新製品

これが新標準!ツインバードの扇風機『コアンダエア』


ツインバードの新型扇風機。見た瞬間に、「これはスゴい」と思いました。
その細身のデザインから、極太のメッセージが伝わってきます。
今回は、新しい境地を見いだした扇風機のお話です。
■扇風機の構成要素
暑い日本の夏。風を起こす道具、扇風機は江戸の昔からありました。
うちわを4枚付け、くるくる回す簡単な仕組みです。
しかし、モノがない時代。江戸の町を歩いても、現代みたいにうちわが手に入るとかはないですからね。それなりに高かった(=高級品)だったと思います。

そして、照明のために電気が各家庭に来るようになると、いろいろな家電が出来はじめます。中でも、扇風機は早くからあります。芝浦製作所が作ったのが日本初ですが、時に1894年(明治27年)。

逆に言うと、100年以上の長い歴史のある扇風機。当然「ファン」は、その初号機から付いていますし、モーターでファンがクルクル回り風を送るのは今と変わっていません。
そう扇風機というのは、時代により変化していますが、割と近いイメージを持っています。

大きな台座、太めの支柱。その上にモーター。これはファンを回すのと、首振り。そして安全のため、金網で覆われたファン。そして台座には、ON/OFF、強弱のスィッチとタイマー。
基本構成はこんな感じですね。バルミューダが切り開いた高級扇風機のカテゴリーも、基本は同じです。

これと違うのはダイソンの扇風機(今は空気清浄機と兼用)。「扇風機」という漢字を当てることが可笑しいと思われるようなこの扇風機は、「ファン(扇)」がありません。これは風を作り出すことに自信のあるダイソンならではということになるのですが、現在のところ追従者はいないので、ダイソンのオリジナル仕様としておきましょう。

 
この扇風機、モーターの位置が問題。通常はファンの後ろ側に、ファンを回すためと、首を振るための2つのモーターが装着されています。しかし、このため、ファンの後ろにはモーター2個分の巨大サイズの円筒、そしてそれを支えるガッチリとした支柱があります。

鳥(なんせ会社がツインバードですから)に例えると、足の太いコウノトリの様(ハシビロコウでも可)です。あの赤ん坊を運んでくると言われている鳥です。

ところが今回目の前にあったのは、鶴。鳥の王ともされる優美さを誇る鳥です。
以前、ツインバードの扇風機をテストした時、「なるほどよくはできている。」という印象は持ったのですが、「鶴」という印象は全くありませんでした。スタイルに関しては、ありきたりでした。

 
■365日、見続けるということ
今回の商品化を進めるプロデューサー役を務めたのは、入社4年目の女性社員。
美術学校卒業生だが、企画をするまでは、店頭で扇風機の応援販売をしていたそうだ。

よくユーザーを声を反映しましたと言う言い方をする人は多いですが、アンケートだったり、ユーザー調査だったりがほとんど。しかし、本当にイイ商品にしたいとすると、褒める意見はほとんど参考にならないため、お客様相談室の電話、店頭でのお客の反応が最も重要な意見となります。

また、美術学校出身も有利に働くことが多いです。私も、デザイナーさんとかと付き合ったことがありますが、彼らは言葉が苦手ですね。その代わり、絵で表現するのは得意です。つまり普通の人なら、言葉で表すのを、彼らは「絵」、他で表すわけです。
モノのデザインは、これと同じ。自分の素性、得意なことを形にしていると言えます。
それを365日、見続けてご覧なさい。いろいろなモノが分かります。元々、エッセンスを具象化することに優れたデザイナー出身。見る力は大したモノです。

ちなみに、企画を1回当てるには、これに加えて、商品が好きであればイイのですが、2回、3回継続して当てて行くには、世の中が進んでいく方向性の見極め、自分のアイディアを客観評価できる物差し、などが必要になって行きます。
それは商品としての欠点がなくなって行くので、多くの場合、ディテールを少し変えただけの新製品を作ってしまうからです。

さて脱線はこれ位にして、ツインバードの新型の扇風機を見ていきましょう。

 
■オリジナルと自負
コアンダエアは、独特の羽根形状によりかなり良い風、満足度の高い風を出します。
生活家電.comで、テストした時のレポートを掲げておきます。
https://www.seikatsukaden.com/?p=6471
しかし、如何せんやや大ぶり。
冒頭、「細い」「鶴の様」と書きました。逆な言い方をすると、今までのリビング扇風機は、小型にしたとイイながら、非常に大きなものでした。

今回使う想定は、リビング。
人は椅子に座っています。高さ、90cm。
条件をここに搾り込み、その他の条件はフリーな状態です。

扇風機で重たいのは、何と言ってもモーター。
今回、このモーターの内、首振り用のモーターを台座にしまいます。
そして、ファンを回すモーターは、ファンの軸の中に埋め込みます。
要するに、主柱の上を極力スリム化したわけです。

そして、高さを90cmに固定します。
高さを変更しないので、2重にしたりする必要はありません。
固い細身のパイプが使えます。
高さが決まっているので、台座の中のモーターの回転をベルトで伝え、首を振らせることもできます。
優美な細パイプは、一見、華奢な様ですが、こうして実用性を確保します。

次に、台座ですが、今まで上の部分が重かったので、大きく取っていました。33cmと言いますので、ロボット掃除機『ルンバ』と同じような大きさです。ルンバは、よく作り込まれたロボット掃除機ですが、やはり径が大きい。日本の床に30cm以上の家電は一寸大きいかなと思います。

今回は上が軽い上に、台座にモーターを入れていますので、台座の径を小さくすることができます。28cm。

縦横、細身なのでピシッとしています。
建具で言うと「障子」。
障子は、光と風に優しい日本の建具。軽く気持ちがいい感じですが、19世紀に西洋でジャパニズムが流行った様に、リビングとのマッチングも非常にいい。

「新しい境地を切り開いた」と形容してもオーバーでない感じです。

 
さてリビングで、人は動き回りません。
当然、この扇風機もリモコンで動かします。
潔ぎイイのは、全操作がリモコンですること。

このリモコン、支柱にくっつけて保管できます。


そして、リモコンを見ると・・・。
通常あるモノがありません。
そう、メーカーロゴマークがありません。
代わりに、このリモコンが扇風機のリモコンであることが分かる様に、扇風機のアイコンが・・・。

このアイコン、このコアンダエアそのもの。
これは一種の誉れです。そして開発メーカーの自負でもあります。

 
■デメリットとメリット
デメリットは、高さ調整ができないことです。
しかし、ファンの上下角度を変えることにより、ある程度距離を置けば、ふとんの上でも風を感じることができます。

それ以外、大きな問題はありません。
むしろ細部までよく考えられています。

例えば、輸送箱。
普段は関係ありませんが、季節モノの扇風機。使わない時に仕舞うのに使います。
前モデルと比較すると、厚みが約半分。収納もラクラク。

実績のあるファンを、見事にパッケージした今回のツインバード工業の扇風機「コアンダエア」。
見た瞬間に、その良さがビンビン伝わってきました。
今年の傑作扇風機 候補(全部発表されていませんので・・・)です。

コアンダエア EF-E981W/B。色は、白、黒の2色。オープン価格。
導入時の市場想定売価:20,000円前後。


商品のより詳しい情報は、ツインバードのホームページにてご確認ください。
http://www.twinbird.jp

2017年4月19日

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