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スローペースでワイン界を席巻中。
ショックデキャンタでワインの味を変えよう!


ワインをデキャンタ(デキャンタージュ)すると、より美味しくなるということを覚えたのは、刑事コロンボの名作「別れのワイン」です。
デキャンタは、ガラスでつくられたフタ付きの食卓用瓶のことで、ボトルからその瓶にワインを移し替えることも、デキャンタと言います。

「別れのワイン」に出てくるワインは、こだわりのワイン。しかもオールド・ポートと呼ばれる長期熟成モノがぞろぞろ出てきます。これを味わう時にするのがデキャンタ。空気(酸素)と適度に触れさせることにより、固く閉じていたワインの香りを開かせ、味をよりまろやかにします。
オールド・ポートだと澱(おり)を含みますので、デキャンターの際、濾し布を噛ませ、澱を取ることもあります。

済みません、分かってもらうために、
悪いと知りつつ掲載します。



この時のポイントは、味を損なわないように、一定速度で移し替えること。
振るえたりしたら、ダメということです。
「別れのワイン」では、デキャンターの名手で、ワインの味にこだわるため、他人にデキャンターをさせない犯人が、はからずも殺人を犯し、手が震えてしまうので、他人にデキャンタをさせたことに気付いたコロンボが、犯人を追い詰めて行きます。
この作品、コロンボがワインを知らない設定で作られており、このためワインのことがいろいろ語られます。ワインを知らない人には、その意味でも面白い作品です。

 

■1990年前半 赤ワインブームで、かなり流行ったデキャンター

コロンボのデキャンターは、オールド・ポートのような熟成がかなり進んだモノ用。
人間で言えば、人間国宝に指定された落語家のよう。噺などは絶妙なのですが、体力がない。このため丁寧に生活しないと風邪を引いたり、肺炎を患ったり、気付いたらこの世にいなかったりします。

その逆が、若いワインです。
落語でいうと二つ目。
落語は滅茶苦茶上手いとは言えませんが、体力十分。徹夜で飲んで高座に上がるという無理も出来ます。
二つ目に噺を上手く語らせるためには、一にも二にも修行です。

ワインも同じです。若いワインの場合、デキャンターは移し替えたら終わりではありません。
もし空気とのふれ合いが不十分な場合は、スワーリングと言って、クルクル回し、空気に触れさせなければなりません。重いし、面倒臭い。

1990年の前半、赤ワインが流行りました。
時にバブル景気。イタメシ、フラメシが流行し、夜な夜なジュリアナ東京でボディコン娘が踊り狂う狂乱の東京で、ドンペリを含む赤ワインも大流行。当然、デキャンターも大流行します。


その時に流行ったのは底広型。空気に触れる面積が広いため、ただ単に移し替えるだけでOKということで、あるだけ売れたそうです。

その後、バブルが崩壊。ワイン好きな人は、安価なフレッシュワインに鞍替え。
デキャンターをしないで飲むことが多くなりました。

 

■今のワインは酸欠気味

そして今のワインは、ボトリングがよくなりました。
フタの密閉性ですね。ワインは、瓶内熟成。要するに酸素を消費し熟成していきます。
コルクは防水ですが、通気性はあります。アウトドアウェアのゴアテックスの様な機能です。

が、フレッシュワインはスクリューキャップ。ワインの酸化防止のためですが、逆に言うと、ワインは酸欠状態にあると言ってもいいと思います。
また熟成の早いワインは、熟成のため、酸素をどばどば消費します。こちらはコルクですが、どちらかというと十分な酸素がない状態です。
つまり、ワインが「閉じてしまった状態」であることが多い。

「閉じる」というのはワイン独特の表現ですが、熟成の足りないワインは、香り少なく、酸味がきつく、渋みがうわっと口に拡がります。
これに酸素を加える(デキャンタする)と、ワインは開きます。
酸味や渋みが調和されまろやかになる上、さまざまな香りが出てきます。

