。
フィルターを外すだけとはいえ、非日常作業ですからね。

 
独特なフォルムに好き、嫌いが分かれる可能性があるものの、中々考えて作られたエアコンと言えます。
また、ほぼ同等の性能で、ノーブルベージュが選択できるHXシリーズも同時発売されます。

 
■紙パック掃除機 MC-JP500G
DSCF5685

細っそりとした、砲弾型の本体。
表面の模様は「綾織」。

Jコンセプトシリーズの商品の中でも、最もスゴかったのは、掃除機です。
なんたって、本体重量:2kg。

聞いた時、ビックリしました。現代の掃除機の多くは、4kg台ですからね。
ほぼ半分というわけです。

樹脂素材にPPFRPPPはポリプロピレン。FRPは繊維強化プラスチックのこと。ポリプロピレン樹脂で繊維を作り、それにPE(ポリエチレン)をコーティング。布のように織り上げ、積層。それをプレスし作る。を使い従来から48%カット、モーターを小型化、そしてアルミ素材を使うことにより従来から約56%カットに、そしてレイアウト変更により部品の小型化・軽量化を行い、その部分を従来から約48%カット。
全てを合わせ、約51%カットし、2.0kgを達成。

2014年09月20日17時06分29秒.pdf004

パナソニックの説明資料。

数字が並んでいるとわかり難いと思いますが、一升瓶一本分軽くなったとイメージしてもらえればイイでしょうかね。
これはスゴいことで、他社が真似しようと考えても、すぐ真似できることではありません。

さらにPPFRPというのは樹脂の繊維で、織り上げて使っていますので、その綾織りを独特の模様として使っています。
これはキレイなうえ、クォリティーを感じさせます。

日本有数の家電メーカーの実力を見せつけられました。

 
更に本体以外のホース、ヘッドも軽量化されています。
ホースは径を43mmから38mmに、ヘッドは250(W)×76(D)×55(H)mmから230(W)×73(D)×50(H)mmです。
このため、床面での取り扱い、持っての移動はイイ感じです。

DSCF5681

左)従来ヘッド。LEDの所にスペースロスがある。右)新型。LED光は導光板により幅広く辺りを照らす。


また、パナソニックの掃除機の特徴であるLEDライト、ハウスダスト発見センサーも搭載。
LEDライトはより見やすい幅広形になっています。

DSCF5677

左)従来品と新型のカットモデル。巧みにパッケージされていることがわかる。
右)従来品と新型のモーター。一廻り大きさが違う。


 
紙パックは、今までのと同じモノが使えるそうです。
内容量:1.2Lといいますので、通常は3ヶ月使える計算です。
テストをしたわけではありませんが、紙パックの構成は3層ですので、吸引力はそう簡単に落ちないと思います。
ちなみに、会場での吸引力は「十分」という感じでした。

非常に魅力的な一品です。

 
■冷蔵庫
冷蔵庫は今のところ参考出品という形ですが、コンセプトなどは煮詰まっており、これも面白かったです。

冷蔵庫は、現在大型化が主流になっており、冷凍食品の扱いが増えています。
このため冷凍庫の大きさが年々大きくなり、冷蔵庫はどちらかということ腰高状態。
引き出しと扉が分かれる所を、ウェストラインといいますが、これが高くなります。

となると、当然、50代、60代の女性には高い。
で冷蔵庫の扉はしょっちゅう開け閉めしますので、そうだと厳しい。

ここが、Jコンセプトの真骨頂ですね。
普通の冷蔵庫ならできないことができる。
つまりターゲットに合わせ、ウェストラインを下げたのです。
従来 約103cmのウェストラインを、肘の高さより低い約88cmにしたのです。

2014年09月20日17時06分29秒.pdf006

写真掲載していないが、扉はガラストップ。ガラス裏面には豊穣柄のプリントがしてある。
裏地に凝り、それを見せずにニンマリしている江戸の通人のようなデザインといえる。


ウエストラインの下は、通常の場合4つに分けます。
「野菜室」「製氷室」「冷凍室メイン」「冷凍室サブ」ですね。
で「製氷室」と「冷凍室サブ」が同列で、3段構成になるわけです。

DSCF5694

製氷室は、冷凍室の中にある。

で低くするために、「製氷室」と「冷凍室サブ」を取ってしまったのです。
で、製氷室は、独立した出入り口を設けず「冷凍室メイン」の中に納めたのです。

15cm下げるための大胆な方法です。

 
これができたのは、アクティブシニア層の特徴に、凝り性であり、手間を惜しまないことが上げられます。
つまり、料理は家事の中でも一番創造性が高いですから、ハマると面白い。
単純にいえば、冷凍物をチンではなく、自分で作るわけです。

DSCF5699つまり、「冷凍」から「冷蔵」の比率が増えるわけです。

このため、何でもパーシャルの横幅をめいっぱい拡げ、従来の1.7倍に。
また、冷蔵優先という意味では、野菜室を冷凍庫の上に変更しました。
さらにいうと、ウェストラインを下げ、ドア棚が低くなった結果、ペットボトルなどの重い商品も取り出しやすくなっています。

野菜室も湿度フィルター(モイスチャーコントロールフィルターというそうです)を見直し、より野菜が長持ちするようにしたそうです。

DSCF5703  
Jコンセプト、次にどのような提案をしてくるのか、非常に楽しみです。

2014年9月20日

タグ: , , , , , , , , , , ,