今の若い人は、知的なお酒を好みます。
量は飲まず(酔っ払わず)、香り、味を楽しむ人が増えました。
ウィスキー、クラフトビール、日本酒(吟醸系)も、その様なモノが好まれます。
そしてワインもそうです。

しかし、結構、手頃な価格の赤ワインは、上に書いたような状態なので、閉じていることが多い。
逆に言うと、今、こそデキャンタが必要とされているのです。

しかも今のトレンドは、ショックデキャンタだそうです。
独特の形のデキャンタを、振るのです。



私も初めて見た時、ショック死しそうでした。
繊細なワインだから、大切に扱うということで扱ってきましたからね。

カシオのGショックは、初めてのCMの時、ショックに強いことをアピールするために、Gショックをアイスホッケーのパックの代わりにして、スティックで猛烈に叩きました。全米が驚き、瞬く間にGショックは売れたそうです。

日本で言うと、国会でも嘘か本当かの議論がなされ、玄翁で叩いても割れなかった、象が踏んでも壊れない「サンスターのアーム筆入れ」とこですかね。筆入れを象が踏むCMはインパクト大でした。

フェイス トゥー フェイス 75,600円(税込)



中に飛び出している二つの羽根は人の顔。フェイス トゥ フェイスの名はここから。



しかし、デキャンタしたワインは、見事に開いていました。
そうですね。
デキャンタすると5000円のワインが、デキャンタしない10000円のワインになった様な感じです。

デキャンタは、そのワインの良さをフルに発揮させる技術です。
ドイツ産のワインを、お隣のフランスはドンペリに変えると言うことはできませんので、お間違えのないように。

 

■ショックデキャンタが栄える(はえる)デキャンタ

今回、お邪魔したのは、ワイン業界では知らない人はいないワイングラスの雄、リーデル社。
幾つか見せてもらいましたが、形がすこぶるユニーク。
テーブルの上のオブジェとしても相当のものです。私なんかは使わなくなったら、花瓶として使いますね。

アマデオ 75,600円(税込)



マンバ 75,600円(税込)



味が変わるのも重要ですが、見た目の面白さが何とも言えません。
お酒は楽しんで飲むモノですからイイ感じです。

後、デキャンタは色を楽しむモノです。
グラスに入れたワインだけでなく、デキャンタも保存瓶から出すわけですから、大いに色を楽しまなければ損です。


さらにリーデル製ですから、薄手のガラスで作ってあります。
そう、ワイン、特に赤ワインは室温に近い方がベターですが、リーデルの製品は薄いガラスですので、ガラスの温度を考える必要は基本ありません。

 

■デキャンタは自己責任

デキャンタの面白さに関して長広舌してしまいました。
ただ、デキャンタは必ずしも常に有用な技術ではありません。

十分に開いたワインをデキャンタしてしまいますと、香りが飛びます。
また、繊細な香りがブルゴーニュ系の赤ワインもデキャンタは苦手です。
要するにワインが美味しくなくなります。

先ほども書きましたが、デキャンタは、熟成が足らないワインのポテンシャルを引き出すため技術。
これを支えるのは、やはりいろいろな経験です。
どんどんテイスティングすることです。

 

昔の三大趣味に、時計、オーディオ、ワインと言うのがありました。
ハマると全財産をつぎ込んでも足りないという意味ですが・・・。

この中のオーディオは、自分が何かすることにより、音が変わるという趣味です。
良くなることもあれば、悪くなることもあります。
そこは耳を肥やして行かなければなりません。

ワインのデキャンタも同じですね。
デキャンタすることにより味が変わる。
いい時もあれば、悪い時もあります。
が、自分のアクションにより変わるのは面白いですし、失敗は成功の元。
トライ&エラーは豊かな人生を約束してくれます。

デキャンタと言う名の小さな冒険は、その意味でもお勧めです。
少なくとも、数万円のワインを買い占めるだけのワインの楽しみ方より、幅がでます。
では、貴方の口福を、希います。

2017年5月21日

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